女友達とのグループチャットで、脳の健康がこれほど頻繁に話題になるとは思っていなかった。
「集中するのが難しい」
「スマホを開いては、なぜ開いたのか忘れてしまうのを繰り返している」
「いつもより頭にモヤがかかったように感じる」
夜更かしをした後に、少し物忘れがひどくなることは誰にでもある。しかし、これはそれ以上のことのように感じられた。注意持続時間、モチベーション、そして思考の明晰さが、リアルタイムで変化していくのを実感しているかのようだった。
「ハリー・ポッターの4巻を2日間で読み終えたときの脳と、今の私の脳が同じであるはずがない」と、あるユーザーがXに投稿していた。それこそまさに、私が感じていたことだった。かつては、作り話の世界に没頭して何時間も集中できていたのを覚えている。精神的に崩壊しそうになりながらも、ロースクール入学適性試験(LSAT)や司法試験の勉強に取り組み、乗り越えることができた。何が変わってしまったのだろうか。
答えは、私たちのライフスタイルである。
夜更かしだけでなく、スクロールを疑うべきだ
注意持続時間は短くなっており、研究者たちはその低下を、過去20年間のスマートフォン利用の拡大と密接に結びつけている。オックスフォードの2024年「今年の言葉」は「brain rot(脳の腐敗)」だった。アプリ、タブ、通知の間で絶えずタスクを切り替えることで生じる頭のもやを表す言葉だ。それは脳を浅く反応的な状態にとどめる。神経結合を実際に築き、強化する持続的な集中とは正反対である。
研究者たちが追っているもう1つのパターンもある。「デジタル健忘」だ。連絡先、道順、予定など、記憶をスマートフォンに十分に肩代わりさせると、自分で反復し、記憶として定着させる機会が減る。友人全員の電話番号を暗記していた頃を覚えているだろうか。今、いくつ覚えているだろうか。
午後3時の壁の正体は、思っているものとは違う
「メールからSlackへ、会議へ、そしてまた戻る。そのたびに失っているのは、数秒だけではありません」と語るのは、内科、腎臓内科、集中治療医学の3分野で専門医資格を持ち、ニューヨークのExtension Healthで長寿医療の専門家を務めるキャスリーン・レジェ医師だ。研究者たちはこれを「注意残余」と呼ぶ。次のタスクを始めるはずのときに、集中力の一部が前のタスクに張り付いたまま残る現象である。
「ディープワークは、スイッチを入れれば始まるものではありません」とレジェは言う。「鍛えるべき筋肉なのです。30分刻みの会議で埋まったカレンダーと、数分おきに鳴るスマートフォンは、ディープワークを妨げるだけではありません。その筋肉を萎縮させるのです」
「私たちは午後3時の壁を、昼食や前夜の睡眠不足のせいにしがちです。それらも一因ではありますが、午後の失速の大半は蓄積によるものです」とレジェは言う。午前中のあらゆる切り替え、あらゆる通知、途中で止まったあらゆるやり取りが、少しずつ重荷を増やしていく。午後3時には、脳は閉じることのできなかった未完了のループをいくつも引きずっている。午後3時に変わったのではない。午前9時から消耗し続けていたのだ。
米国企業社会は、こうしたことを前提に設計されていない。 連続する会議。常時稼働のSlack。即返信を求める期待。そのどれも中立ではない。脳が必要とする集中に逆行するライフスタイルである。私たちはそれをバーンアウトと呼び、感情の問題として扱う。だが、それは認知の問題でもある。
あなただけの問題でも、単なる加齢のせいでもない
「認知機能の低下は60歳から始まるわけではない」と、クリニーク・ラ・プレリーのロンジェビティ・イノベーション&サイエンス・ディレクターを務めるオルガ・ドニカは言う。「私たちの認知能力は、早ければ20代後半という段階から、極めて緩やかに、わずかな変化を始める。これは危機的なことではなく、単なる生物学的なプロセスだ。しかし、この事実によって、私たちがいつから脳のケアを始めるべきかという前提が根本から変わる」
ドニカによれば、それと同様に重要なのが「コグニティブ・リザーブ(認知予備能)」だ。これは、加齢によるストレスに耐え、神経変性に抗う脳の力を指す。この予備能は、人生の最初の20年間に学習や身体活動を通じて大部分が構築され、その後の人生においてもそれらを一貫して継続することが、脳の保護につながる。
これは、素早い思考を仕事にしている人にとって特に重要だ。交渉、プレゼン、あるいは自分に反対する人々で満ちた場を切り抜ける鋭さである。私たちはブレインフォグを性格上の癖のように片づけ、グループチャットで冗談にしがちだ。だが実際には、それは予備能が取り崩され始めている最初のサインなのだ。
誰も教えてくれない10年
キャスリーン・レジェ医師は、35歳を実際の変曲点として指摘する。更年期移行期の始まりであり、ホルモン産生が変化し、抗酸化防御が弱まり、筋肉量の維持が難しくなる時期だ。「これらの変化が重なると、脳の健康と認知機能に大きく影響する可能性があります」と彼女は言う。
長寿クリニックも、この時間軸に追いつきつつある。クリニーク・ラ・プレリー独自のプロトコルにも、その変化は反映されている。40歳未満のゲストには、40歳超のゲストとは異なる脳MRIのアプローチを用いる。これは、この時期が実際にはいかに早く始まるかを認めるものだ。睡眠、運動、本物の食べ物といったデータの背後にある日々の習慣は、銀行口座の残高に関係なく、誰にでも手に入る。
科学の内側
クリニーク・ラ・プレリーの「ブレイン・ポテンシャル」プログラムは、ローザンヌ大学病院(CHUV)の神経画像研究所LRENとともに2年をかけて開発され、学術誌『Neuroscience and Biobehavioral Reviews』に発表された。ドニカはこれを、健康で高機能な人々の脳の老化に特化して構築された初の包括的な長寿プログラムであり、治療ではなく予防として位置づけられるものだと説明する。
プログラムは、CLPが「ロンジェビティ・マスター・アセスメント」と呼ぶものから始まる。遺伝子スクリーニング、腸内マイクロバイオームのシーケンシング、包括的な心血管評価に至るまで、300を超える健康変数を扱い、それを脳MRIとAIを活用した容積解析につなげることで、通常なら発見される何年も前に構造的変化を示す。結局のところ、血管の健康は認知機能低下の最も強力な予測因子の1つである。ドニカの言葉を借りれば、「健康な心臓が、活力ある脳をもたらす」のだ。
この血管との関連があるからこそ、同プログラムは運動そのものだけでなく、その周辺条件にも目を向ける。ドニカによれば、どこで運動するかは、運動するかどうかとほぼ同じくらい重要だ。大気汚染はBDNF(脳由来神経栄養因子)を抑制することが示されている。BDNFは、運動が脳の新たな結合を守り、構築するために依存する神経化学物質である。つまり、交通量の多い道路沿いを走ることは、より空気のきれいな場所で走ることで得られる効果の一部を打ち消してしまう可能性がある。
では、実際に何が効くのか
MRIやバイオマーカーパネルを取り払うと、2人の女性はいずれも同じ短いリストにたどり着く。
本当のベースラインを把握すること。標準的な血液検査だけではなく、炎症状態、代謝の健康、睡眠構造、腸内マイクロバイオームの構成、認知機能について、より全体像を捉える必要がある。ドニカが言うように、測定していないものを最適化することはできない。
睡眠を「できれば取るもの」ではなく、薬のように扱うこと。睡眠中、脳は老廃物を除去し、記憶を定着させる。忙しい週に省いてよいライフスタイル上の好みではない。
ディープワークの時間を、上司との会議のように守ること。通知を切り、余分なタブを閉じ、マルチタスクしたい衝動に抵抗する。あらゆる切り替えにはコストがある。毎日それを少なく積み重ねることは、この記事の冒頭で触れた集中力を取り戻す最もシンプルな方法の1つである。
意図を持って体を動かすこと。運動するかどうかだけでなく、どこで、どのように運動するかが重要だ。トレッドミルとポッドキャストに流されるのではなく、身体と心を同時に挑戦させるのである。
レジェの助言は、そのほかの雑音を切り払う。「流行は避け、退屈に見える基本を続けることです」と彼女は言う。「これらの介入は、すでに良好な健康をさらに高めるためのものであり、それに取って代わるものではありません」
それは、ある意味で安心材料でもある。注意持続時間を取り戻すために、必ずしもToDoリストに何かを追加する必要はない。むしろ、やることを減らし、より多く眠り、意図を持って体を動かし、そのスマートフォンを置くことなのかもしれない。



