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2026.09.12 22:27

AIが起こす次の波、テクノロジーが旅行業界をどう変えるか

Adobe Stock

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歴史上の大きな技術変革はいずれも、旅行を「より大きなもの」へと押し上げてきた。発見しやすく、予約しやすく、体験がよりパーソナルになるように。

オンライン旅行会社(OTA)自体、そうした変革のひとつから生まれた存在だ。その後に登場した検索エンジン、メタサーチ(横断検索)プラットフォーム、スマートフォンといった入口はいずれも進化の強力な起爆剤となり、最終的には現実世界の運用力を最も備えたプラットフォームに恩恵をもたらしてきた。

人工知能(AI)、とりわけ大規模言語モデル(LLM)は、こうした波の最新のものだ。適切な運用基盤を備えれば、これまでで最も実り多い波のひとつとなるだろう。

旅を届けることは高度なオペレーションの規律である

旅行予約は外から見るとシンプルに見える。しかしそれは、数十年にわたる投資がそう感じさせているからにすぎない。実際、確定したすべての旅程の裏には、サプライヤーの規則、ライセンス制度、決済義務、消費者保護といった複雑に入り組んだネットワークが存在している。

旅行商品を調達するには、国際航空運送協会(IATA)に関連するライセンスや認定が必要となる。決済を受け付けることは、加盟店リスクを負い、金銭的保証を提供することを意味する。英国の航空旅行主催者ライセンス制度(ATOL)EUのパッケージ旅行指令など、規制の枠組みは消費者保護に厳格な基準を設けている。

そして旅行商品を販売した後こそ、責任が始まる。スケジュール変更、返金対応、変更手続き、大量の問い合わせに対応する24時間体制のサポート。これらはいずれも謝罪すべき負担ではない。真の旅行リテーラーと単に旅行を売るだけの企業を分ける能力なのだ。

だからこそ、最も洗練されたAIプラットフォームは複製ではなく提携を選んでいる。ファネル(顧客獲得プロセスの入り口)の上流で旅行者にインスピレーションを与え情報を提供することに最適化し、その下の実行部分については各分野の専門プレイヤーと連携するのだ。AIは数カ月で「発見」を変えられるが、その発見を完結した旅へと変換するのに必要な数十年分のインフラと専門知識をもたらすのは、既存の旅行会社だ。

旅行仲介業者の役割

この構図に見覚えがあるとしても不思議ではない。オンライン旅行業界はこれまでにも、予約プロセスから仲介者を排除する「中抜き(ディスインターミディエーション)」が予測される局面を何度も経験してきた。そして、そのいずれにおいても、結果的には仲介者が以前よりも強くなって生き残ってきた。

最初の試練は検索エンジンだった。検索が旅行計画への入口となったとき、OTAはグローバル規模でパフォーマンスマーケティングを極めることで応じ、検索そのものを業界最強の顧客獲得チャネルの一つへと変えた。

次にメタサーチが登場し、価格比較が一般的になった。旅行会社はコモディティ化されるのを防ぐため、価格設定技術や独自の在庫戦略、ユーザー体験(UX)に投資し、実際に旅行が予約される場所としての地位を維持し続けた。

その後、スマートフォンが登場した。アプリへの移行は顧客関係を希薄にするどころか、かえって深めることになり、常時接続のエンゲージメント、豊富なファーストパーティデータ、そしてはるかに速い製品革新のサイクルをもたらした。

さらに最近では、単発の取引から継続的なメンバーシップ(会員制)への移行が見られる。当社の経験がこれを如実に示している。当社の旅行サブスクリプションプログラムの会員数は数百万人に達しており、サブスクリプションはビジネス全体の収益構造を一変させている。

AIを本当に効く場所で活用する

そして話は最新の波へと戻る。LLMは人々がインスピレーションを得る方法を変えつつあり、その変化は歓迎されるべきものだ。しかし、どれほどスマートな会話であろうと、複数の航空会社を組み合わせた旅程の発券や、払い戻し処理、あるいは深夜にフライトがキャンセルされた際の家族全員の再予約手続きを代行することはできない。今後成長を遂げるのは、新しい対話型のフロントエンドと、本物の実務的なオペレーション力を結びつけられる企業だろう。

そのためには、インフラが鍵となる。MCP(モデル・コンテキスト・プロトコル、AIモデルと外部ツールを接続するオープン標準規格)などの技術により、LLMは旅行プラットフォームのバックエンドシステムに安全に接続し、実際の取引を完了させることができる。私の組織では、この目的のために100以上のMCPサーバーを自社環境に導入したが、その効果は注目に値する。AIプラットフォームが旅行の履行業務(フルフィルメント)を自ら再構築しようとするのではなく、対話型AIが既存のオペレーション能力の上に位置する「追加の流通チャネル」となるのだ。

その基盤となるメカニズムが重要だ。例えば、月に数十億件もの検索を処理するには、航空会社のシステムへの負荷を軽減しながら検索結果を高速に維持するためのインテリジェントなキャッシュ機能が必要となる。また、サプライヤーとの深いシステム連携があってこそ、複数の移動手段(マルチモーダル)や異なる航空会社を組み合わせた複雑な旅程を構築し、購入時に旅行者に対して柔軟な予約オプションを提供することが可能になる。

次の波が報いるもの

当社のアプローチを形作ってきたのは3つの原則だ。言葉にすればシンプルだが、それぞれ長年の積み重ねの産物である。

1. AIをコアに組み込む

第一に、AIは単なる「機能」としてではなく、中核となる「業務遂行能力」として機能させたときに最大の効果を発揮する。つまり、社内での活用に習熟し、AIを用いて開発そのもののスピードを加速させるということだ。

当社の最も先進的なエンジニアリングチームでは、すべての新規コードが人間の指示のもとでAIによって生成され、その後、人間によって完全に検証されている。その結果、エンジニアリングの生産性は前年比で47%向上し、開発チームは5倍以上のビジネス機能に取り組めるようになった。

このような成果は、単にツールを導入しただけで得られるものではない。データインフラ、エンジニアリング文化、および独自のデータに対する持続的な投資を反映したものであり、AIはこれらを代替するのではなく、その効果を何倍にも高めるのだ。

2. 次に来るものを見据えて設計する

第二に、柔軟性が重要である。AIモデルやコスト、規制は進化し続けるため、より優れたモデルが登場した際に速やかに導入できるアーキテクチャこそが、レジリエンス(回復力)をもたらす。

永続的な価値は、これらのモデルを取り巻く環境、すなわちモデルが利用する独自のデータや、それらを統制するアーキテクチャに存在する。だからこそ、新世代のモデルが登場するたびにそれを取り込めるシステムを構築することが重要であり、そうすることで、業界の技術革新をコストのかかる移行プロジェクトにすることなく、即座に自社の利益に変えることができる。

3. AIを顧客のために働かせる

最も重要なのは、開発を加速するのと同じ知性を、顧客のために直接働かせることだ。

現在、予測モデルはそれぞれの旅行者が目にするものや体験を形作っている。フィルタリングが必要な無限のリストではなく、最初から関連性の高い検索結果が表示され、個々の旅行に適した旅程や柔軟なオプションが提案され、予約フロー全体がよりシンプルかつ正確になっている。旅行者が必要とするものを先回りして予測することは、検索や比較に費やす時間を大幅に削減することにつながる。

この方向性における最新のステップが、単なる推奨から実行へと移行するエージェンティックAI(自律型AIアシスタント)だ。顧客の視点から見れば、こうしたテクノロジーすべての目的はシンプルである。旅行の予約にかける時間と労力を減らし、実際に旅行を楽しむ時間を増やすことだ。

ただし忘れてはならないのは、AIはこうした基盤に報いるものであって、基盤そのものを代替するものではないということだ。過去のあらゆる旅行テクノロジーの波は、早期に取り組み、変化を通じて構築を続けた企業に報いてきた。LLMも例外ではない。

forbes.com 原文

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