25年前、米国の航空業界では、旅行者が刃渡り4インチ(約10cm)未満の刃物を携行したまま飛行機に搭乗できた。また、カナダや中南米から帰国する米国人は、パスポートを持っていなくても国籍を証明できれば入国できた。
今日では、乗客が空港に到着する前から保安審査が始まる。政府の監視リストとの照合や生体認証をはじめとする先進技術により、保安検査場にとどまらない身元チェックが行われているのだ。
9.11米同時多発テロから、今月11日で25年を迎えた。9.11が空の旅や米国への入国手続きをどのように変えたのか、また、どんな保安対策が日常的になり、多くの旅行者が「それ以前」の時代をほとんど覚えていないほどになったかを振り返ってみよう。
空港保安検査が連邦政府の管轄に
2001年当時、航空保安規則の制定は米連邦航空局(FAA)の所管だったが、乗客の保安検査を実施する責任を負っていたのは航空会社であり、通常は民間業者が請負で行っていた。
「同時多発テロに関する独立調査委員会(9.11委員会)」が最終報告書で空港保安システム全体に深刻な脆弱性があると指摘すると、急速に変化が訪れた。わずか2カ月後の2001年11月、米連邦議会は「航空・運輸保安法」を可決し、米運輸保安局(TSA)が設立された。
TSA設立20周年にあたる2021年の議会公聴会では、同庁の現職・元幹部らが証言に立ち、金属探知機やX線検査機を主軸とした画一的なシステムから、リスクに基づくアプローチ、「セキュアフライトプログラム」による乗客の身元審査、より高度な検知技術の導入へと、空港の保安検査がどのように進化してきたかを説明している。
今日、米空港の保安対策は多層構造となっており、連邦当局または連邦監督下の保安検査員、爆発物専門家、探知犬チーム、脅威情報に基づいたチェック、最先端の画像診断やCT(コンピューター断層撮影)スキャナーなどの各種技術を駆使した安全確保の取り組みが行われている。



