経営・戦略

2026.09.10 11:19

ブランドの「瞬間」を生み出すもの──体験型マーケティングを成功に導く4つの設計原則

stock.adobe.com

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まずは、ブランド・アクティベーションとは「何ではないか」から説明させてほしい。それは、ブースの設置や、記者会見用のバックボード(記者会見などの背景にある、ロゴが並んだ壁面)に描かれたブランドのハッシュタグのことではない。ギフティング・スイート(試供品を提供する特設会場)でも、壁に投影されたロゴでもない。これらは、体験型マーケティング(エクスペリエンシャル・マーケティング)に予算を割り当てたものの、それが何を達成すべきかという戦略的思考に必ずしも投資していない組織のアウトプットにすぎない。

目的を持って設計され、精巧に作り込まれた本物のブランド・アクティベーションとは、体験する人々にとって、ブランドの価値や個性、約束が現実のものとなる瞬間である。それは、ブランドが誰かの頭の中にある「概念」であることをやめ、身体的な「体験」へと変わる瞬間であり、ブランドが設計できる最も強力な仕掛けの一つなのだ。

私は15年にわたり、アットホームなディナーから大規模な文化的フェスティバルに至るまで、さまざまなイベントでブランド・アクティベーションをプロデュースしてきた。成功したもの(持続的なブランドへの親近感を生み出し、アーンドメディアを獲得し、イベントの文化的ナラティブの一部となったもの)と、そうでないものの差は、ほぼ全面的に「戦略的意図」の有無にかかっている。予算でもなく、制作クオリティでもない。意図なのだ。

ブランドの「瞬間」と「ノイズ」を分けるもの

体験型マーケティングの領域は飽和状態にある。あらゆる大規模イベントにおいて、何十ものブランドが、参加者の限られたアテンション(関心)を奪い合っている。その大半は「ノイズ(雑音)」を生み出すにすぎないが、ごく一部は「モーメント(瞬間)」を創出している。

ブランドのノイズは、アクティベーションが「インサイド・アウト(内から外へ)」で設計されたときに発生する。つまり、「人々が何を感じ、どう行動することを望むか?」ではなく、「ブランドについて、人々に何を見せたいか?」を問いにしている場合だ。ノイズはロゴが前面に押し出され、自己言及的であり、社内の関係者を満足させるために構築される。それは体験ではなく、「私たちはここにいる」というメッセージを伝えるだけのものであり、そのため一瞬で忘れ去られてしまう。

一方で、ブランドのモーメントは、アクティベーションが「アウトサイド・イン(外から内へ)」で設計されたときに生まれる。「この特定のオーディエンスがここでどのような体験をすれば、私たちのブランドを心から身近に感じてくれるか?」を問いにするときだ。こうした瞬間は、プロモーション(宣伝)というよりも、人間中心で寛大なものとして感じられるべきである。それらは、オーディエンスの心に残り続ける感覚や、つながり、記憶、あるいは新たな能力を生み出さなければならない。彼らはその場所を「購入」するのではなく、自らの価値で「獲得」するのだ。

私があらゆるコンセプトに適用するテストがある。ブランドのロゴを完全に取り除いたとしても、人々はなおその体験を求めるだろうか。答えがイエスなら、本物の土台がある。ノーなら、それはブランド付きの家具にすぎない。

成功するアクティベーションの構成要素

私が携わってきたなかで、最も優れたパフォーマンスを発揮したアクティベーションには、共通する4つの設計上の特徴がある。

1. 製品の機能ではなく、真のブランド価値に根ざしている。成功を収めるブランドは、世界や顧客に対して実際に信じている「何か」を明確にし、それを表現する体験を構築する。その信念が物理的な形をとることで、感情的なつながりが生まれ、選好(プレファレンス)が促進される。

2. 観察ではなく、参加のために設計されている。最も長く記憶に残る印象は、参加者を観客としてではなく、当事者(参加者)として体験の中心に据えることから生まれる。ブランドの役割は、その体験のための環境を整えることであり、群衆に向けてパフォーマンスを披露することではない。

3. 物理的な空間を越えて広がるように作られている。その場にいる人々は、潜在的なオーディエンスのほんの一部にすぎない。アーンドメディア、ソーシャルメディアのコンテンツ、そして口コミこそが、真のリーチをもたらす。これは、キャプション(説明文)がなくてもストーリーが伝わる写真、つまり、その場にいなかった誰かに「語りたくなるような体験」を設計することを意味する。

4. 自己満足の指標ではなく、ビジネスの成果で測定されている。体験型マーケティングの予算を拡大させている組織は、アクティベーションを具体的かつ測定可能な成果(関係性の進展、取引への影響、センチメントの変化、貢献した売上など)に結びつけられている組織だ。その測定のためのフレームワークは、アクティベーションの実施前に構築されるべきであり、終了後に手元にある適当なデータから急ごしらえで作るべきではない。

これから訪れるアクティベーションの未来図

スーパーボウルやオリンピックのようなイベントは、単にロゴを配置するためだけのイベントではない。これらは、多くの人々がこれまでに目にしたことのないような壮大な文化的モーメントであり、その文化的モーメントをブランドのナラティブへと変換する独自の機能を備えた都市で開催される。

これら両方の企画会議に身近に関わってきた私から言わせれば、真にクリエイティブで人間味のあるアクティベーションを展開する余地(ホワイトスペース)は、依然として大いにある。出展規模(設置面積)の大きさではなく、体験の質を通じて、これらのイベントが持つ意味という文化的ナラティブの一部になるチャンスがあるのだ。

人間中心の基準

ブランド・アクティベーションの真価は、何を伝えるかにあるのではない。それを体験した人々の心に何を生み出すかにある。それは、心から歓迎されているという実感であり、本物を提供されたという感覚だ。彼らを単なる「ターゲット層」としてではなく、一人の「人間」として見ているブランドを体験してもらうことなのだ。

設計における問いが、「私たちが人々に見てほしいものをどう見せるか?」から、「人々が帰るときに何を感じてほしいか?」へと変わるとき、そこに真のブランド・エクイティ(資産価値)が生まれる。それ以外はすべて単なるマーケティング(広告活動)にすぎない。これは究極的にはカルチャー(文化)に関するものだ。その実現を目指して構築し、投資し、そしてそこに到達するのをサポートしてくれる深い理解を持ったプロダクションパートナーを見つける価値がある。

forbes.com 原文

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