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2026.09.11 22:41

AIが変えるエントリーレベルの仕事。人材パイプラインはどうなるのか?

Adobe Stock

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人工知能(AI)がもたらす生産性向上の恩恵を享受しようと、企業は急速に動き出している。かつては経験を積む過程の若手社員に任されていたリサーチ、下書き作成、文書化、基礎的な分析、コーディングなどの業務は、ますます迅速に処理されるか、あるいは完全に自動化できるようになっている。

この変化は、すでにエントリーレベル(初級)の仕事の経済学を変えつつある。ガートナーの報告によると、最高人事責任者(CHRO)の22%が、AIによる自動化を理由に、社内の少なくとも1人の事業部門責任者がエントリーレベル職の採用を停止したと回答している。

その算段は理解できる。テクノロジーが特定のタスクをより迅速かつ低コストで遂行できるのであれば、なぜわざわざ人を雇ってやらせる必要があるのだろうか。

しかし、それらのタスクには、職務記述書(ジョブディスクリプション)にはほとんど書かれない別の役割があった。それは、人々が必要な経験を積むのを助けることだった。

リーダーたちが業務の自動化を急ぐことは、将来的に自社が頼ることになる人材パイプラインの一部を、自ら破壊してしまうリスクをはらんでいる。

筆者は昨年末、リーダーたちが2026年に警戒すべき労働力リスクの一つとして、キャリア初期のパイプラインの空洞化を挙げた。歴史的に、人々が業務を学び、文脈を理解し、スキルを身に付けるのに役立ってきた若手向けのタスクの多くを、AIが吸収し始めていた。懸念されたのは、そうした業務を行うなかで生じていた成長の機会を、何が代替するのかということだった。

それから9カ月が経った今、この問いを無視することはますます難しくなっている。

エントリーレベルの仕事がもたらす「成果物以上の価値」

経験が求められるとき、その経験はどこかで培われなければならない。

何十年もの間、人々は徐々に難易度の高い仕事に取り組むことで能力を向上させてきた。提案する前にリサーチし、プレゼンテーションをする前に下書きを作成した。リーダーシップを発揮する前に観察を重ねた。重大な結果を招かない決定をこなし、その実績を経て、より重要な決断を任されるようになった。

仕事そのものは必ずしも高度ではなかった。だが、それをこなす過程で得られる学びは高度だった。

マッキンゼーは最近、AIによって効率化または吸収されつつあるタスクとして、リサーチ、文書化、データのクレンジング、基礎的なコーディング、予備的な分析などを挙げた。これらはまさに、人々が直感や判断力、そしてより複雑な仕事を引き受けるために必要な経験を、伝統的に培ってきた活動でもある。

この違いは極めて重要だ。

雇用主は、求める人材を定義する際に「経験」を頻繁に挙げる。しかし、経験とは労働市場に突然現れるものではない。誰かが、どこかで、それを得られる条件をつくり出したのだ。

AIがその条件を変えつつある今、雇用主はそれに代わるものを考えなければならない。

生産性の向上は今、人材の代償は後に

タスクの自動化は、即座に測定可能なリターンをもたらす。業務はスピードアップし、生産性は向上し、コストは下がるかもしれない。

しかし、成長への影響を測定することははるかに困難である。

3年後により複雑な仕事に備えるのに役立ったはずの業務が、ある従業員に割り当てられなかったことを、リーダーに知らせるダッシュボードは存在しない。

問題が顕在化するのは後になってからだ。組織がそうした業務をこなせる人材を必要としたときに、必要な経験を積む機会を与えられてきた従業員がほとんどいないことに気づくのだ。

この歪みの兆候はすでに現れている。ロイターが今週報じたところによれば、英国の雇用主の3分の1以上が、AIをはじめとする自動化の利用拡大などを理由に、過去1年間でエントリーレベルの機会を減らしたという。大企業では、ほぼ半数が求人が前年より減ったと回答している。

ガートナーはさらに踏み込み、キャリア初期のパイプラインを排除した組織は、人材を社内で育成する代わりに、経験豊富な人材を社外から割高で採用せざるを得なくなる可能性があると警告している。

自動化による短期的な経済効果は計算しやすい。だが、人材育成を怠ったことによる長期的なコストはそうではない。

この行動が多くの雇用主の間で広がると、ある矛盾が生じる。それは、企業が経験豊富な人材を求めて競い合う一方で、その人材を育てるための経路を自ら弱めているという矛盾だ。

AIが業務を代替するなら、育成メカニズムを再構築せよ

「かつてはそこから学べた」という理由だけで、古い業務を維持することが解決策ではない。しかしリーダーには、自動化されつつある仕事を通じて従業員がどのような能力を身に付けていたかを特定し、それらの学習機会を別の方法で代替する戦略が必要である。

学ばれていた内容を理解すれば、リーダーはそれを培うための新たな方法を考案できる。それは、段階的に難易度を上げる職務の割り当てや、部門横断的なプロジェクト、意思決定プロセスへの参加機会の増加、コーチングやメンター制度、あるいはAIが作成した成果物を評価し、検証する機会の提供などかもしれない。

タスクが自動化されたからといって、そのタスクを通じて培われていた能力の必要性が失われるわけではない。

AIは経験の獲得を加速させる可能性がある

もっと注目されるべきもう一つの可能性もある。それは、AIが従業員の能力開発を加速させ得るという点だ。

かつて情報収集に何時間も費やしていた人は、その情報の評価により多くの時間を使えるようになる。定型的な分析を行っていた人は、より早く解釈へと移行できる。従業員はAIを活用してアプローチを比較し、代替案を模索し、より早い段階で高度な業務に取り組むことができる。

しかし、重要な区別がある。より低次の業務を取り除くことと、人々をより高次の業務へと引き上げることは同じではない。後者には、意図的な設計が必要である。

マッキンゼーは、AIの出力を活用し、監督し、改善することを軸にエントリーレベルの役割を再設計することで、従業員がより早く判断力を養い、付加価値の高い問題解決に取り組めるようになると論じている。ガートナーも同様に、キャリアの早い段階から、より複雑で曖昧な状況に効果的に対処できるようにする育成体制を推奨している。

世界経済フォーラムとPwCは最近、この問題をさらに広い文脈で位置付けた。エントリーレベルの仕事の未来に向けた彼らのグローバルな枠組みは、AIが仕事を変えるなかで注意を向けるべき4つの領域として、「仕事へのアクセス」「ジョブデザイン(仕事の設計)」「人材パイプライン」「教育制度との連携」を挙げている。

言い換えれば、これは単に企業がエントリーレベルの採用を減らすかどうかという問題にとどまらない。仕事そのものが変化するなかで、人々が組織に入り、成長し、進んでいくプロセス全体を再設計する問題なのだ。

人材パイプラインには再設計が必要だ

そのためには、リーダーが従来のエントリーレベル向けプログラムの枠組みを超えて考える必要がある。

成長はキャリアを通じて起こるものであり、常に昇進し続けることだけが成長ではない。ストレッチアサイメント(実力より少し高めの課題)、部署異動、プロジェクトベースの機会、コーチング、メンタリング、異なる職務の経験などはすべて、能力を構築する機会となる。また、別の職種への転職や、一度仕事を離れて他で得たスキルや経験を携えて復帰することも同様である。

さらに、組織は「適格な人材」の定義を再考する必要もある。筆者は最近の記事で、リーダーたちが自ら人材プールを狭めてしまう方法について、採用や人事慣行がいかに不必要に優秀な人材を排除しているかを検証した。同じ原則がここでも当てはまる。組織は、経験を獲得する機会を減らしながら、求める経験の要件を上げ続けることはできないのだ。

課題は、時代遅れとなった「キャリアの階段」というパラダイムを維持することではない。あらゆるキャリア段階にある人々が、学び、成長し、多様な職務経験を得られるような方法を増やすことである。

AIは今後もタスクを削減し、仕事の進め方を変え、生産性を向上させる機会を生み出し続けるだろう。リーダーにとって、そうした機会を追求することには明白なビジネス上の合理性がある。

しかし、業務を自動化するという決定を下すたびに、別の検討事項が浮上する。それは、「人々はこの仕事を通じてどのような能力を培っていたのか、そしてこれからはそれをどこで培うのか」という問いである。

その答えを見いだした企業は、AIから生産性の向上を得るだけでなく、今後のビジネスで必要とされる経験豊かな人材を自社で育成し続けることができるだろう。

forbes.com 原文

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