中国AI6社による蒸留の対象と手口も公開
共同勧告は、中国AI各社がどの米国モデルから出力を取得したとみられるかを企業別に示している。ClaudeとGPTは6社すべてが対象としていた。Geminiは3社、Grokは2社の対象になっている。
Moonshot AIとDeepSeek、訓練に使ったモデルも具体的に指摘
Moonshot AIはClaude Fable 5の出力をKimi K3の訓練に使い、GPT-4oの出力をKimi K2の訓練に利用したとされる。DeepSeekはClaude、GPT、Geminiから得たデータを、R1とV3向けの訓練データ生成に使ったと指摘されている。
Z.aiが利用したとされるモデルにはGPT-5.5とClaude Opus 4.8も含まれる。米政府の一覧では、Z.aiが比較的新しい世代のモデルからも出力を取得していた可能性が示されている。
不正アカウントとプロキシーを使い、アクセス元を隠す
中国AI企業が使ったとされる手口には、不正アカウントの作成、有料プランの大量契約、APIへの接続を中継するプロキシーサービスが含まれる。共同勧告によると、こうした中継サービスは利用者の所在地などを隠し、米AI企業が設けた地域制限の回避に使われた。共同勧告はこのサービスを「transfer stations(中継拠点)」と表現している。
アンソロピックの調査でも、数千万件規模の利用を確認
米政府が示した活動規模は、AI企業がそれまで個別に公表していた調査結果とも一致する。アンソロピックは2026年2月、DeepSeek、Moonshot AI、MiniMaxに関連する約2万4000件の不正アカウントを確認したと発表した。これらのアカウントを通じたClaudeとのやり取りは1600万件を超えていた。
アンソロピックは2026年6月、アリババ関連の運用者についても報告した。2026年4月22日から6月5日までに約2万5000件の不正アカウントが使われ、Claudeとのやり取りは2880万件を超えたという。別の事例では、1つのプロキシー網が同時に2万件を超えるアカウントを管理していた。
ClaudeとGPTの出力は、今回名指しされた6社すべてに狙われた。競合企業がどのモデルの出力を利用する価値があるとみていたのか。この一覧は、通常のベンチマーク表以上に、各AI企業の競争力を映す材料になる。


