「百聞は一見にしかず」と言うが、AIに指示を出す場合にもこれは間違いなく当てはまる。原因不明でしおれている植物の診断から、ホワイトボードに手書きされた図の解読まで、今日のモデルは、曖昧な説明よりもスマートフォンで撮った簡単な写真のほうがはるかにうまく機能する。細部をすべて文字で打ち込むのは時間がかかり、間違えやすい。写真は文字通り全体像を一度に提示する。しかも、モデルはあなたがうっかり省いてしまった細部にも気づく可能性が高い。
文脈と明確さを与える
生成AIの初期には、過剰にコミュニケーションを取るのが一般的だった。情報量が多ければ多いほど、結果は良くなると考えていたのだ。しかし、今ではそれは違うと分かっている。人間と同じように、AIも混乱し、話の筋を見失うことがある。
研究者はこれを「コンテキスト劣化」と呼んでおり、一貫して起こる現象だ。AI研究・インフラ企業のクロマ(Chroma)が主要18モデルを検証したところ、入力が長くなるほど、すべてのモデルで性能が低下した。追加された材料が関連している単純なタスクでさえ同様だった。
いま私たちが理解しているのは、想定できるあらゆるデータポイントをプロンプト欄に放り込むことを目標にすべきではないということだ。むしろ、AIが役割を果たすために実際に必要な情報まで絞り込むべきである。たとえば、息子の誕生日会の計画について助言がほしいとする。ChatGPTに私の人生の歩みを語る必要も、これまで開いたすべてのパーティーを説明する必要もない。伝えるべきなのは、息子が何歳になるのかと、宇宙に夢中であること、土曜の午後に狭い裏庭へ8人の子どもを招くことだ。
AIは全知の存在ではなく、有能な人物だと考えよう。文脈やパラメータを一切必要としない存在ではないのだ。使えば使うほど、望む回答を得られる「スイートスポット」の感覚がつかめてくる。
履歴を消去する
ChatGPTが過去のチャット履歴をもとに回答を構築する能力は、ときに妨げになることがある。ある日は1つのプロジェクトに取り組み、翌日はまったく別のプロジェクトに取り組むかもしれない。両者に何の関係もなくても、モデルはしばしばそれらを結びつけようとする。
この場合、いくつかの選択肢がある。同じチャット画面にとどまりたいなら、以前に話した内容をすべて忘れるよう依頼し、白紙に戻せばよい。もう1つの選択肢は一時チャットを使うことだ。これはシークレットモードのように機能し、過去の会話に依存せず、将来のために文脈を保存することもない。
かつて言われたほど高収入のキャリアパスではないかもしれないが、プロンプトエンジニアリングは誰もが習得できるスキルである。ただし、モデルは急速に変化しており、2023年に広まった助言は今日では役に立たない。継続的に学び直すことで、AIを可能な限り効果的に使えているかを確認できる。


