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2026.09.13 11:19

同じ業界・同じ政策でも影響は異なる──リスク分析はビジネスモデルから始めよ

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米国とカナダの間で続く貿易摩擦は、クロスボーダーの戦略的リスクや地政学的リスクを理解しようとする企業にとって、有益な教訓を与えてくれる。それは、「影響を受ける業界を特定するだけでは不十分である」ということだ。

自動車セクターが、その理由をよく示している。

カナダの自動車産業は米国と深く統合されている。カナダ製車両の90%以上、カナダ製自動車部品の60%が米国に輸出されている。カナダ製車両には2025年4月以降、米国の関税が課されており、ドナルド・トランプ大統領は2027年1月1日からカナダ製車両および自動車部品への関税を50%に引き上げる計画を発表している。

一見すると、戦略的な結論は単純明快に思える。すなわち、「カナダの自動車会社は米国の通商政策の変化に対して非常に脆弱である」というものだ。それは事実である。しかし、これでは経営陣が最も知るべきこと、つまり「この政策変更は、自社の経済的価値に具体的にどのような影響を与えるのか」という問いの答えにはならない。

同じ業界、異なるビジネスモデル

まったく同じ米国の関税に直面する、2つの架空のカナダ自動車企業を考えてみよう。

A社はカナダで大量生産型の自動車部品を製造しており、生産の大半を米国の顧客に販売している。同社の事業は頻繁なクロスボーダー輸送に依存しており、利益率は比較的薄く、製品を短期間で他市場へ振り向けることが難しい。

B社も、同じカナダの自動車業界で事業を展開し、米国向けに販売している。しかし、米国市場での売上比率はそれほど高くない。顧客ベースは地理的に分散されており、製品の利益率は高く、価格決定力も備えており、顧客や市場の間で生産を柔軟に振り替えることができる。

ここで、まったく同じ米国の関税が課されたとする。A社にとって、この関税は同社の価値創造の仕組みそのものを直撃する。米国顧客への依存により、売上高の大きな部分が影響を受ける。利益率の薄さは追加コストを吸収する余地を狭める。価格決定力が限られているため、そのコストを顧客に転嫁することも難しい。そして米国市場への依存ゆえに、経営陣には即座に取れる代替策がほとんど残されていない。

その結果、利益率の低下、売上損失、生産量の削減、さらにはビジネス再構築のために新たな設備投資が必要になる可能性がある。一方、B社もまったく同じ政府の措置に直面している。

しかし、財務上の影響は大幅に小さい可能性がある。

多角化された顧客ベースが、代替の需要源となる。高い利益率は、一時的なコスト上昇を吸収する余力をもたらす。強力な価格決定力により、コストを顧客に転嫁できる機会が増え、オペレーションの柔軟性によって生産の振り替えもより容易になる。

同じ国。

同じ業界。

同じ米国の政策。

しかし、もたらされる経済的結末は大きく異なる可能性がある。

業界レベルの分析は、両社がリスクにさらされていることを正確に特定する。しかし、同じ外部の出来事が、なぜ一方の企業にとっては致命的な打撃となり、他方の企業にとっては対処可能なものとなるのかという理由までは、必ずしも明らかにしてくれない。

業界分析は必要だが、それだけでは不十分

先進的な企業は、すでに地政学的リスクを業界ごとに区別している。自動車会社が直面するリスクが、鉱業会社、銀行、あるいはソフトウェア・プロバイダーとは異なるのは明らかだ。

しかし、業界分析はビジネスモデル分析と同義ではない。業界分析は、クロスボーダーの衝撃がどこに及ぶかを特定するのに役立つ。これに対してビジネスモデル分析は、衝撃が及んだ後に何が起こるかを説明するのに役立つ。

より有益な、出発点となる問いは以下の通りだ。

「この特定の企業はどのようにして経済的価値を生み出しており、その価値創造は何に依存しているのか」

ある自動車会社にとって、不可欠な依存先は米国の顧客へのアクセスかもしれない。別の会社にとっては、部品の度重なるクロスボーダー輸送かもしれない。また別の会社にとっては、専門サプライヤーへのアクセス、代替の製造能力、あるいは十分な利益率を維持する能力かもしれない。これらの違いが、外部の政府の措置が最終的に売上、コスト、投資要件、キャッシュフロー、そして資産価値にどのように影響するかを決定づける。

ボトムから始めることは、トップを無視することではない

ビジネスモデルから始めることは、関税、選挙、規制、地政学的緊張、その他のマクロレベルの動向を無視することを意味しない。

それは、ビジネスモデルを出発点とすることで、トップでのどのような動きが自社にとって重要なのかを見極めるということだ。

起こり得る外部の脅威を網羅した長いリストから始めるのではなく、経営陣はまず、自社がどのように価値を創造し、その価値創造が決定的に何に依存しているのかを特定する。

その上で、次のように問いかけることができる。

「どのような政府の措置、政治的動向、またはクロスボーダーの圧力が、それらの依存関係を阻害する可能性があるか」

この分析でも、依然としてトップの世界を考慮している。しかし、注目すべき論点は、ボトムにある経済的に重要な何かと結びついている。従来の分析は、往々にして以下のように進む。

地政学的動向 → 国 → 業界 → 企業

一方、ビジネスモデルを起点とするアプローチは、以下のように始まる。

企業の価値創造 → 決定的な依存関係

そして、それらの依存関係を、関連する次の要素へと結び戻す。

政府の措置 → 政治的動向 → 地政学的状況

その目的は、トップダウン分析とボトムアップ分析のどちらか一方を選ぶことではない。

両者を結びつけることにある。

同じリスクが、同じエクスポージャーを意味するわけではない

米国とカナダの自動車をめぐる貿易摩擦は、より広い視点における本質を物語っている。

2つの企業が同じ国で事業を行い、同じ業界で競合し、同じ政府方針に直面していても、被る経済的影響は実質的に大きく異なる可能性がある。

地政学的環境から始めることで、潜在的な脅威を特定できる。業界分析は、その対象範囲を絞り込む。

しかし、企業の受けるエクスポージャーを理解するには、もう一歩踏み込む必要がある。

クロスボーダーの戦略・地政学リスクを分析する際、その出発点はビジネスモデル、より具体的には「個々の企業がどのように経済的価値を創造しているか」であるべきだ。その出発点こそが、トップにおけるどのリスクが、自社にとって実際に重要であるかを経営陣に教えてくれる。

forbes.com 原文

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