消費者や企業の間で、最適な価格や商品を見つけ出すなど、購入を支援するAIエージェントを活用する動きが広がっている。しかし新たな研究によると、AIエージェントが買い物の探索を終えた後に提示する結果は、予測不可能で一貫性がないという。
AIエージェントは新しい買い物の手段を意味する。たとえばRTB Houseの調査によると、ミレニアル世代の少なくとも42%が、250ドル(約3万円)までの購買判断をAIツールに任せることを信頼できるとしている。全世代を通じて、Google AI OverviewsやChatGPTなどの主要AIツールは、「買い物客の信頼という点でソーシャルメディアや従来メディアを追い越した」と、同調査は示している。
同様に、RithumとRetail Diveによる別の調査では、買い物客の53%が、AIショッピングアシスタントを含むAIツールをブランドの公式サイトと同程度に信頼している。さらに、Z世代の買い物客の64%が、AIの推薦に基づき、他で確認することなく購入する可能性が高いと答えている。
しかし、買い物の意思決定にAIはどれほど信頼できるのだろうか。ペンシルベニア大学の研究者らが主導した新しい研究は、エージェント支援によるショッピングや購買の一貫性と予測可能性に疑問を投げかけている。
同研究では、検索プロセスのわずかな変更であっても、AIが生成するおすすめ商品に影響を与える可能性があり、「エージェントによる購買決定の一貫性が低くなり、予測が難しくなる」ことが示されている。ペンシルベニア大学のイーサン・モリック教授らを含む論文の著者らは、「LLM(大規模言語モデル)が情報源や追加のコンテキスト(文脈)を一切参照しない場合、各モデルは特定の一つの商品に対して強い選好を示した」と報告している。
研究者らは、Claude Haiku 4.5およびOpus 4.8、GPT-5 MiniおよびGPT-5.5、さらにGemini 3.1 Flash LiteおよびGemini 3.5 Flashを含む複数の最先端AIモデルを対象に、200回の試行を実施した。
買い物のプロンプトに追加要素を加えたり、異なるモデルを使用したりすると、エージェントの推薦は変化したとモリックらは指摘している。「同じリクエストを出した2人のユーザー、あるいは同じユーザーでも別の日、別のモデルを使うと、目に見える説明もなく異なる商品を提示される可能性がある」。理由は不明だが、価格、評価、レビュー件数の面で優れた商品よりも別の商品が選ばれることもあった。
eコマースの過程では、「エージェントは購買判断を下す前に、レビュー、推薦、検索結果、ユーザーの記憶、その他の事前情報に遭遇する可能性が高い」と研究者らは述べている。しかし、コンテキストの変化がプロセスを複雑化させる可能性がある。
オンラインで販売を行う企業や個人にとって、これは大きな課題となる。このプロセスをコントロールすることは、ほぼ不可能だからだ。これは従来のSEO(検索エンジン最適化)よりも深い課題を突きつけていると研究者らは指摘する。つまり、「新たな手段を得るというよりも、コントロールが限定される」ことを意味している。
なぜなら、「事前情報がエージェントの選択を左右することは明らかだが、どちらの方向に動くかは、モデル、遭遇する情報源の組み合わせ、それらが表示される順序、さらには結果がツール呼び出しにどのようにパッケージ化されるかに依存するためだ。これらはすべて、販売者が観察することも制御することもできない。販売者は、どのモデルが買い物を行っているのか、そのモデルがほかに何を読み込んでいるのか、あるいはそのシステムがどのように情報を取得しているのかを知るよしもない」からだ。
買い手にとっては、「LLMの推薦が明白な理由なく変動する可能性があるということであり、一貫した結果を得ることが難しくなる」と研究者らは付け加える。
もう一つの問題は、探索のために設計されたエージェントや購買エージェントが「現実世界の変動性を過小評価する可能性が高いことだ。なぜなら、実際に配備されたエージェントは、購入前に事前情報が入り乱れる、より煩雑な検索プロセスに必ず直面することになるからだ」と研究者らは述べている。
最終的な結果として、「検索プロセスにおける不確定要素が増えるにつれ、特定モデルや経路への依存度が高まり、おすすめ商品の整合性は低下し、予測がより困難になる。全体的な検索と推奨のプロセスは不安定で、予測がつきにくい」という。
AIショッピングエージェントを導入する企業は、設計プロセスにおいてこれらの一貫性のなさを考慮する必要がある。「プロモーション用コンテンツを意識できる人間の買い物客とは異なり、AIエージェントには、戦略的に配置された事前情報を検出したり割引いて考えたりする明確な仕組みがない」と研究者らは指摘する。彼らは企業に対し、「敵対的な事前情報を含む堅牢性テストを構築し、影響を与える可能性のあるユーザーメモリの発言に透明性のあるフラグを立てるなどの構造的な介入を検討する」よう促している。



