3つ目は「アセット開発タイプ」で、横断デザイン組織である楽天デザインラボがモデル作成から画像生成までを一括して担い、完成した画像アセットをグループ全社に配布する運用体系だ。
「エージェント型AIツールとして提供されているサービス『Rakuten AI』は、当初営業用のプレゼン資料等で使用する統一ビジュアルが存在せず、社員ごとにバラバラな素材が使われていました。そこでデザインラボがトーン&マナーを定義してモデルを作成し、資料等で使いやすいAIイメージを一括生成した上で、完成画像アセットとしてグループ全社に配布しました。 また、ビジネスカンファレンス『Rakuten AI Optimism』では、キービジュアルのトーン&マナーを学習させたモデルで会場用ピクトグラムを作成し、Webサイトや会場サインとして展開しました」(宮下氏・吉田氏)
コミュニケーションコストを大幅削減
実際にカスタムモデルを構築・運用する中で、事前の想定以上の成果や知見も得られた。
まず挙げられるのが、商用利用における著作権の安全性だ。企業が生成AIを商業利用する際、最大の懸念となるのが他者権利の侵犯リスクである。
「Adobe Fireflyを採用した最大の決め手は、AI全体の基礎となる学習データが著作権上クリアな素材のみで構成されている点です。他社AIでは知らず知らずのうちに他社IPを侵害してしまう懸念がありますが、自社ブランドの看板を背負って発信する以上、安心・安全に商用利用できる基盤であることが最優先でした」(鈴木氏)
レビュー時間とコミュニケーションコストの削減も大きな成果だった。
「人間が作ったクリエイティブの場合、ロゴの位置や角度、トーンのズレが発生し、何度も出し戻し(修正指示)のやり取りが発生していました。しかし、モデル側でトーン&マナーや構図のルールが制御されているため、レビューの手戻りが激減しました。楽天グループの方針である『AI-nization(AI化)』により、マーケティング効率、オペレーション効率、クライアント効率それぞれ20%増を目指す『トリプル20』を推進するという点でも、責任者として事故が起こりにくい状況で最終確認できるという点でも非常に頼りになっています」(鍋嶋氏・鈴木氏)


