リーダーシップはしばしば、絶え間ない拡大のプロセスとして描かれる。
肩書は大きくなり、担当領域は膨らみ、背負う責任は増えていく。これはどれも真実であり、だからこそ多くのリーダーや、その立場を目指す人々は、周囲の複雑さが増すにつれて、新たなスキルを習得し、より高い能力を身につけることに注力するのだ。
しかし、そうした積み重ねや拡大の陰で、科学的に裏付けられた最も効果的なリーダーシップの実践のいくつかが極めてシンプルであり、しかも、他者に対して何らかの権限を持つずっと前に、私たちは皆それを経験していたということを見落としがちだ。
話し方はその1つである。
言葉づかいの些細な選択が、相手が自分を「味方」とみなすかどうか、こちらの要求に対して全力を尽くしてくれるかどうか、そして自分が相手に最高の成果を期待していると信じてくれるかどうかを左右する。
特別な研修や資格を必要とせず、今すぐ実践できる最もシンプルな3つの心得を紹介する。これらは「魔法の言葉」と呼べるかもしれない。どれほどキャリアの階段を上り詰めたとしても、覚えておく価値のあるものだ。
ロバート・チャルディーニが証明した「一緒(Together)」の力
人間に関する最も本質的で不変の真理の1つは、自分と同一視する相手を、そうでない相手とは異なる目で見るということだ。
良くも悪くも、私たちは相手を「自分たちの仲間」だと信じるとき、その人をより信頼する傾向がある。このパターンに気づくと、それがいたるところで働いているのが見えてくる。
心理学者であり『影響力の武器』の著者であるロバート・チャルディーニは、何が人々の説得力を高め、あるいは低下させるのか、その要因を何十年もかけて分類してきた。彼が最終的にリストに加えた原則の1つが「一体感(unity)」であり、これは相手を同じ「私たち」の一員として認識することから生まれる力だ。
その力は、私たちの進化の歴史の奥深くにまで根ざしている。人類の歴史の大半において、共通のアイデンティティや帰属意識は極めて重要な意味を持っていたため、私たちはそれを示す兆候に驚くほど敏感なのだ。
バラク・オバマの「Yes We Can(私たちならできる)」から、ジョン・F・ケネディが国民に国のために何ができるかを問いかけた言葉まで、リーダーたちは以前からこれを直感的に理解してきた。このパターンを意識すると、その応用があらゆる場所で耳に入るようになる。
この教訓はあまりに単純に聞こえる。だからこそ、改めて心に留めておく価値がある。
意図的に「一緒に」という姿勢を示し、本気でそう口にすることだ。あなたが自分と共に歩んでくれていると人々が心から感じたとき、信頼ははるかに育ちやすくなる。
ジョナ・バーガーが示す、行動を「アイデンティティ」に変える力
人々を自分の輪に引き入れたら、次はその力を最大限に引き出す必要がある。
それを実現する驚くほど効果的な方法の1つは、人々が「何をするか」だけでなく、彼らが「自分を何者だと信じているか」に訴えかけることだ。
ウォートン・スクール教授で『Magic Words』の著者であるジョナ・バーガーは、まさに私たちが今探求しているテーマを1冊の書籍にまとめ、言葉のほんの些細な変化が人々の反応をいかに劇的に変えるかを示している。
誰かに「手伝ってほしい(help)」と頼めば、それは断りやすい行為への依頼になる。だが「手伝ってくれる人(helper)になってほしい」と頼めば、相手のアイデンティティに訴えかけることになり、内発的な行動を促すことができる。同じような違いは、誰かに「投票してほしい(vote)」と求めることと、「有権者(voter)」というアイデンティティを呼び起こすことの間にも見られる。
この変化は些細に見えるが、心理的効果やその結果は決して小さくない。
誠実に向き合えるときはいつでも、単に完了してほしいタスクについて語るのではなく、相手がなり得る理想の人物像に向けて語りかけることだ。義務感はその場の従順さを引き出すかもしれないが、アイデンティティはその行動をより深い場所に根づかせるからだ。
アダム・ガリンスキーが示す、リーダーが「それ以上(More)」を期待すべき理由
「リーダー1人がすべてを左右する」という考え方は、歴史的誤謬の目録において「英雄史観(偉大人物説)」として登録されている。
振り返れば、チャーチルやナポレオンのような存在は非常に大きく見えるため、歴史は彼らが指し示した方向へ動いたかのように思える。もちろん、彼らが極めて重要であったことは確かだ。しかし、彼らが成し遂げたことは、最終的には彼らが説得し、組織化し、あるいは行動へと鼓舞した何千、何万、時には何百万もの人々を通じて実現したのである。
これは、コロンビア・ビジネス・スクール教授のアダム・ガリンスキーが著書『Inspire』で出発点に据えている考え方に近い。同書は、なぜある人々は周囲を引き上げ、他の人々は周囲を萎縮させてしまうのかについての、数十年にわたる研究の集大成だ。
彼のフレームワークでは、人々を鼓舞する存在を「ビジョナリー(先見者)」「エグゼンプラー(模範者)」「メンター(指導者)」と表現している。ここで特に役立つのが最後の「メンター」だ。なぜなら、人々を鼓舞するメンターは、共に歩む人々が自ら行動できるようになるよう促し、相手のアイデンティティに直接語りかけるからだ。
同じ方向性を示す、より古い研究群もある。教師が生徒に寄せる期待がその後の学業成果に影響を与えることが繰り返し示されており、それは期待によって、生徒が自分の能力をどう捉えるかが変化することも一因だ。
リーダーにとって、ここでの魔法の言葉は、単に「それ以上(more)」かもしれない。
「あなたならもっとできると分かっている」
「あなたにはそれ以上のことを期待している」
「もっと見せてほしい」
不用意に使えば、これらの言葉はプレッシャーとなり、悪循環を引き起こす引き金になりかねない。しかし、すでに一体感を築き、相手の可能性に対する信頼を示しているリーダーが使えば、まったく異なる意味として伝わる。
「私は、あなたの職務記述書に書かれた最低限の要求以上のものを、あなたの中に見出している」と。
そして、これら3つの教訓は1つに結びつく。
「一緒に」という言葉を使って、自分が誰の味方であるかを明確にする。アイデンティティに訴えかけて、行動を「なりたい自分」へと結びつける。そして、相手にはさらに与えられる力があると信じているからこそ、「それ以上」を期待するのだ。
キャリアを重ねるにつれて、リーダーシップは複雑さを増していく。幸いなことに、他者のベストを引き出す方法のいくつかは、そもそも複雑である必要などなかったのだ。



