銅鉱山の生産が落ち込み、2017年以来初の年間減少が視野に
別の要因は、銅鉱山の生産が落ち込んでいることだ。銅市場の需給予測などを行う国際機関、国際銅研究会(ICSG)によると、世界の銅鉱山生産量は2026年上半期に1.1%減少した。
世界有数の銅生産国であるチリ、インドネシア、コンゴ民主共和国では、いずれも生産量が減少した。チリは銅生産量で世界首位に立ち、世界供給量の4分の1弱を占める。2026年4~6月期の生産量は少なくとも19年ぶりの低水準となった。チリは2026年通年の生産見通しを2四半期連続で引き下げ、前年比2.6%減を見込んでいる。チリ共和国銅公社(CODELCO)と鉱山会社フリーポート・マクモランは、どちらも生産量が2桁減となったと報告した。
モルガン・スタンレーは2026年初め、銅鉱山生産量が増えると予想していた。2026年9月11日時点では、生産量が横ばいか、小幅減になるとみている。この見通しどおりなら、世界の銅鉱山生産量は2017年以来初めて年間ベースで減少する。
新たな銅鉱床の発見が減り、生産開始まで平均17.5年かかる
1年間の生産不振だけでも大きな問題だ。だが、その下には、何世代にもわたる問題があると私はみている。
金融情報と分析を提供するS&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスは、1990年までさかのぼって主要な銅鉱床の発見を追跡している。36年間に業界が発見した主要鉱床は263件で、合計約14億トンの銅を含む。
十分な量に聞こえる。だが、年代別に分けると印象は変わる。1990年代だけで7億1480万トンが発見されたのに対し、2000年以降に見つかった銅は合計6億8700万トンだ。
言い換えれば、26年間に行われた探鉱で見つかった銅量は、1990年代の10年間に届いていない。
このページのグラフを見てほしい。1990年代、業界は銅探鉱に約60億ドル(約9120億円)を投じ、7億1480万トンを発見した。発見した銅1トン当たりの探鉱費は約8ドル(約1216円)となる。2020年以降は164億ドル(約2兆4928億円)を投じたのに、発見量は870万トンだ。1トン当たりでは約1889ドル(約28万7000円)となり、銅を見つけるコストは225倍に上昇した。
見つけやすい鉱床は何世代も前に発見された。平均掘削深度は2010年以降で約50%深くなり、約600メートルに達した。鉱石品位は低下を続け、許認可にも以前より時間がかかる。S&Pによると、鉱床の発見から生産開始までの平均期間は17.5年に達する。2026年に鉱床を発見しても、銅の生産が始まるのは2040年代になる計算だ。


