数週間前、同僚がルルレモンの元最高情報責任者(CIO)ジュリー・アヴェリルによるある記事を送ってきた。企業内で起きているAI熱について書かれたものだ。彼女は、リーダーたちがAIを活用していることを示すよう迫られ、ベンダーは自社の技術で問題をより速く、より低コストで解決できると約束し、誰もがどれほどのスピードで動くべきかを見極めようとしている状況について記していた。
市場調査の世界でも、同じような議論が起きている。私たちは調査プロセスのほぼあらゆる部分を見直し、AIが何をより速く、より安く、あるいはより少ない人手で実現できるのかを問い続けている。もちろん、AIが調査にかかる時間とコストを削減できるケースはある。だが、作業のどの部分に人が不要になったのかを、私たちはあまりに性急に決めてはいないだろうか。
それは、調査を行う人々だけでなく、調査に参加する人々も含む。AIはすでにインタビューを実施し、回答を分析している。合成データや合成回答者は、通常なら調査のためにリクルートする人々の「代役」を務めている。私たちが慣れ親しんできたものより、はるかに人間の関与が少ない調査を想像することは可能だ。そしてそれは、控えめに言っても不安を覚えるものだ。
人間を研究するには、人間の直感が必要である
市場調査とは文字どおり、人間を研究する科学である。私たちは何十年もかけて、質問の仕方を学び、行動を観察し、回答に影響を与える多くの要因を考慮する方法を身につけてきた。それを今、どこまで機械で再現できるのかと問うている。最近よく耳にするのは、結果が「十分な水準」に近づいているという話だ。何にとって十分なのだろうか。
AIチャットボットは追加質問を投げかけ、一度に数百件のインタビューを実施できる。一方で、長年にわたり人々と対話してきたモデレーターは、再現が難しい直感を身につけている。ためらいが何を意味するのか、相手が「こう答えるべきだ」と思っている答えを述べているのはいつか、予期せぬ発言を深掘りする価値があるのはどんな時かを学んでいる。時にインタビューで最も有益な部分は、ディスカッションガイドから離れ、誰も予想しなかった方向へ会話を進めるべき瞬間を見極めることから生まれる。
一方、合成データモデルは、特定の属性を持つ人々がどのように反応するかを、その人々を毎回リクルートすることなく予測できる。それが有用な場面はあるだろう。だが、人のモデルは、人についてすでに知られていることをもとに構築される。人間には、私たちを驚かせるという厄介な習性があり、その驚きこそが最も重要な発見であることも少なくない。
ほとんどの調査は、最終的にはビジネス上の意思決定に戻ってくる。製品を発売するかどうかを決める場合もあれば、顧客が離れていく理由を理解しようとする場合もある。調査費用が下がっても、理解しようとしている人々から遠ざかるのだとしたら、実際にはどれだけの節約になったと言えるのだろうか。
自動化「したくない」部分を明確にする
AIをどこに組み込むべきかを決める前に、すべての企業がこの点について時間をかけて考えるべきだと思う。まず、顧客がなぜ自社を選ぶのか、従業員が特にうまく提供できるようになったものは何かを考えることから始めるべきだ。その作業の一部はAIに適しているかもしれない。一方で、別の部分は、そもそも顧客が自社を選んだ理由である専門性、関係性、経験と密接につながっているかもしれない。
調査会社にとって、人を理解することはその計算に必ず含まれなければならない。私たちはAIを使ってプロセスの一部を迅速化し、クライアントに当社との新たな協業方法を提供できる。だが、そうした効率化によって、調査者と私たちが理解すべき人々との距離が広がることは望んでいない。ある時点から、それは仕事そのものを変え始めるからだ。
答えは企業ごとに異なる。あるホテルは、スタッフとの一部のやり取りこそゲストが対価を払っている体験の一部だと判断するかもしれない。プロフェッショナルサービス企業であれば、長年その仕事を続ける中で培われた判断力を求めてクライアントが訪れていると理解しているかもしれない。AIはそうしたビジネスの他の部分には容易に馴染むだろう。
私たちは、ツールが何を置き換えられるかという話からこうした議論を始めるのをやめ、代わりに何を守りたいのかを決めるところから始めるべきなのかもしれない。どのスキルは、今後も人に身につけてもらう必要があるのか。人との直接的な接触は、そうでなければ見落としてしまう何を私たちに教えてくれるのか。体験のその部分から人が消えたら、顧客は何に気づくのか。企業は迅速に動くことができる。それと同時に、その過程で何を守ろうとしているのかを理解しておくこともできる。
AIを使い、試し、実際に業務に組み込んだときに何が変わるのかを見極めるべきだ。そこには、削減された時間よりも測定が難しいものも含まれる。AIによって事業がより良くなる領域が見つかるかもしれない。同時に、低コスト版にしたことで、顧客や従業員が思っていた以上に大切にしていた何かが失われる領域も見つかるかもしれない。
アヴェリルは、企業がAIを採用する中でなお残る人間の仕事を説明する際に、「常に私たちのものだった部分」について書いている。すべての企業は、自社にとってその部分が何であるかを特定すべきだ。
私たちにとってそれは、調査者が人を理解する方法を学ぶために費やす年月であり、適切な質問を投げかけたときに今なお私たちを驚かせてくれる実在の人々である。AIは、その仕事の進め方の一部になるだろう。ただ私は、その仕事の中にあった、独自で、好奇心に満ち、直感的で、感情的で、時に予測不能なほど人間的なものが何だったのかを、私たちが手放す前に確かめておきたいのだ。



