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2026.09.11 10:03

AIを悪用した詐欺、暗号資産ハッキングに迫るセキュリティ脅威に

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なりすましやAIを駆使した詐欺が、暗号資産(仮想通貨)における最大級のセキュリティ脅威の1つとして台頭しつつある。ブロックチェーン分析企業チェイナリシス(Chainalysis)のデータによると、2025年に暗号資産詐欺へ流入したオンチェーン(ブロックチェーン上)資金は、少なくとも140億ドル(約2兆1600億円)に上るという。ただし、そのすべてがAIに関係しているわけではない。Fractlの創業者兼CEOであるリーム・サルミ氏はインタビューで、「投資家を装っているが、実際にはまったくそうではない人が大勢いる。彼らは投資先を探しているか、実質的には詐欺行為を働いているのだ」と語った。サルミ氏は、テクノロジーそのものが境界線を曖昧にしていると指摘する。「AIは大きなバズワードだが、そこに人間がどのように関わっているのかがもうわからない。1人会社でよいのか、それとも依然として堅実な大規模チームに資金を投じるのか」

AIを悪用した詐欺の経済性

サルミ氏は、AIはもはや独立したカテゴリーではなくなったと述べる。「あらゆるものの一部になっている。つまり、もはやそれ自体で独立したものではない」。チェイナリシスによると、AIベンダーとオンチェーン上のつながりがある詐欺は1件あたり平均320万ドル(約4億9300万円)で、そうしたつながりのない詐欺の71万9000ドル(約1億1100万円)を大きく上回る。ただし同社はこれを因果関係として提示しているわけではない。サルミ氏は、なお有効な防御策は、誰にもコピーできないデータだと語る。「スタートアップが堅固な独自データを持っていれば、それを『バイブコーディング』で奪うのは非常に難しい。真に高品質で深いデータを得るには何年もかかるからだ」

その一端としてチェイナリシスは、大規模に偽のアイデンティティを構築するために使われるディープフェイク、顔交換ソフト、大規模言語モデル(LLM)を挙げている。AlongIDの共同創業者兼CEOであるエリカ・マスラウスカイテ氏はインタビューで、「現在のAIでは、あらゆるものを偽造できる。文字通り、すべてを偽造できるのだ」と語り、課題は「何が真実で本物であり、何がそうでないかをどのように検証するかだ」と指摘した。

ハッキングの手口も変化している

AIを悪用した詐欺の登場によって、従来型のハッキングが陳腐化するわけではない。攻撃者は、スマートコントラクト(ブロックチェーン上の契約自動実行プログラム)を破らずとも、その利用を認可された人物を侵害すれば済むからだ。

「Web3ではもはやコードが必ずしも最も弱い環ではない。スマートコントラクトのセキュリティが向上するにつれ、攻撃者はプロトコルを取り巻く人、認証情報、ガバナンスシステムへと関心を移している」と、大手暗号資産取引所バイナンス(Binance)のチーフセキュリティオフィサー(CSO)であるジミー・スー氏は語る。「Binance SecurityがBrainTrustに対する120万ドル(約1億8500万円)のガバナンス攻撃を未然に防いだ際、私たちはこれを直接目の当たりにした。今日プロトコルを守るとは、そのコードだけでなく、誰がそれを制御でき、その制御がどう行使され、その背後にあるインフラや人物までも守ることを意味する」

バイナンス・リサーチ(Binance Research)の調査によると、2026年4月だけで、DeFi(分散型金融)のエクスプロイト(脆弱性攻撃)による損失額6億2100万ドル(約957億円)のうち、約3分の2をアクセス制御の不備が占めていた。Paraの創業者兼CEOであるニティヤ・スブラマニアン氏は、ポッドキャスト番組「On The Margin」で次のように語っている。「ウォレットは究極的には、オンチェーンで発生するあらゆる事象の認可および制御フローのレイヤーだ。すべてのブロックチェーン、すべてのDeFiプリミティブ(基本構成要素)、オンチェーンで実行できるすべてのアクションはウォレットを経由する必要がある。だが、人々はいまだこれを完全には理解していないように感じる」

帰属特定の問題

ブロックチェーンの透明性は、暗号資産が持つ最も強力なフォレンジック(科学捜査)上の利点の1つであり続けている。しかし帰属を特定するには、取引の外にある文脈が必要だ。BitOKの創業者兼CEOであるドミトリー・マチヒン氏はインタビューで、ミキシングは依然として空白地帯だと語った。「チェイナリシスでさえ、ミキシングに対する100%の解決策は持っていない」。また、差し押さえ通知が必ずしも行動につながるわけではないとも述べた。「イスラエル政府が公式文書で一部のウォレットを差し押さえた事例があった。つまり、それらのウォレットは、あらゆる取引所や暗号資産を扱うあらゆる事業体によって文字通りブロックされるべきだった。しかし、そうはならなかった」

マチヒン氏は限界について率直だった。「私たちは誰かを捕まえているわけではない。ただ資金の経路を示しているだけだ」。彼は不正取引量を「全取引の0.1%未満」としたうえで、その割合は実態を過小評価していると述べた。「0.1%でさえ巨大だ。そして市場とともに拡大している」。また、暗号資産がなお支配的な1つの経路についても指摘した。「テロ資金供与については、法定通貨のほうがそのような禁じられた組織への資金供与をはるかに効率的に助けていると思う。しかしダークネットでの送金において、暗号資産はいまも最優先の手段だ」

チェイナリシスの2026年版レポートによると、2025年に英国の法執行機関は6万1000ビットコイン超を回収し、カンボジアの複合企業「プリンス・グループ(Prince Group)」に関連する150億ドル(約2兆3100億円)の没収を実現した。

次の標的は人間ではないかもしれない

コンコルディアム(Concordium)のチーフ・グロース・オフィサーであるヴァルン・カブラ氏は、ポッドキャスト番組「On The Margin」で「すでに始まりつつある次の段階は、AIエージェントがあなたの代わりに取引を始めることだ。つまり、支払いを行い、サービスに登録し、おそらくいまや金融取引を処理する」と述べた。

その隔たりは受け手側にあると、彼は言う。「相手側、この場合は航空会社やチケット販売プラットフォームなどだが、実在する責任ある人間が取引の背後にいるかどうかを検証する手段がない。これが詐欺や、人間のふりをするボット、説明責任なしに動くエージェントへの扉を開きかねない」

カブラ氏は、エージェントによるトラフィックが人間の取引を追い越すのは「6カ月から12カ月先」だとし、「人間からエージェントへの説明責任は、世界が解決すべき最大の課題だと思う」と述べた。スブラマニアン氏も、ユーザー側から同様のシフトを説明している。「エージェントの本質は購買のアウトソーシング(外注)であり、購買をアウトソーシングしたことがある人なら誰でも、そこにはトレードオフが伴うことを知っている」

Concordiumの「Agent Registry」は、エージェントに検証済みの人間の所有者と紐付いたオンチェーンのアイデンティティを付与するもので、同社によると2026年7月14日時点で1131のエージェントと1万5663件超のオンチェーン取引を保持していた。カブラ氏は、この紐付けが情報の露出とは異なると述べた。「私は常に、プライバシーと匿名性はまったく別物だと考えている」。彼はその仕組みを「選択的開示であり、ゼロ知識証明(自分の持っている情報の内容を明かすことなく、その情報を知っていることを証明する手法)が用いられているため、それがあなたであるとは誰にもわからない」と説明した。

XDC Networkの共同創業者であるアトゥル・ケカデ氏はインタビューで、そのためのレール(インフラとなる仕組み)はまだ整っていないと語った。「AIには現状トランザクションレイヤーがない」。コンプライアンス面も欠けていると彼は指摘する。「AIプラットフォームには、実際の取引で行動を実行するために使えるマネタイゼーション・コンプライアンス・レイヤーがない」。取引の相手方がその隔たりを迅速に埋めることはなく、「彼らが一夜にしてそのインフラを構築するのは不可能だろう」と述べた。

防御も自動化されつつある

チェイナリシスは、自社のAlteryaプラットフォームが、資金が流出する前に銀行や暗号資産事業者が既知の詐欺宛先を見つけるのに役立つとしている。マチヒン氏はこれについて簡潔に述べた。「AIなしでは生きていけないだろう」。彼は自身の追跡も同様のツールで行われているとし、「ラベル付けされたブロックの経路を示す当社の直感的なAI製品の助けを借りて、追跡できる」と語った。

マスラウスカイテ氏はこの隔たりを「インターネット上で欠けている信頼レイヤー」と呼ぶ。素材はすでに放置されている。「私たちのデジタルアイデンティティの属性は至るところに散らばっている。私たちはそれらをまったく制御できていない」。暗号資産が検証するのは取引であり、誰かがそれを認可する前に行った前提ではない。エージェントについて、彼女はカブラ氏と同じ線引きをする。「すべてのエージェントの背後で、誰が行動しているのかを検証する必要がある」

次に何が来るのか

ケカデ氏は、インフラに先んじて需要が到来しており、市場は「ほぼ光の速さで」成長していると述べた。犯罪者はコードのバグをまったく必要としないかもしれない。マスラウスカイテ氏は、ルールも後れを取っていると語る。「テクノロジーは、私たちが知る規制よりもはるかに速く発展している」

forbes.com 原文

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