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2026.09.10 15:31

欧州が仕掛けるイノベーション推進、創業者への示唆

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欧州が啓蒙時代の中心地であったのには理由がある。この時代に生まれた進歩は、今なお現代生活を形作っている。

今日も欧州大陸は、優れた研究、熟練した卒業生、そして絶え間ないスタートアップの供給源であり続けている。いくつか例を挙げるだけでも、Oxford Ionicsの10億8000万ドル(約1660億円)での売却OrganOxの15億ドル(約2300億円)での買収、そしてProxima Fusionの4億7000万ドル(約720億円)近くに及ぶ資金調達ラウンドを見ればよい。しかし、これらの事例は同時に、その隔たりも浮き彫りにしている。Oxford Ionicsは米国の量子企業IonQに買収され、OrganOxは日本のテルモが買収した。欧州は価値ある企業を生み出しているが、その一方で、多くの企業に対して域内で資金を供給し、規模拡大を支えることに苦戦しているように見える。

米国と中国が先端技術でより速く動くなか、この問題は無視しにくくなっている。2026年、欧州の政策当局者は会社法、研究資金、人材政策を結びつけようとしている。創業者は、今日活用できる施策と、実務で機能するまでに何年もかかる可能性のある提案とを、なお見分ける必要がある。

欧州の多層的な枠組み

最も実用的な提案の1つが、第28制度としても知られるEU Incである。これは、27の各国制度のいずれかで法人化する代わりに、創業者がEU圏全体で利用できる単一の法的枠組みを企業に提供するものだ。現在の提案では、最低資本金なしで100ユーロ未満、48時間以内にオンラインで会社を設立できるようになる。欧州委員会はこの制度を2026年末までに稼働させたい考えだ。野心的な目標ではあるが、この提案は欧州の創業者からここ数年上がってきた不満に応えるものである。

計画されているEuropean Innovation Act(欧州イノベーション法)は、さらに踏み込むものだ。規制サンドボックス、研究成果の商業化、産業界と大学の連携、調達、金融、研究インフラへのアクセスを対象に含むと見込まれている。この提案は当初の公表予定日に間に合わず、現在は暫定的に2026年9月に予定されている。創業者は、すでに利用可能な施策と、なお変更される可能性のある提案を分けて考えるべきだ。

資金調達面も非常に有望である。Horizon Europeは、2021年から2027年にかけて935億ユーロの予算を確保している。その2026年および2027年のワークプログラムでは、クリーン産業技術や科学におけるAIの活用など、研究およびイノベーションにさらに140億ユーロを割り当てている。研究主導型の創業者にとって、これは即時の株式希薄化を伴わない資金調達ルートとなる。しかし問題は時間であり、申請手続きは煩雑で、緊急の資金ニーズにはほとんど適していない。

明確な需要

欧州は、人材獲得競争において、研究政策や移民政策も活用している。

2026年1月、欧州委員会は初のEU Visa Strategy(EUビザ戦略)を導入し、同時にイノベーションに向けた人材誘致に関する勧告を発表した。これらの施策は、研究者、学生、高度なスキルを持つ専門家、そしてスタートアップ創業者を対象としている。加盟国に対しては、事務手続きの削減、申請のデジタル化、そして研究者や学生が就労や起業へ移行しやすくすることが推奨されている。

Choose Europe for Scienceイニシアチブは、現在101の国・地域レベルの制度を統合している。これは2025年5月時点の65から増加した。EUレベルの資金は5億ユーロから約9億ユーロへと拡大した。欧州研究会議のAdvanced Grantsに対する欧州域外からの申請は45件から168件に増加した。Starting Grantの申請は159件から246件に増えた。2026年のConsolidator Grantの公募では、EUおよび関連国以外に拠点を置く研究者から115件の申請があり、従来の50件を上回った。マリー・スクウォドフスカ=キュリーのポスドクフェローシップ申請は、1年で65%増加した

これらの数値が示すのは、資金の増加がより多くの人材を引き寄せているという流れである。ただし、獲得した人材をいかに定着させるかは、また別の問題だ。

残る障害

欧州は1つの市場のように見えるかもしれないが、実際には27の異なる市場として機能しており、国ごとに規則、承認までの期間、規制当局、税制、行政慣行が異なっている。複数の加盟国に事業を拡大しようとする企業にとっては、法務作業が増え、事業展開のスピードが鈍ることを意味する。

次に調達がある。Innovation Actの協議に参加したスタートアップの報告によると、手続きが遅く、価格が過度に重視され、支払条件が創業間もない企業に不適当であるという。ヘルスケア、エネルギー、教育、あるいはインフラ分野の企業にとって、公的機関が最初の主要顧客になり得るが、支払いサイクルが長いと、スタートアップのランウェイ(資金維持可能期間)を枯渇させかねない。

ビザ政策も同様の問題に直面している。欧州委員会は、より迅速で一貫した手続きを勧告できるが、居住許可や長期滞在ビザは依然として各国当局や領事館を通過する。欧州自身の移民戦略は、法的枠組みを断片的で、世界の人材にとって理解しにくいものだと説明している。申請者の体験が国によって異なり続けるなら、共通目標の価値は限定的なものになる。

最後に、調達される資本の規模には改善の余地がまだ多くある。欧州はアーリーステージでは進展を遂げてきたが、大規模なグロースラウンドを域内で賄うことは依然として難しい。欧州中央銀行(ECB)は、米国の約1兆ユーロに対し、欧州のベンチャーキャピタル市場の規模は2000億ユーロ未満にとどまると推定している。設立から10年が経過した時点で、欧州のスケールアップ企業が調達する資金は、シリコンバレーの同等企業と比べて約50%少ない。その避けがたい結果として、有望企業は外国投資家へ向かうよう促され、本社も国外へ引き寄せられることになる。

創業者が検討すべきこと

創業者は、欧州のエコシステムといった大まかな呼称にとらわれず、自社が実際に利用する制度の部分を精査すべきだ。

欧州へ進出する創業者と仕事をするなかで、私は国のランキングよりも、その企業に必要なルートのほうが重要だと感じてきた。研究比重の高い企業は、Horizon Europe、大学との提携、科学人材へのアクセスから恩恵を受ける可能性がある。政府に販売する企業は、調達のタイムラインを調べる必要がある。スケールアップ企業は、最初の助成金の確保だけに集中するのではなく、次の資金調達ラウンドの資金がどこから来るのかを特定すべきだ。

移転の意思決定においても、同様の細部への配慮が必要となる。EUの新たな戦略によって全体の方向性は改善されるかもしれないが、処理にかかる時間は依然として国ごとに異なる。欧州のイノベーション推進策には実際に多額の資金が投じられており、国際的な研究者からの反応も高まっている。政策枠組みの一部は運用されているが、他の部分は遅延していたり、実施にばらつきがあったり、なお交渉中だったりする。

これらの施策が、成長する欧州企業をさらに生み出すのか、それとも創業者が使いこなすのに苦労するプログラムの層をもう1つ重ねるだけに終わるのかは、実行にかかっている。欧州は枠組みの大部分を築いた。残る課題は、それを使いやすいものにすることだ。

(forbes.com 原文)

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