あなたの会社の誰かが、完成しているように見えて実はそうではない仕事を生み出している。そして別の誰かが、それを直している。いま多くの組織で、その後者はミレニアル世代であり、しかもその役割は職務記述書のどこにも書かれていない。
この成果物には名前がある。BetterUp Labsとスタンフォード・ソーシャルメディア・ラボの研究者らは、これを「ワークスロップ(workslop:仕事のゴミ)」と呼び、一見優れた仕事のように見えながら、タスクを前に進めるための実質的な内容を欠いたAI生成コンテンツと定義している。それは、捏造された数値が含まれる洗練されたプレゼン資料であり、文書の体裁は整っているものの本質的な議論が抜け落ちている要約であり、正常に動作するものの間違った処理を行うコードのことだ。
見えない税
その量は、決してわずかではない。米国のフルタイムのデスクワーカー1150人を対象にした調査では、1カ月の間にワークスロップを受け取ったと約40%が報告した。また、それに遭遇した人は、自分の机に回ってくる仕事の15.4%がワークスロップに該当すると見積もっている。
1件を解決するのに平均2時間かかる。回答者が申告した給与に照らすと、その後始末にかかる費用は影響を受けた従業員1人あたり月額約186ドル(約2万円)であり、従業員1万人の企業では年間900万ドル(約13億9000万円)超の生産性損失に相当する。研究者らは、この数字を上限ではなく下限と位置づけている。離職や職場の人間関係の悪化が含まれていないためだ。
修復の負担は、別の指標ではさらに大きい。いまや専門職の66%が、AI生成物の修正に週6時間以上を費やしている。6時間とは、勤務日の大半である。本来受け取った時点でそうなっているべき状態へ、文書を戻すために使われている。
誰が引き受けているのか
その労働は、無作為に分配されるわけではない。誤りを見抜くだけの専門知識があり、かつ後始末を拒めるほどの職位上の権限はない人に降りかかる。
典型的なホワイトカラー組織の階層でいえば、それは部下を持たないシニア職や第一線のマネージャーである。キャリア11年目で、その数字が間違っていることを一目で見抜ける一方、上司は付録を開いてすらいない、そういう人だ。スタンフォードとBetterUpの研究で従業員は、ワークスロップの多くは同僚から横方向に届き、直属の部下から上司へ送られるものも相当数あると述べている。
構造的な問題は、ワークスロップを直しても成果物が生まれないことにある。不備のあるスライド資料を生成した同僚には資料があり、それは提出され、記録上はアウトプットとして残る。2時間かけてそれを修正した人の手元にあるのは、本来最初からそう書かれているべきだった内容になった文書である。評価の時期になると、一方にはポートフォリオがあり、もう一方にあるのは、その成果物がそもそも間違っていたという感覚だけだ。
とりわけミレニアル世代の女性は、チームを機能させるための調整業務をキャリア全体にわたって引き受けてきたが、それが昇進審査資料に載ることはなかった。生成AIはそれを産業化し、かつては時折発生していたものを、絶え間ないものに変えた。
声を上げるコスト
異議を唱えることには、特有の評判リスクが伴う。いまや約60%の企業が何らかの形でAIの利用を義務づけているからだ。同僚のAI生成ドラフトを批判すると、ドラフトを批判しているとは受け取られない。その義務づけを批判していると見なされる。AIへの目に見える熱意が、適応力の代替指標として機能する労働市場ではなおさらである。
それでも、憤りはどこかへ向かう。研究では、受け取った側は53%の割合でいら立ちを感じ、22%の割合で侮辱されたと感じたと報告した。また、約半数は送り手について、以前より創造性、能力、信頼性が低いと見るようになったと答え、42%は信頼に値しにくいと評価した。AIの導入率という指標を健全に見せるために、信頼という資産が切り崩されているのだ。
組織的なコストは数字にも表れている。従業員レビューの分析では、AIに関連する記述はレビュー全体に比べて著しく否定的であり、その否定性は企業の生産性とも関連していた。これとは別に、Workdayの調査では、AIが節約した時間の37%が、質の低いアウトプットの修正、書き直し、説明により相殺されていると従業員が報告している。
修復作業を帳簿に載せよ
個人としてできることは小さいが、やる価値がある。時間を記録することだ。不満としてではなく、発生源に紐づけた明細項目として記録し、評価の場で業務範囲として示す。そうすることで、後始末は個人の資質ではなく業務量として捉え直される。予算が反応するのは、この枠組みだけである。
組織としての対応は、リーダーシップの責任だ。誰かが、速く届いて間違っている文書は、遅く届いて正しい文書より悪いのだと言わなければならない。そして締め切りが木曜日に迫っているときにも、その言葉を本気で貫かなければならない。
ミレニアル世代は、自動化に置き換えられる世代として労働市場に入ってきた。彼らは置き換えられなかった。その代わり、何の話し合いもないまま、雇用主が「品質管理など必要ない」という約束のもとに購入したテクノロジーの品質管理役へと配置転換されたのである。



