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2026.09.11 13:59

AI導入における最大のボトルネックは「インフラ」だ

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企業によるAIへの支出と、実際の導入状況との間の溝が深まっている。同時に、新たなトレンドがAIの価格設定を左右している。これはかつて半導体(チップ)やストレージでも見られた現象であり、容量は増え、コストは下がっているのだ。

AIが安価になれば参入障壁は下がる。それにもかかわらず、データを見る限り、企業全体でAIが広範かつ実質的に活用される状況にはつながっていない。真のボトルネックを明らかにするため、筆者はビジネスリーダーが現場で何を経験しているのかを調べた。そこから浮かび上がったのは、AIインフラにおける2つの要件である。市場が必然的に変化するなかで適応できるだけの柔軟なテクノロジーと、そのテクノロジーを実際に活用するための社内の準備態勢だ。

「豊富さ」が不利に働くことも

企業のテクノロジーリーダーは現在、モデル、ツール、アーキテクチャ、インフラをめぐる重大な意思決定の迷宮に直面している。

OpenAIやAnthropicのようなプロバイダーとの長期契約は安定性を約束するかもしれないが、企業AIの導入拡大には、柔軟性と信頼性のバランスを取ることがますます不可欠になっている。基盤モデルやオーケストレーションツールの選定から、オープンなアーキテクチャとプロプライエタリなアーキテクチャのどちらを選ぶかに至るまで、あらゆる選択は今日の実装をはるかに超えた影響を及ぼす。こうした意思決定が、組織がAIをどれだけ迅速に拡張できるか、どれだけ効果的に統制できるか、そして適応できる体制を整えられるかを左右する。

数字が示す現実

筆者は、世界的なERPベンダーであるInforの最近の調査を確認し、世界のAI導入に影響を与え、また制約している要因をよりよく理解しようとした。Inforの調査によると、企業の意思決定者の80%は、自組織にはAI実装を管理する社内能力があると考えている一方で、ほぼ半数(49%)は導入のごく初期段階にとどまっている。

この自信と実態のギャップは個人レベルにも表れている。筆者の会社であるProsper Insights & Analyticsの最近の調査では、経営幹部と事業主の53%がすでに生成AIを利用していると答えたのに対し、従業員では38%にとどまった。これは、認識と実行の断絶が取締役会だけでなく、組織図全体に及んでいることを示唆している。

これらの結果は、AI実装が技術的課題であると同時に、インフラ、ガバナンス、セキュリティ、データ品質、チェンジマネジメントにまたがる組織的課題でもあることを示している。

その方程式の中心に引き続きあるのがセキュリティだ。

Inforの調査回答者のうち36%は、データセキュリティ、データ主権、プライバシー、または規制遵守を、AIのより広範な導入を妨げる最大の障壁として挙げた。さらに25%はAIシステムを設定・維持するための社内専門知識の不足を挙げ、23%は事業価値または投資収益率をめぐる不確実性を指摘した。

筆者はInforのAIイノベーション担当SVPであるRick Riderに話を聞いた。彼は、これらの懸念が互いに関連し合っていると指摘する。

「組織は、AIを機密性の高いビジネスプロセスに自信を持って導入できなければ、ROIを自信を持って算定することはできない。同様に、基盤となるデータと、それに基づいて動作するシステムの双方を信頼できなければ、ワークフローを完全に自動化することはできない」とRiderは述べた。「データの準備態勢は、AIにおいて最も見落とされがちな課題の1つであり続けている」

Inforの調査はRiderの見解と一致している。回答者の4分の1超は、自組織のデータが信頼性の高いAIを支えるのに十分な成熟度とガバナンスを備えているかについて「わからない」、または「そう思わない」と答えた。これは重要だ。最も高度な基盤モデルであっても、信頼できる成果を生み出すには高品質な企業データに依存しており、規制対象またはミッションクリティカルな環境で組織がAI生成の出力を信頼するには、なお半数近くが手作業によるレビューを必要としているからだ。

信頼はイノベーションと同じくらい重要である

AIが単なる情報の生成を超えて、自律的なアクションを実行するようになるにつれ、信頼はいっそう重要になる。

自律型AIエージェントは、業界で最も有望なフロンティアの1つである。しかし、企業のリーダーは慎重な姿勢を崩していない。Inforの調査回答者のほぼ3分の1は、自律型エージェントに重要なビジネスプロセスを実行させることに不安を感じると答えた。その慎重さは経営層に限られない。Prosper Insights & Analyticsの調査によると、米国の一般人口のうち、エージェント型AIを「良いアイデア」だと考える人は18%にすぎない。より強気の傾向が明確な経営幹部と事業主でさえ、同意したのは34%であり、従業員では19%だった。

Riderによれば、その躊躇は当然のことだという。

「企業はモデル性能をテストしているだけではない。説明責任を評価しているのだ。リーダーには、AIシステムが一貫して動作し、規制を遵守し、機密情報を保護し、明確に定義されたガードレールの内側で運用されるという確信が必要だ」とRiderは述べた。これは、より広範な感情とも一致している。米国人の40%は、AIが幻覚(ハルシネーション)を起こしやすいことと、人間による監督の必要性を最大の懸念として挙げており、経営幹部の回答とほぼ同じである。

Sigma360創業者のStuart Jones, Jr.によれば、信頼の必要性は金融サービスのような規制の厳しい業界でとりわけ重要である。Sigma360は、リスクインテリジェンス、金融犯罪防止、コンプライアンスのためのAIプラットフォームであり、世界の銀行、フィンテック企業、決済事業者向けに2兆ドル超の資産を保護している。

「機関投資家や金融機関が、アナリストの対応余力を解放し、今日の消費者が期待するリアルタイム取引を支えるためにAIを使いたいと考える、時間のかかるプロセスは数多くある」とJonesは述べた。「しかし、ガバナンス基準が満たされていることを知る必要がある。データの完全性とスチュワードシップが鍵だ」

コストの予測可能性も同じくらい重要になりつつある。

AIの価格設定は急速に進化し続けているが、企業の予算策定は依然として長期計画に依存している。Inforの調査では、回答者の圧倒的多数にあたる87%が、長期的な投資判断を行う際には、固定的で予測可能なAI価格が重要だと答えた。

モデルの能力が向上し、競争が激化するにつれて、価格は今後も競争的になっていく可能性が高い。しかし企業には、低コストと同じくらい透明性が必要である。予測可能な価格設定は、AI導入を孤立したパイロットプロジェクトに限定するのではなく、部門横断で拡大することを可能にする。

最終的に、企業AIの勝者となるのは、最も適応性の高い基盤を構築し、その時々で最良のモデルを活用する組織である。

歴史が示す有益な指針

クライアントサーバーコンピューティングから仮想化、クラウドインフラ、現代的なデータプラットフォームに至るまで、企業テクノロジーにおけるあらゆる大きな変化は、硬直的なアーキテクチャではなく柔軟性に投資した組織に報いてきた。

AIでは、その賭け金はさらに大きい。イノベーションが従来の計画サイクルを上回る速度で進んでいるからだ。フロンティアモデル、オープンウェイト(モデルの重みを公開した)代替モデル、新たなオーケストレーションプラットフォームにより、企業の選択肢はほぼ毎月のように広がっている。

この環境では、相互運用性はもはや技術的な好みではない。戦略的優位性である。「われわれがAI戦略を構築したとき、出発点にしたのは、正確性を失わずにアナリストがより速く動くには何が必要か、という視点だった。金融サービス業界では、誰もがリスク評価の一部を異なる情報源から得ているため、非効率であるだけでなく、サイロ化している」とSigma360のJonesは述べた。「相互運用性、そして異なる問題を解決するために異なるモデルを使える能力が鍵だ。われわれは異なるデータソースを統合できるため、全体は部分の総和を上回る」

InforのRiderはこう述べている。「勝つ組織は、不必要なロックインを避け、適切な場面ではオープンなエコシステムを優先し、AI戦略のあらゆる層にガバナンスを組み込むだろう」

スケールを伴って前進する

企業AIに関しては、テクノロジー上の意思決定は今後、スケーラビリティ、適応性、実装速度、長期的な事業価値によってますます評価されるようになる。ここには前例がある。チップ、ストレージ、クラウドで、われわれはこの展開を見てきた。

しかしAIは異なる。このテクノロジーはムーアの法則をはるかに上回るペースで進化している。AnthropicやOpenAIのようなハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)間の競争、そしてGoogleやMicrosoftのようにAIを軸にビジネスモデルを転換する大手テクノロジー企業の動きは、熱を帯びている。フロンティア級の出力を無償で提供するオープンウェイトやオープンソースのモデルからの新たな脅威は、エコシステム全体に圧力をかけている。

企業のテクノロジーリーダーは、そのすべての中心にいる。成功は、パイロット段階を超え、柔軟性、信頼性、ガバナンスを軸にAI戦略を構築できるかどうかにかかっている。

forbes.com 原文

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