北米

2026.09.12 07:00

米国にディーゼルショック到来 ベネズエラの原油「支配」、即効性は望み薄

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ベネズエラの減少分を埋め合わせる格好になっているのはカナダ産原油だ。カナダから米国の製油所への原油供給量は1990年代後半の日量約110万バレルから、現在は約400万バレルにまで増えている。米国の原油輸入量全体のおよそ3分の2がいまやカナダ産だ。

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こうなったのは別に政治的な理由によるものではなく、むしろ化学的性質とコストが原因だ。

ベネズエラ産原油は重質で硫黄分が多いことで知られる。カリフォルニア大学バークレー校ハース経営大学院のデービッド・レビン教授は、その粘度を「冷えたピーナッツバター」にたとえている。こうした性質から、ベネズエラ産原油をパイプラインで輸送するにはナフサなど輸入品の希釈剤を混ぜる必要があり、それだけで、港に届くまでの段階ですでに1バレルあたり15ドル(約2300円)程度のコストが上乗せされる。また、硫黄分や金属分は設備の腐食や触媒を劣化につながる。ベネズエラ産原油が北海ブレント原油を1バレルあたり12~20ドル下回る価格で取引されているのは、それなりに理由があるということだ。

さらに、人材という問題もある。ベネズエラの石油技術者たちはこぞって国外に脱出しており、いまはヒューストンやカルガリー、ボゴタなどにいる。レビンによれば、ベネズエラでこうした人的資本を再構築するには10~15年かかるとみられるという。ある国に1週間で1000億ドル送金することはできても、一世代分の技術者を揃えることは不可能だ。

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調査会社のライスタッド・エナジーは、ベネズエラでおよそ1830億ドル(約28兆2000億円)の投資をいまから始めれば、2040年ごろまでに原油生産量を日量300万バレルの水準まで回復させることが技術的には可能と分析している。読者はそこまで長く待つ気があるだろうか。

ボトルネックは「川下」に

仮にベネズエラ産原油があすから潤沢に届くようになったとしても、米国はそれをもてあますことになるだろう。

米国の製油所稼働率は96%に達しており、この近辺の高稼働率が続く期間は25年あまりで最長になっている。これほどの高稼働率で長期にわたって設備を動かし続ければ、重大な故障を起こしかねない。

米国では年末までに、最大で日量300万バレル分の製油能力が保守点検のため停止する予定となっている。イランやウクライナなどでの戦争によって、燃料の供給能力が少なくとも日量500万バレル失われているなかでだ。

では、なぜ誰も製油所を増設しようとしないのか。

トランプ大統領は先日、ホワイトハウスで石油業界の幹部らと面会した際、まさにこの質問を投げかけた。答えは、気まずいがまっとうなものである。たしかに、現時点で米国で製油所を保有していれば莫大な利益を得られる。しかし、これから製油所を新設した場合はそうもいかないのだ。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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