仏原子力大手オラノの米子会社オラノ・エンリッチメントUSAは、米テネシー州オークリッジ近郊に新たなウラン濃縮施設「プロジェクトIKE」を建設するための許可を申請している。NRCによると、同施設の目的は「ガス遠心分離技術を用いて民生用原子力発電所向けの低濃縮ウランを生産し、政策立案者や業界関係者が国家のエネルギー安全保障上の懸念として指摘してきた重大な脆弱(ぜいじゃく)性である、外国のウラン濃縮技術への米国の依存度を低減する」ことにある。
米エネルギー省は1月、国内のウラン濃縮技術の強化に向け、今後10年間で27億ドル(約4100億円)を投じる方針を明らかにした。同省のクリス・ライト長官は、低濃縮ウランと高純度低濃縮ウラン(HALEU)関連の計画に対し、助成金を交付すると発表した。それぞれ9億ドル(約1400億円)の助成金を受けた3つの事業は以下の通りだ。
○ 米原子力企業セントラスエナジーの完全子会社であるアメリカン・セントリフュージ・オペレーティングと新興の米原子力企業ジェネラルマターによる国内のHALEU濃縮能力の構築。
○ オラノの米子会社オラノ・フェデラルサービスによる、北米最大級となる約7万平方メートルのウラン濃縮施設での低濃縮ウラン生産能力の拡大。
日本から米国へのHALEUの輸送
米エネルギー省傘下の核安全保障局(NNSA)は先般、日本から1.7トンのHALEUが輸送されたことについて、同局の歴史上、米国へのウラン輸送としては最大規模のものとして歓迎した。NNSAはこれについて、日本の文部科学省と日本原子力研究開発機構(JAEA)と共同で発表した。
NNSAのブランドン・ウィリアムズ局長は5月7日、次のように説明した。「NNSAは米国の原子力産業を支援するため、承認と意思決定の迅速性で記録を塗り替えている。次世代の原子炉にHALEU燃料を供給することは、原子力産業基盤の強化というトランプ大統領の目標を追求し、エネルギー分野で米国が優位性を確保する上で極めて重要だ」。NNSAのマシュー・ナポリ防衛核不拡散担当副局長は「日本との協力を通じて、当局は次世代の原子力発電を推進し、米国のエネルギー分野における優位性を確固たるものにしている」と強調した。
トランプ政権が推し進める「原子力ルネッサンス」
米エネルギー省は先ごろ、米国のエネルギー構成における原子力の割合の拡大に向け、過去1年間に達成した成果を公表した。同省は、原子力産業の振興を図るためにトランプ大統領が発令した4つの大統領令を挙げ、次のように説明した。「次世代原子炉の設計は、目覚ましい速度で重要な試験段階へと進んでいる。新規原子炉の許認可手続きは簡素化され、将来のエネルギー需要に対応するための核燃料供給体制も強化されている。運転を停止していた原子力発電所の再稼働は計画通り進んでおり、電力各社は既存の発電所の出力増強に向けた準備を進めている」。同省は、政権が掲げる「米国の原子力ルネッサンス」への取り組みを総括し、今後も継続していくことを強調した。


