音楽

2026.09.20 11:30

3度のデビューで世界的アーティストに 「恐れ」を受け入れ進化し続ける表現者(SAKURA|LE SSERAFIM):30 UNDER 30

SAKURA(LE SSERAFIM)|アーティスト

「恐れない」より、「恐れを受け入れる」

デビュー当時のLE SSERAFIMには、「見せつけてやる」という切迫感があった。SAKURAも、「私は何でもできる」「私が世界を変えてやる」と本気で考えていたという。しかし、挑戦を重ねれば、成功だけでなく挫折も経験する。一度痛みを知れば、同じ場所へ飛び込むことが不安になる。

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「授賞式など、大きなステージに立つときは怖い。かけてきた時間が長い分、『失敗できない』と思うし、自分ひとりが間違えたら全員の足を引っ張ってしまうから」

さらに、「Perfect Night」が世界的なヒットになった時にも、彼女は別の恐怖を感じた。「『じゃあ次は何を伝えればいいんだろう』『これが頂点なのかもしれない』って怖くなったんです」。そういった経験が、「恐れない」から「恐れを受け入れる」ことへとSAKURAの価値観を変えた。

「弱さや未完成な部分をちゃんと話せる人のほうが、本当に強い人なのかもしれない。今は、『恐れない』というより、『不完全な私も私だから愛せるよね』という考えに変わりつつあります。『恐れはありません』というのは、ある意味では少しうそでもあると思うんですよ。挑戦するからこそ怖いし、うまくやりたいからこそ恐怖も生まれる」

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怖さは、それだけ本気だからこそ生まれるものだと、彼女は学んだ。

そういった進化のかたちは、ステージにも表れている。LE SSERAFIM は5人が緻密に揃ったパフォーマンスで知られるが、最近はメンバーそれぞれが表現したいようにやってみる場面も増えた。

「そのほうが難しいんですよ。自由な分、より難しくなるというか。だからこそ最近は、オリヴィア・ロドリゴさんやサブリナ・カーペンターさんといった、ひとりでステージを成立させるアーティストの方たちを見て研究させてもらってます。どのように曲の感情や物語をステージで表現してるのかなって」

同時に、チームのなかでの個々の役割のとらえ方も更新され続けている。公演後にはメンバーで反省会を行い、台本を修正することもある。日本での公演では進行役を担うことも多いSAKURAは以前、「みんなが話せるように、私は少し一歩引いたほうがいいのかな」と自分をセーブしていた。しかし、その考え方も変わってきた。「人によって100%って違うと思うんです。だから、みんなが今、このステージに100%で立っているって信じ合おう、という話をしました。自分のなかでは、セーブすることがメンバーへの配慮だったんです。でも、本当にグループにとっていいことなのかなって考えたときに、逆にマイナスになっているかもしれないなって気づいた」

SAKURAは、肩の力が抜けた様子でそう話してくれた。今夏開催された「PUREFLOW」ツアーの神奈川公演でも、自ら主体となって会場を盛り上げる場面が多く見られた。

「自分の力をセーブせず、みんながそれぞれできることを100%やっていこうっていうのは、最近すごく気をつけているところです。今まではステージに立つことを、戦いのように考えていた瞬間があった。でも今は、自分たちのホームだと思って楽しめるようになったのも大きい。それに、ホームだと思えるようになってから、表現の幅も広がりました。『こういう表現もやってみようかな』っていう挑戦もしやすくなったんです」

その変化は観客との向き合い方にも表れている。

「昔だったら、お客さんの雰囲気が違うと、その空気にのみ込まれていたところもあって。でも今は、『この雰囲気、私たちが変えられるよね』って思えるようになりました」

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文=つやちゃん 写真=帆足宗洋(AVGVST) スタイリング=KIM HYESOO at SYOU ヘア=HA MIN at BIT & BOOT メイク=CHOI DASOM at WOOSUN

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