マーケティング

2026.09.11 08:59

従業員アドボカシーの普及に「効果測定」が追いついていない現実

Adobe Stock

Adobe Stock

従業員アドボカシーとインフルエンス(影響力)は、公式に主流となった。従業員は個人のソーシャルメディアチャネルを利用して会社のメッセージを拡散し、新規ビジネスを創出する業界での信頼性を築いている。かつてはソーシャルメディアチームの末端に位置し、一握りの先見の明のある企業が試験的に導入していたプログラムが、今や世界最大級のブランドのいくつかにおいて、予算を確保された体系的なプログラムとして導入されている。

こうした早期導入ブランドは、あるシンプルな事実を理解していた。それは「人は人を信頼する」ということであり、意図的に連携させれば、その信頼は商業的なインパクトへと変わるということだ。

現在では、誰もがアドボカシーやインフルエンスの重要性を語るようになったが、その議論にはギャップが存在する。プログラムが存続できるかどうかを左右する2つの要素、すなわち「プログラムを静かに脱線させる間違い」と、「予算が逼迫した際にそれを死守するための効果測定の方法」について語られることはめったにない。

先行者が依然としてリードする理由

私の経験上、優位に立っているのは、アドボカシーを「実行すべきキャンペーン」ではなく「構築すべき能力(ケイパビリティ)」として扱った企業だ。それらの企業は、地道な作業を厭わなかった。組織内で信頼できる人材を見つけ出し、彼らが発信するためのスキルと自信を与え、その効果が複利的に現れるまで十分に長く継続したのだ。

信頼の構築には時間がかかるが、一度築かれれば維持される。だからこそ非常に価値があり、競合他社が真似をするのは極めて難しい。また、それは人々の購買行動にも根ざしている。LinkedInのある調査によると、B2Bバイヤーの87%が、ブランドによる売り込み用のメッセージよりも、信頼できる業界の有識者からのコンテンツを好むと回答している。顧客との間に本物の人間的な信頼関係を築くために何年も費やしてきたブランドは、信頼という無形の資産(信頼キャピタル)を手にしているのだ。

投資主体の変化からも、このシフトが見て取れる。GAPスターバックスといった誰もが知るブランドが、従業員が生成するコンテンツに体系的な予算とプログラムを組み込んでいる。これは、この手法が試験運用から標準的な実務へと移行した明確なシグナルだ。

プログラムが失敗に陥る要因

世界は、この人間主導のマーケティングアプローチの価値を認めつつある。私の経験では、大半のプログラムが失敗するのは、アイデアが間違っているからではない。誰もが内心では気づいていながら、めったに口にしない「回避可能な間違い」のせいだ。私が特によく目にする間違いは以下の通りである。

1. アドボカシーをケイパビリティではなく、キャンペーンとして扱っている

多くのチームは、アドボカシーを配信チャネルとして運用しており、キャンペーンの開始、新製品のニュース、イベントなどのタイミングでそのエンジンを稼働させる。その結果、次のイベントが来るまでリーチは急増と急落を繰り返す。信頼はそのようには構築されない。一貫した存在感によって築かれるものであり、その価値はイベントの規模ではなく、継続するリズムから生まれるのだ。アドボカシーとインフルエンスを、専任の責任者と独自の予算枠を持つ「常時稼働のケイパビリティ」として再考し、キャンペーンの周りにアドボカシーを配置するのではなく、アドボカシープログラムを中心にキャンペーンを組み立てることを検討すべきだ。

2. 共有する人数の多さを追い求めている

個人のプロフィールは、企業の公式ページよりもフォロワー数が46%少ないにもかかわらず、2.75倍のインプレッションと5倍のエンゲージメントを獲得した。このエンゲージメントは、追い求めたくなる誘惑に満ちている。しかし、購買層が一人もいないネットワークに向けて、200人の従業員が当たり障りのないコンテンツを投稿するよりも、信頼できる10人の専門家が適切なオーディエンスにアプローチする方がはるかに価値がある。規模(ボリューム)は進捗のように感じられるが、商談を動かし、ビジネスの成長にインパクトを与えるのは関連性(レバレンス)である。まずは、自社のターゲットオーディエンスや重要アカウントとネットワークが真に重複している少人数のグループから始めよう。彼らが自分自身の言葉(ボイス)を見つけられるよう支援し、そのコミュニティを起点に規模を拡大していくのだ。

3. 戦略やトレーニングなしに開始している

従業員に丸投げすれば、沈黙するか、あるいはブランドを傷つけかねない行動をとるかのどちらかになる。私がこれまで見てきた限りでは、ほとんどの従業員は後ろ向きなのではなく、やり方が分からないだけなのだ。自身の表現方法やコンテンツ戦略を理解するための明確なガイドラインを提供することが、良い第一歩となる。立ち上げ直後の「ハネムーン期間」を過ぎても持続するプログラムを構築するためには、トレーニングセッションが不可欠だ。

4. 連携の機会を逃している

アドボカシーは孤立して運用されがちだが、その真のパワーは他のすべての要素と連携したときに発揮される。これと同じ「人間主導」のアプローチは、セールス・イネーブルメント、エンプロイヤーブランド(採用ブランディング)と人材獲得、さらには顧客やパートナーのアドボカシーをも推進する。これらを別々に運用すれば、それぞれが小規模にとどまってしまう。共通の責任者と共通の目標のもとで統合すれば、それらは相乗効果(複利効果)を生み出す。専門家が築く信頼は営業活動を支え、従業員が語るストーリーは優秀な人材を引き寄せ、プログラム全体がはるかに測定しやすく、かつ予算を擁護しやすいものになる。

5. 誤った指標を測定している

これが最大の要因だ。これは前述のポイントとも関連しており、多くのプログラムが資金を失う原因でもある。多くのチームは、エンゲージメント、クリック数、リーチ、シェア数をもとにプログラムの有効性を主張する。しかし、これらは「活動指標」にすぎず、CFO(最高財務責任者)に対して「機械が動いていること」を示すだけで、それに資金を投じる価値があるかどうかを示すものではない。そうではなく、活動(アクティビティ)、可視性(ビジビリティ)、信頼の推移、ビジネスへのインパクトの4つの段階からなる測定フレームワークで追跡する必要がある。

予算を維持し続けているチームは、まず活動指標(従業員が共有しているか、どれだけ投稿しているか、どこに投稿しているか)をベースラインとし、次に可視性指標(単に人数だけでなく、適切なオーディエンスや購買決定グループが関与したか)へと移行する。続いて、信頼の推移指標(案件がアドボカシーの影響を受けているか、インテントスコアは変化しているか、つながりは増えているか、ターゲットオーディエンスからのトラフィックは増加しているか)を検討し、最後に商業的インパクト指標(成約スピード、コンバージョン率、アドボカシーの影響を受けた案件の受注率、紹介経由の案件数)で締めくくる。時間が経つにつれ、これらの指標は、従業員アドボカシーとインフルエンスが、単なるブランド認知にとどまらない、より大きな何かに影響を与えているかどうかを明らかにしてくれる。

購買グループの規模が拡大するにつれ、この重要性はさらに増していく。ガートナーによると、一般的なB2B購買グループは5人から16人の意思決定者で構成されており、それぞれが独自にリサーチを行っている。そのため、目指すべきは「万人を前にしたノイズ」ではなく、「適切な人々に対する存在感」なのだ。

デジタル分野のリーダーは、プログラムが「活動していること」の証明から、「採算が取れていること」の証明へとシフトしなければならない。適切なターゲットアカウントにアプローチし、案件創出につながる会話を生み出し、意思決定までの道のりを短縮したことを示せるプログラムこそが、ビジネスが最も重視する言葉で語っていると言えるのだ。

forbes.com 原文

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事