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2026.09.10 16:21

次の1兆ドル(約153兆円)市場は「AIが生み出す体験」にある

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重大な技術革新は、そのたびに世界を再構築してきた。しかし、生成AIほど急速に世界を変貌させたものはほとんどない。わずか数年の間に、AIはイノベーションを民主化し、かつては世界最大級のテクノロジー企業だけに独占されていた機能を、起業家やスタートアップ、クリエイター、そして既存企業にもたらした。現在、あらゆる業界が再定義を迫られる一方で、新たな産業がほぼ一夜にして誕生している。

AIは「偉大なるイコライザー(平等の実現者)」となった。創造力と決意、そして実行力さえあれば、ほんの数年前には不可能だった製品やサービスを誰もが構築できる。次の技術革新が具体的にどのようなものになるかは誰にもわからないが、一つ確かなことがある。それは、私たちが予想するよりも早く到来するということだ。

皮肉なことに、AI自体へのアクセスが容易になるにつれて、最大のチャンスはもはやAIモデルの構築にはないかもしれない。次の1兆ドル(約153兆円)規模のビジネスは、AIを通じて人々が世界を体験する方法を変革することから生まれるだろう。

体験経済2.0

私たちは、筆者が「エクスペリエンス・エコノミー2.0(体験経済2.0)」と呼ぶものの誕生を目撃している。ジェネレーションZ(Z世代)とジェネレーションAlpha(アルファ世代)は、完全にデジタルな環境で育った最初の世代だ。スマートフォン、SNS、ストリーミングプラットフォーム、そしてAIアシスタントは、常に彼らの日常生活の一部だった。しかし、デジタルな体験が遍在するようになるにつれ、人々はテクノロジーでは代替できないもの、すなわち「本物で、記憶に残り、人間味のある体験」に価値を見出し始めている。画面に飽和した世界において、現実世界での体験は新たなラグジュアリーとなっている。

旅行 ― 究極の体験産業

この変革を旅行ほど見事に象徴している業界はほかにほとんどない。人々はデジタルデトックス、忘れられない日の出、地元の人々との会話、本物の料理、そして一生に一度の冒険をますます求めるようになっている。次世代は、物質的な所有物よりも記憶に残る体験をますます重視している。

個人的な話をすると、私は間もなく世界の193カ国中120カ国を訪問したことになる。これらの体験をSNSで共有することには確かに魅力があるが、旅行はパスポートのスタンプを集めること以上の意味を持つようになった。旅行は視野を広げ、創造力を刺激し、有意義なつながりを生み出し、時にはまったく新しいビジネスのアイデアをひらめかせる。体験は、個人の成長への投資になりつつあるのだ。

クリエイターエコノミー

同様のシフトはクリエイターエコノミーでも起きている。多くの成功したクリエイターは現在、従来の多くの専門職の卒業生を大幅に上回る収入を得ている。アーティスト、ストーリーテラー、映像作家、そしてクリエイターは、新しいデジタル経済の鍵であり、「アートの混沌とビジネスの規律」を融合させている。

アテンションエコノミー(関心経済)は世界で最も急速に成長している産業の一つとなったが、クリエイターが真に売っているのは情報ではなく、体験である。何百万人もの人々が、一度も会ったことのない人物と真の信頼関係を築き、インスピレーション、エンターテインメント、実用的なアドバイス、そして本物であることを求めている。

InstagramやTikTokといったプラットフォームはこの進化を完璧に示しており、コンテンツは単なる情報提供にとどまらず、インタラクティブでソーシャル、そしてますます没入感のあるものへと変化している。

Netflixはさらに、パーソナライゼーション(個別化)それ自体が製品になり得ることを証明している。同社の成功の大部分は、豊富なコンテンツライブラリだけでなく、各会員に独自の視聴体験を提供するAI駆動の推奨(レコメンデーション)システムによるものだ。同じプラットフォームを使用している2人の会員が、まったく異なるバージョンのNetflixを体験することも珍しくない。すべての推奨がパーソナライズされているからだ。

インテリジェント・ラグジュアリー

ラグジュアリーそのものの定義が変わりつつある。美しい家はもはや単に住む場所ではなく、クリエイターのスタジオであり、デジタルの背景となった。ホテルは、宿泊客が到着する前にその好みを先回りして予測できる、インテリジェントなホスピタリティプラットフォームへと進化している。小売ブランドは製品を販売する段階を超え、深くパーソナライズされたショッピング体験を提供する方向へと移行している。

この新たな経済において、競争優位性はもはや主に在庫や価格設定に依存しなくなる。それは、顧客を誰よりも深く理解する者のものになる。AIはかつて想像もできなかった規模でのハイパーパーソナライゼーション(超個別化)を可能にし、体験を新たなステータスシンボルにしている。

AIからAI駆動型体験へ

このビジョンこそが、私たちが会社を立ち上げるきっかけとなった。私たちの会社は、パーソナライズされたショッピング、ウェルネス、ビューティー、ダイニング、カルチャー、エンターテインメントの推奨を通じて、旅行者が都市を探索するのを支援するAI搭載型のライフスタイル&トラベルコンシェルジュだ。

AIの未来は、単に質問に答えることだけではない。目的地、ブランド、そしてライフスタイルを、自分だけの特別なものと感じられる方法で人々が体験できるよう支援することだ。AIショッピングアシスタント、インテリジェントなホテルコンシェルジュ、没入型コマース、およびパーソナライズされたウェルネスの旅は、ほんの始まりにすぎない。

AIの次なる波は、チャットボットをはるかに超え、顧客体験の全プロセスを計画・完了できるパーソナルAIエージェントが主導する、インテリジェントでパーソナライズされた体験へと移行する。これらのエージェントは長期記憶を利用して、ユーザーの好み、旅行履歴、買い物習慣、ウェルネスの目標、過去のやり取りを記憶し、時間の経過とともによりパーソナライズされた推奨を提供するようになる。

世界モデルの進歩により、AIは没入感のある旅行、ショッピング、エンターテインメントの体験を瞬時に生成できるようになり、エンボディドAI(身体性を持つAI)やインテリジェントなサービスロボットは、現実世界で人々を支援することで、空港、ホテル、小売、物流、ウェルネスに変革をもたらすだろう。将来のマルチモーダルAIは、音声、画像、動画、位置情報、動き、そして文脈を同時に理解し、ユーザーのニーズをリアルタイムで先回りして予測できるようになる。

最大の勝者

AI革命における最大の成功を収めるのは、基盤モデルを構築している企業ではないかもしれない。むしろ、旅行、ホスピタリティ、航空、高級小売、教育、ヘルスケア、エンターテインメント、金融サービス、運輸など、あらゆる業界でAIを活用して顧客体験を再定義する企業になると私は信じている。人間を中心に構築されたすべての産業には、よりインテリジェントに、よりパーソナライズされ、そして最終的にはより人間味のあるものへと進化する機会がある。

AIはインフラになりつつある。電気が最終製品になることなくすべての産業を変革したのと同じように、AIはますます背景へと消えていくだろう。消費者は、単にAIを使用しているという理由だけでブランドを選ぶわけではない。AIによって、あらゆるやり取りがより迅速に、よりパーソナルに、そしてより有意義になるからこそ、そのブランドを選ぶのだ。ニコラ・テスラが「人間の進歩的な発展は、発明に極めて依存している」と語った通りだ。

体験には、AI自体が絶対に持ち得ないものがある。それは感情的であり、ユニークであり、一度きりしか起こらない。そして、複製不可能な記憶を創造する。それこそが、最終的に人々が渇望するものであり、今後ますます対価を支払うことをいとわなくなる対象なのだ。

次の1兆ドル(約153兆円)規模の企業は、AIで競い合うことはないだろう。彼らは、ありふれた人間の体験をどれほど忘れられないものにできるかで競い合うことになると私は信じている。


forbes.com 原文

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