イーロン・マスクは、AIが人類にもたらす危険性に警鐘を鳴らした元アンソロピック所属研究者の発言に疑問を呈した。他のAI研究者らも同様の懸念を示しているが、マスクは今回の警告が陰謀や売名行為であるとする根拠のない主張を拡散している。
アンソロピックの元研究者、AI開発競争の危険性を警告
アンソロピックの元研究者であるジェイコブ・コクソンは米国時間9月8日にXへ一連の投稿を行い、OpenAIとアンソロピックの両社が「自己改善型の超知能へ向けて一直線に競争し、我々の命を弄んでいる」と述べ、両社は責任ある行動をとっていないとしてこれらを非難した。
AIを開発している当人たちが、今後10年以内にAIが「我々全員を殺す」可能性があると信じており、これは「売名行為」ではないとするコクソンの投稿は、Xで2300万回以上閲覧された。
マスク、投稿の異例な拡散を「仕組まれたことのように思える」
マスクは9日夕方、アンソロピックにおけるコクソンの在籍期間の短さを指摘する他のユーザーの投稿に反応し、「仕組まれたことのように思える」と返信した。
コクソンの一連の投稿の合計閲覧数が1億2000万回を超えたと別のユーザーが指摘すると、マスクは「過去にほとんど活動がない新規アカウントからの投稿」でこのような事態が起きたことはこれまでにないはずだと述べた。
著名人や投資家がマスクに同調
エピック・ゲームズのティム・スウィーニーCEOが、今回の一連の投稿と反応は「演出された」もののように見えると主張すると、マスクは再びこれに同調し、「(適当な言葉が見当たらないが、)これはこれからの心理戦に向けた下準備」ではないかと根拠もないまま主張した。
他の著名人らもマスクの批判に同調し、コクソンの意図に疑いの目を向けている。著名投資家のビル・アックマンは、これら一連の投稿が「民主党がAIを規制で葬り去るための支持を取り付ける、極めて巧妙で資金潤沢なPR作戦の始まり」に見えるとする投稿を、「興味深い」と書き添えて拡散した。
元政権顧問、アンソロピックIPOの一時停止を要求
一方、3月までドナルド・トランプ大統領の暗号資産・AI担当顧問を務めていたデビッド・サックスはアンソロピックを非難し、「この『内部告発者』の主張が調査されるまで、アンソロピックの上場は当然保留されるべきだ」と書き込んだ。サックスは以前にも、アンソロピックが「恐怖心を煽ることで巧妙な『規制の虜』戦略を展開している」と批判していた。
また、サックスと共にIT業界のポッドキャスト番組『All-In』で司会を務めるテクノロジー投資家のジェイソン・カラカニスも批判の矛先を同社に向けた。カラカニスは、アンソロピックが「何らかの規制の虜戦略のシナリオを実行しているのか、それともアンソロピックで働く全員が破滅確率を跳ね上げるような何かを目撃しているのか」と疑問を呈した。



