製品

2026.09.14 12:45

1.5億円の数学賞を巡るOpenAI論争、AI導入企業が見直すべき4つの論点

Ascannio - stock.adobe.com

Ascannio - stock.adobe.com

ナビエ・ストークス方程式には、解が有限時間で無限大へ発散する「解の爆発」が起こり得るのかという未解決問題がある。ニューヨーク大学(NYU)の数学者トリスタン・バックマスターは、数学者レヴェント・アルポゲとともに、その証明方法を約1年にわたり研究していた。

OpenAIはバックマスターらと同じ方法で証明を完成させたと伝える

米国時間2026年9月6日、OpenAIの研究者2人がバックマスターに電話をかけた。OpenAIのAIモデルが、この未解決問題の証明を完成させたと伝えるためだった。しかも、その証明では、バックマスターらが研究していたのと同じ方法が使われていた。その方法を試していた研究者は、他にはほとんどいなかった。

ニュースレター「Culture and Clarity」によると、バックマスターは2回目の電話で、OpenAI側から、共同研究者のアルポゲを外せば功績の一部を与えるという提案を受けたという。バックマスターがこの経緯を公表すると告げると、OpenAIから「なぜ自分のキャリアを台無しにしたいのか」と問われたという。

2026年9月8日、バックマスター側とOpenAI側はそれぞれ経緯を公表した。100万ドル(約1億5300万円)の数学賞を巡る争いは、AIツールを使うすべての経営者が読むべき事例となった。

ナビエ・ストークス方程式の未解決問題には1億5300万円の賞金が懸かる

ナビエ・ストークス方程式は、水や空気、煙などの流れを記述する。技術者が日常的に使う方程式だが、その解が常に滑らかな状態を保つのか、それともある一点で速度が無限大になる状態を生じ得るのかは証明されていなかった。数学では、こうした現象を「解の爆発(ブローアップ)」と呼ぶ。クレイ数学研究所は2000年から、この問題の解決に100万ドル(約1億5300万円)の賞金を設けている。

バックマスターらはAIを使い、約1年かけて証明方法を研究していた

バックマスターと、アンソロピックに所属する数学者アルポゲは、解の爆発が起こり得ることを証明する方法に1年の大半を費やしてきた。所属機関の支援を受けない個人的なプロジェクトだった。

バックマスターは自分の研究費でAIツールの費用を払い、OpenAIへの支払いも本人が「高額」と表現する規模になった。2人は草稿をすべて、OpenAIのコーディングエージェントCodex上に置いていた。

OpenAIがこの問題で進展しているといううわさを聞き、バックマスターはOpenAIの上級数学者にメールを送り、何が起きているのかを尋ねた。

次ページ > OpenAIは1万のAIエージェントを88時間動かし、証明を完成させたと説明

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事