今回のSpecial Eventでも、ターナスがこれからのビジョンやアップルの存在意義、役割について語り、スルージがどのようにそれを製品として実現しているかを語った。
Duoは、この組織統合で練り上げた最初の製品でもある。A20 Proのパッケージや冷却機構、自社モデムのC2など自社技術で製品の中核を構成し「A20 Pro、C2、iOSを1つのシステムとして設計した」から低電波域での再接続が速い、とスルージは胸を張った。
チップと筐体とソフトウェアを、1つの組織で、1つの製品のために決められる体制でなければ出てこないアイデアの実現をこれからも進めるだろう。
一方で、今回のイベントからは見えなかった組織もある。それはAI部門だ。
AI部門はこの春、責任者の肩書きがSVPからVPへと格下げとなり、ソフトウェア担当SVPの配下に入った。Siri AIについて説明したのも、ターナス自身とソフトウェア責任者のクレイグ・フェデリギである。AIは製品の機能として語られるのみ。
これが正しいかどうかは別として、ターナス体制のAI観がそういう形をしているのか、それともクック時代の歪みを修正している段階なのかは、現時点では見えない。
ターナス体制でアップルが目指す場所
ターナスはアップルをどこへ向かわせようとしているのか。
企業としてのアップルは盤石に見える。前任者が作り上げたアップルの収益構造は、まだしばらくは盤石なままだろう。
36万4800円のDuoが、すぐにアップルの事業を支える製品になるわけではないことは明らかだ。アップルは、今秋の品揃えについて「ユーザーに選択肢を与えること、そして出す前にきちんと準備ができて完成したものしか出さないこと」の2つに集中していると語り、Duoがどの程度の市場を作り出すかには言及しなかった。
iPhoneは来年20周年を迎えるが、「外の世界は節目に注目するが、我々はしていない。可能ならiPhoneの将来を毎年再発明したい。特にフォームファクターで革新できればすばらしい。iPhone Airがその1つで、iPhone Duoがその次だ」という。
これから数カ月で、ターナスが打ち出す戦略のいくつかが具体的な数字になる。10月23日に発売されるDuoがどのような評判を獲得するのか。10月に予定される日本語のSiri AI、Duo向けにデベロッパーがどれだけアプリを書くか、そして例年10月末に行われる四半期決算は、ターナスがCEOとして初めて事業戦略を説明する場となる。


