2025年、ロンジェビティ(長寿)市場は276億1000万ドル(約4兆2500億円)と評価され、2035年には670億3000万ドル(約10兆3000億円)に達すると予測されており、年平均成長率(CAGR)は9.41%に上る。このような健康への関心の高まりは、ほぼすべての人に影響を及ぼしているが、特に競争が激しく成長志向の強いCEOや起業家の間で顕著だ。
この層には、単なるエクササイズ愛好家にとどまらない人々が含まれる。最近のペプチドブームが示すように、最先端の領域で活動することを目指す人々もその一員だ。
ペプチドにとどまらず、経営者や起業家は、睡眠、安静時心拍数、HRV(心拍変動)、血糖値などの主要な健康指標をモニタリングするため、サプリメントやウェアラブル健康テクノロジーに年間何千ドルも投じている。
ニュートラシューティカル(機能性食品)、ペプチド、さまざまなバイオハック、そしてウェアラブル技術は、サポートや貴重な健康上の知見を提供してくれる。しかし、影響力の大きいリーダーの役割を担う人々にとって、より多くを明らかにする評価ツールは、すぐ目の前にある。それは彼らのカレンダーだ。
CEOのカレンダーが明かす健康状態
本質的に、CEOのカレンダーは会社にとって何が本当に重要なのかを映し出す窓である。戦略は最終的に日々の行動に落とし込まれなければならず、カレンダーは、企業価値を最も大きく押し上げる意思決定、人材、施策のためにリーダーの時間を確保する役割を果たす。
しかし、その同じカレンダーが、CEOの健康状態を左右する要因の早期診断ツールとしても機能し得るのだ。
成功は、時に「成功のパラドックス」と呼ばれる、特異なスケジュールの問題を生み出す。リーダーの責任が増すにつれて、その時間を正当に要求する人々の数も増えていく。取締役、投資家、従業員、パートナー、顧客、メディア、そして家族が、有限であるリーダーの時間を奪い合うのだ。
健康は、しばしば意図せずして、そうした義務の合間に収まるものになってしまう。その証拠は、多くの場合カレンダー上に直接表れている。
早朝の投資家との電話会議がワークアウトの時間を奪う。昼食は会議の合間に詰め込まれたメール返信の時間に変わる。夜遅くのクライアントとのディナーですでに長い1日の労働時間がさらに延び、その後には再び早朝の始動が控えている。次第に、プライベートな時間は意図的に守られるべきものから、スケジュールが許すときにだけ得られるものへと変わっていく。
極めて重要な「余白の時間」を失うことは、身体的な健康だけでなく、それ以上の影響を及ぼす。リーダーには、誰からも反応、決断、実行、修復、あるいはコミュニケーションを求められない時間が必要だ。こうした休息がなければ、精神的な切り替え、感情的な回復、創造的な思考、および過酷な翌日に向けたエネルギーの充電を行う機会は減少してしまう。
マインドフルネスアプリ「Calm」の元CEOであるデビッド・コーは、経営幹部のメンタルヘルスに関する調査を行った後、同様の問題を指摘した。幹部たちに自分のエネルギーをバッテリーに例えてもらったところ、完全に充電されていると答えたのは4人に1人だけだった。コーによれば、多くのリーダーはわずか20%ほどのエネルギーで活動しているという。
血液検査やバイオメトリック評価、あるいはウェアラブル端末は、リーダーの体内で何が起きているかを特定できる。しかしカレンダーは、そうした結果を生み出す原因となっている、日常的かつ構造的な状況について貴重な手がかりを提供してくれるのだ。
健康とリーダーシップの向上は「監査」から始まる
ビジネスの世界では、財務、業務、コンプライアンス、サプライヤー、あるいは税務に関連する「監査(オーディット)」はおなじみのものだ。いかなる解決策や計画を実行に移すにしても、すべては監査から始まる。まず基準値を設定し、自分が現在どこにいるのかを知ることでしか、進むべき進路を描くことはできない。
健康も同様である。より良い健康、ひいてはより優れたリーダーシップは、リーダーのキャパシティを消耗させている日常的な要求や習慣を特定する監査から始まる。
最初に見るべき場所はカレンダーだ。カレンダーは、何が継続的に守られた時間を得ており、何が後回しにされているかを明らかにする。リーダーは、回復、運動、睡眠、創造性、個人の時間を損なう反復パターンを特定することから始められる。
例えば、平日のスケジュールにプライベートな時間がほとんど確保されていないことに気づいた場合、妥協できない予定として「余白の時間」をスケジュールに組み込むことで、ワークアウトの時間を守り、就寝前の切り替えの時間を作り、あるいは一つの義務から次の義務へと直接移動する際の認知的負荷を軽減することができる。
学術誌「Health Psychology and Behavioral Medicine」に掲載された研究によると、一般的なオフィスワーカーは毎日10時間以上を座って過ごしている。また同研究では、過重な業務量や多すぎる会議が、座っている時間を減らす上での最も一般的な障壁になっていることが明らかになった。リーダーは、可能であればウォーキング・ミーティング(歩きながらの会議)を取り入れる、昇降式デスクを使用する、あるいはオフィスにウォーキングパッドを設置することで、座る時間の一部を削減できる。
健康がリーダーシップを突き動かす。そしてより良い健康は、リーダーが自らのカレンダーに対して戦略的にわがままになり、会社に注ぐのと同じ真剣さで自分自身の時間を守ることから始まるのだ。



