質の高い睡眠は、リーダーにとって不可欠な資産である。効率的にパフォーマンスを発揮し、栄養を処理し、感情をコントロールし、適切な意思決定を行う能力を高めるなど、リーダーシップに欠かせない多くの機能を向上させる。
しかし、予測不可能なスケジュールは、重要な意思決定を伴う役割につきものの、目に見えない契約の一部である。フライトの遅延、予期せぬ危機、ビジネス開発の繁忙期、あるいは単に責任の重さなど、そのすべてがリーダーの睡眠を妨げる要因になり得る。完璧で乱れのない睡眠スケジュールを期待するのは非現実的だ。
たった一晩の睡眠不足であっても、リーダーの認知パフォーマンス、特に記憶力は低下する可能性がある。効果的なリーダーシップを発揮する上で記憶力は極めて重要だ。なぜなら、リーダーという役割においては、情報を迅速に吸収し、重要な局面で適切な詳細を思い出すことが求められるからだ。
短時間睡眠後の記憶に運動がもたらす影響
学術誌『SLEEP』に掲載された最近の研究は、リーダーが短時間の睡眠を避けられないときに、何が役立つかについて興味深い知見を示している。研究チームは88人の健康な若年成人を募り、8.5時間または4.5時間の睡眠をとる4つのグループのいずれかにランダムに割り当てた。一部の参加者は事前に運動を行った。
運動グループの参加者は、夕方に最大酸素摂取量(VO2 max)の55〜60%の強度で30分間、中強度のサイクリングを行った。その数時間後、全員が就寝前に80組の顔と名前のペアを覚えた。翌朝、研究チームは学習内容をどれだけ覚えているかをテストした。
睡眠を制限された参加者のうち、運動を行ったグループは、運動を行わなかったグループに比べて、遅延記憶想起テストで大幅に優れた成績を収めた。驚くべきことに、そのパフォーマンスは、8.5時間の十分な睡眠をとった参加者と統計的に同等であった。
徐波睡眠が記憶に重要な理由
この記憶における優位性が現れたタイミングは重要である。研究チームは、直後の想起テストではグループ間に有意な差を認めなかった。これは、すべての参加者が当初、同等のレベルで情報を学習していたことを示している。パフォーマンスの差は、睡眠が記憶の定着に影響を及ぼした翌朝に現れたのだ。
考えられる説明の1つは、ノンレム睡眠の最も深い段階である「徐波睡眠」に関連している。この段階は記憶の定着に不可欠であり、海馬で新しく符号化された記憶を再活性化し、大脳新皮質にある長期記憶貯蔵庫へと徐々に再分配するのを助ける。
同研究では、睡眠時間全体に占める徐波睡眠の割合が、運動と遅延記憶パフォーマンスとの関係を説明する手がかりとなった。
研究チームはまた、睡眠を制限された両方のグループが、睡眠に占める徐波睡眠の割合が高かったことも発見した。それにもかかわらず、運動グループの方が依然として優れた記憶パフォーマンスを示した。これは、運動が徐波睡眠の質や強度など、時間測定だけでは完全に捉えきれない側面に影響を及ぼしている可能性を示唆している。
著者らはこの解釈について、仮説を提示するものであり、さらなる研究が必要であると説明している。リーダーにとっては、睡眠時間が短い時期に運動がどのように認知パフォーマンスをサポートするかについて、新たな視点を加えるものである。
運動、睡眠、そしてリーダーの認知ツールキット
認知パフォーマンスを優先する忙しいエグゼクティブや創業者にとって、一般的な睡眠ツールキットには、サプリメント、立体型アイマスク、ノイズキャンセリングヘッドホン、そしておそらく、まぶしく点滅する家電製品のランプを覆うためのビニールテープなどが含まれるだろう。
運動もそのツールキットに加える価値がある。さまざまな状況によって睡眠時間が短くなる一方で、翌日も変わらず高いパフォーマンスが期待される。この研究で行われた介入は、30分間の中強度のサイクリングという、比較的緩やかなものだった。リーダーは、ただでさえ過酷な時期に、認知的な恩恵を得るために過度な負荷を自分にかける必要はないかもしれない。
また、一貫して運動を実践しているリーダーにとっては、その潜在的なメリットは1回限りのワークアウトにとどまらない可能性がある。
2023年に『Medicine & Science in Sports & Exercise』誌に発表された別の研究では、30時間の連続覚醒を経験した19人を含む、29人の健康な若年成人を対象に調査が行われた。睡眠不足のグループ内では、疲労度の影響を調整した後、心肺体力が高いことと、エピソード記憶のパフォーマンスが良いこととの間に有意な関連性が認められた。
著者らはこの知見を予備的なものと位置づけているが、体力そのものが、睡眠不足が記憶に及ぼす影響に対して一定の保護をもたらす可能性について、初期的な裏付けを示している。
リーダーにとってこのことは、身体的能力を認知ツールキットの一部として扱うべきだという主張を補強するものだ。睡眠は引き続き優先されるべきだが、重要な役割を担う中で、WHOOPなどのデバイスで完璧な睡眠スコアを常に獲得できるとは限らない。心肺フィットネスを高め、一貫した運動習慣を維持することは、そうした多忙な時期にリーダーに追加の緩衝材を提供する可能性がある。



