戦略攻撃が新たな段階に
外交による和平の取り組みが何カ月も停滞し、前線はほぼ膠着状態に陥っているなか、戦争はこの夏、新たな段階に入った。
ウクライナはロシア国内の攻撃目標の対象を広げた。7月半ば以降、ロシアの2大電子商取引(EC)企業であるワイルドベリーズとオゾンの倉庫を計25カ所以上攻撃している。破壊された倉庫の面積は合計でおよそ186万平方メートルに及び、インフラと商品の損害だけで100億ドル(1兆5400億円)を超える。さらに120億ドル(約1兆8000億円)分の売上高が失われる可能性もある。
ウクライナが攻撃しているのはマーケットプレイスの物流拠点だけではない。今年前半、ウクライナはロシアの各地の製油所を少なくとも計194回攻撃した。これは2025年同期の11倍にあたる数だ。
ウクライナによる攻撃への報復として、ロシアは黒海沿岸のウクライナの港湾をミサイルやドローンで激しく攻撃し、穀物輸出を停止に追い込んだ。それでも、ウクライナ農業政策食料省は陸側の輸送を頼みとし、来年度の穀物輸出見通しを前年度比12%減の3800万~4000万トンとしている。2022年に黒海の海上輸送がロシアに封鎖された時とは異なり、ウクライナはロシアの港湾に対する攻撃で応酬しており、8月にはノボロシースクの海軍基地や穀物ターミナルを含む港湾施設を攻撃した。この攻撃にはドローンやミサイルのほか、無人艇も使われたとされる。
Last night, Ukraine’s Defense Forces carried out a unique operation targeting the naval base in Novorossiysk – the last major stronghold of the Russian fleet in the Black Sea, more than 300 kilometers from the front line.
— Volodymyr Zelenskyy / Володимир Зеленський (@ZelenskyyUa) August 12, 2026
Our Palianytsia jet-powered drones, Neptune missiles, and… pic.twitter.com/kVg9DDBasN
ロシアは8月初め、ウクライナ北東部ハルキウで、児童書や教科書などを手がける出版社ラノクの倉庫をジェット推進式ドローン2機で攻撃し、炎上させた。書店チェーン、クニホレンドの配送拠点としても使われていたこの倉庫の火災で、およそ800万冊にのぼる書籍が破壊された。これは、ウクライナで昨年印刷された書籍数の4分の1近くに相当する。
ロシアはキーウを最も激しく攻撃しており、ドローンやミサイルを連日撃ち込んでいる。ウクライナは7月、保有する装備で弾道ミサイルを唯一迎撃可能な米国製パトリオットPAC-3迎撃ミサイルが枯渇した。ロシア軍が7月に発射した弾道ミサイル195発のうち、ウクライナ側が迎撃できたのはわずか29発にとどまっている。


