太陽系が放つ輝きを目にしたことはあるだろうか? この先数週間、北半球では日の出前の東の空に不可思議な三角形の光が見えることがある。「黄道光」という現象だ。「偽の夜明け(false dawn)」とも呼ばれ、光害と間違われることもあるが、その正体は内太陽系を漂う塵によって散乱された太陽光である。
黄道光を見るには忍耐だけでなく漆黒の夜空も欠かせないが、秋の連休にキャンプやドライブ旅行に出掛けるなら、絶好の観測チャンスを逃す手はない。
「黄道光」とは何か
黄道光は、地上から空を見上げたときの太陽の通り道である「黄道」に沿って上方に伸びる、淡くぼんやりとした円錐状の白い光だ。月や惑星も黄道の近くを通る。
太陽系の惑星はほぼ同じ平面を同じ方向に公転しており、これを黄道面(公転軌道面)という。黄道光の輝きは、この黄道面の付近に集中している惑星間塵の粒子が太陽光を散乱することで生じる。陽光がちょうどよい角度で部屋に差し込んだとき、室内に舞うほこりがキラキラと光って見える現象が、太陽系規模で起こるようなものである。
3月の春分の頃には、日没後の西の空に黄道光が見える。これは「偽の夕暮れ(false dusk)」と呼ばれている。
なお、黄道光の英語名称は「Zodiacal light」といい、黄道に沿って並んでいる占星術でおなじみの12個の星座「黄道十二星座(Zodiac)」に由来する。
「偽の夜明け」はいつ見られる?
9月は、北半球で黄道光が最もよく見られる季節のひとつだ。秋分の頃は黄道の傾きが地平線に対して急角度になるためで、夜明け前に東の空に見えることから「偽の夜明け」と呼ばれる。
今月、最も観測条件がよいのは9月11日の新月の明け方から、夜明け前の空に月明かりが戻ってくる24日頃まで。日の出の約1時間半前までには観測地点にスタンバイして、空の明るさが星明かり程度の「天文薄明」が始まる頃に東の方角を見よう。
黄道光を観測するコツ
暗さがすべての鍵を握っている。黄道光の光はとても淡いため、街明かりなどの人工光から十分に離れ、かつ東の地平線が開けた場所で観測に臨むのが望ましい。できれば、よく晴れて雲や霞がかかることの少ない場所がよい。光害マップを活用して、特に暗い場所を見つけよう。
東の地平線から斜め上に向かって細長く伸びる、三角形状の柔らかい光を探そう。遠くの都市の夜間光と似ていて紛らわしいかもしれないが、街明かりが地平線付近に集中しているのに対し、黄道光は太陽の通り道に沿って上方へと伸びているのが特徴だ。
目が暗闇に慣れるまで、少なくとも20分はかかる。それでもわかりにくければ、正面から見るのではなく、少し視線を横に逸らして視野の端のほうで光を捉える「そらし目」で眺めてみよう。



