中小企業(SMB)や個人事業主が、先進技術や新しいビジネスの構築に必要なサポートにアクセスし、ロボティクスやドローンを活用したビジネスチャンスを掴む道が開かれつつある。
本レポートでは、ボッシュ・レックスロス(Bosch Rexroth)、SkyPSI、ローカス・ロボティクス(Locus Robotics)、ビーグル・テクノロジー(Beagle Technology)、リッチテック・ロボティクス(Richtech Robotics)の経営幹部やリーダー、専門家らが、ロボティクスやドローン、および新たなビジネスチャンスについて語る。これらの技術や新しいビジネスモデルがどのように機能し、なぜ有効なのか、そしてブルーカラー労働者や中小企業のリーダーが知っておくべきことについて解説する。
ロボティクスが農業、清掃、倉庫などの分野で中小企業の商機を切り開く
RaaS(Robotics-as-a-Service:サービスとしてのロボティクス)モデルに投資する企業により、世界中の幅広い業界の中小企業や個人事業主がロボティクス技術を導入しやすくなっている。労働力不足や自動化による恩恵を背景に、農業、清掃、製造、フリート・物流など、数多くの商業分野でドローンやロボティクスの需要が高まっている。
テキサス州ダラスのテクノロジー企業SkyPSIは、ブルーカラー労働者の起業を支援するRaaSビジネスモデルに500万ドル(約7億7100万円)を投資している。ビルの外壁清掃業界で事業を展開するSkyPSIは、商業用の外壁清掃ドローンを提供するだけでなく、オペレーターに対して業務上の完全な指導やサポートも提供している。
ダラスで事業を開始したSkyPSIは、このRaaSビジネスモデルと事業を全米に拡大する計画だ。
「私の見解では、今後RaaS企業が参入し、ブルーカラー労働者が自身のビジネスを立ち上げて運営できるようにする流れが見られるようになるだろう」と、SkyPSIの創業者兼CEOであるヴィック・ペリカノ氏は筆者に語った。
「以前は、10年間の訓練や商業契約などがなければ、地域で窓清掃会社を立ち上げることは不可能だった。しかし今では、私たちが技術と必要なものを労働者のもとに直接届けている」とペリカノ氏は述べた。
倉庫や製造業の分野でも、中小企業や独立した労働者にとってのビジネスチャンスが増加している。
組み立て、ピック・アンド・プレース、包装、CNC(コンピュータ数値制御)機械、パレタイジング(荷積み)などに対応する7軸協働ロボットを製造するボッシュ・レックスロス傘下のカソウ・ロボッツ(Kassow Robots)でシニア・ビジネス開発マネージャーを務めるエリック・アップダイク氏は、ロボティクスはもはや中小企業にとって巨額の資本を要するプロジェクトではなく、実用的なビジネスツールになったと語った。
製造、倉庫、産業分野の小規模な企業は、大規模なエンジニアリング部門や多数のロボットを必要とせず、さまざまなアプリケーションを通じてプロセスを自動化できるとアップダイク氏は指摘する。「これにより、メーカーや倉庫だけでなく、インテグレーション、導入、メンテナンス、RaaSに携わる独立したオペレーターにもチャンスが生まれる」
ロボティクスを人の代替としてではなく、小規模チームがより多くのことを行い、はるかに大きな規模で競争するための手段と捉える企業は、生産性に間違いなく好影響を実感するだろう、とアップダイク氏は付け加えた。
一方、ローカス・ロボティクスのCEOであるリック・フォーク氏は、ロボティクスの導入によって中小企業やオペレーターはより大きな仕事を引き受けられるようになり、能力不足を理由に顧客を断る必要がなくなると語った。
「これにより、中小企業は、最初に恒久的なインフラ投資を行うことなく、より大口の顧客を開拓し、繁忙期のプログラムを管理し、あるいはより複雑な電子商取引(EC)のフルフィルメントを処理することに自信を持てるようになる」とフォーク氏は述べた。
農業分野では、従来の農業機械を刷新するフィジカルAI・ロボティクス企業、カリフォルニア州拠点のビーグル・テクノロジーの創業者兼CEOでロボティクスエンジニアのヤン・ファン氏が、機械を動かすオペレーターの重要性について語った。「優秀なフィールド技術者やオペレーターであれば、機械と数時間向き合うだけで、長年の経験に基づいて潜在的な問題を即座に指摘できることがある」
「これだけでも、個人事業主にとって多くのチャンスが生まれる」とファン氏は付け加えた。「ロボティクス企業は、フィールドテスト、導入、メンテナンス、トレーニング、および実用的なフィードバックを提供できる人材を必要としている」
「ロボティクス企業にとって価値のある存在になるために、ロボットを設計する人間である必要はない」とファン氏は付け加えた。「しかし、実際の業務を理解している人間になることはでき、それはロボットを作ることと同じくらい重要なことだ」
RaaS(Robotics-as-a-Service)ビジネスモデルはどのように機能するのか?
この分野が劇的に革新し、主要なプレーヤーが市場で競い合うにつれて、業務用ドローン、自動化のハードウェアとソフトウェア、および先進的なロボティクスの価格は近年低下している。しかし、中小企業やオペレーターにとって、こうした技術の購入は依然として手の届かない投資であることが多い。そこでRaaS企業の出番となる。顧客が先進技術を手に入れられるよう、より利用しやすいビジネスモデルを提供するのだ。
技術を手に入れることは、ビジネスの道のりの一端にすぎない。SkyPSIのペリカノ氏によれば、同社はドローンを製造しているわけではなく、パートナー企業を通じて流通させており、顧客は購入またはリースのいずれかを選択できる。しかし、SkyPSIの取り組みはそれだけにとどまらない。初期投資の後に労働者が自宅のガレージにドローンを放置したまま立ち往生するのを防ぐため、SkyPSIは不動産管理者や技術者との商業契約に入札して案件を獲得し、これらの契約を顧客に提供している。
「OEM(相手先ブランドによる生産企業)から直接購入する代わりに、このプロセスで当社と提携するメリットの一つは、私たちが彼らを現場に連れて行き、実際の仕事に就かせられることだ。なぜなら、私たちはすでに自ら入札して本物の仕事を獲得しているからであり、その現場を彼らに提供して働いてもらうことができる」とペリカノ氏は筆者に語った。
商業契約の提供に加え、SkyPSIはドローンや外壁清掃のトレーニング、保険への加入、法令を遵守してドローンを飛行させるために必要な米連邦航空局(FAA)の「Part 107」証明書の取得支援なども行っている。
「また、私たちがどのようにそれ(商業契約の入札と獲得)を行っているかを教えるために、彼ら自身のマーケティングや営業活動に関するトレーニングや支援も提供している」とペリカノ氏は述べた。
「私たちの目標は、彼らに自分のビジネスを運営する方法を教えることだ」とペリカノ氏は述べた。
単に技術を提供するだけでなく、それを超えたサポートを行うRaaSビジネスモデルは、業界の標準になりつつある。
ローカス・ロボティクスのフォーク氏は、オペレーターは最初に大規模な自動化システムを前払いで購入する代わりに、ロボット、ソフトウェア、サービス、サポートを含む予測可能な運用モデルに移行し、ビジネスの必要に応じて能力を追加していくことができると述べた。
「RaaSが機能するのは、経済性が運用に連動するからだ。資本を温存し、段階的に拡張し、2年後にはまったく異なる可能性のある予測に基づいて、固定システムの規模を今決めてしまうことを避けられる」とフォーク氏は述べた。
中小企業や個人事業主がロボティクスとドローンについて知っておくべきこと
SkyPSIのように、ブルーカラー労働者に対して総合的なロボティクスビジネスのアプローチを提供するRaaS企業が増えている一方で、意思決定者が知っておくべきことはまだいくつかある。
法律事務所LawPLAの創設者であるパラグ・L・アミン氏は、ドローンやロボティクスは中小企業に真のチャンスをもたらす一方で、法的なリスクも生み出すと筆者に指摘した。
アミン氏は、法的な分析はまず次の3つの質問から始めるべきだと説明する。どこで業務を行っているか、機器を使って具体的に何をしているか、そしてその活動を管轄する政府機関はどこか、という問いだ。
「これらの回答によって、連邦政府の規則、州の規則、現地の規則、あるいはその3つすべてに対処する必要があるかどうかが決まる」とアミン氏は述べた。「さらに、機器をリースする場合やサードパーティのオペレーターと協力する場合は、誰がコンプライアンスを確保し、誰が保険に加入し、何か問題が発生したときに誰が責任を負うのかを契約書に明記しておく必要がある」
「今これらの質問に先んじて対処している企業こそが、将来チャンスが訪れたときにも競争を勝ち抜いていけるだろう」とアミン氏は述べた。
ローカス・ロボティクスのフォーク氏は、米連邦通信委員会(FCC)が最近、外国製の先進的なロボット機器を「対象機器リスト(Covered List)」に追加したと述べた。これにより、米国における機器の認可や市場アクセスに関する新たな考慮事項が生じているという。
「ロボットがどこで設計・製造されているか、その特定のシステムが必要な認可を受けているか、およびそのサプライヤーが導入期間全体にわたってプラットフォームの提供とサポートを継続できるかを尋ねるべきだ」とフォーク氏は述べた。
一方、リッチテック・ロボティクス(Richtech Robotics、NASDAQ:RR)の最高執行責任者(COO)であるフィル・チェン氏は、ロボットは労働力における資産であり、効率を高め、人間の従業員をサポートする存在であることを事業主は知っておくべきだと語った。
短期の試用期間が終了してロボットが返却されると、スタッフたちが真っ先に、ロボットが提供していた業務サポートがなくなって寂しいと口にすることが多いという。
国際ロボット連盟によると、米国の自動化は現在成長軌道にあるものの、労働者1万人あたりの産業用ロボット稼働台数は307台にとどまり、韓国の1220台やドイツの449台といった世界をリードする国々と比較すると、依然として国際的な基準を下回っている。
米国のオペレーターがこの格差を埋めるのを支援するため、リッチテック・ロボティクスのようなロボティクスプロバイダーはリスクフリーの試験的なパイロットプログラムを提供し、企業が長期的な契約を結ぶ前にフィジカルAIを体験できるようにしている。
ロボティクスとブルーカラー労働者の未来
「ブルーカラー労働者は自らの手を使って稼ぎたいと考えており、それを実現するために独自の技術を必要としている」とSkyPSIのペリカノ氏は語り、ブルーカラー労働者に必要な技術、トレーニング、サポートを提供する企業が果たすべき役割を強調した。
「オペレーターに力を与えるという発想、その大きなビジョンを通じて、米国で見られるようになるのは小規模ビジネスの爆発的な成長だ」とペリカノ氏は述べた。
ロボティクスやドローンが進化を続ける中、労働力不足を解消し、パフォーマンスを向上させると同時に、中小企業や個人事業主に対して先進技術以上の力をもたらす新しいRaaS企業が台頭している。農業、商業清掃、物流、製造、および拡大を続けるその他の商業分野にわたり、先進技術とロボティクスは、ブルーカラー労働者がイノベーションを起こし、技術に裏打ちされたビジネスを確立するための新たな道を切り開いている。



