アップルが初の折りたたみスマートフォン「iPhone Duo」を発表した。日本では10月23日に発売し、Apple Storeでは256GBモデルが税込36万4800円で販売される。
折りたたみ端末で先行するGoogle Pixel 11 Pro Foldの税込27万9900円、Samsung Galaxy Z Fold8の税込26万9880円をそれぞれ約3割上回る。後発ながら市場最高水準の価格を掲げるiPhone Duoを、アップルはユーザーに受け入れさせることができるのだろうか。
高価格が選別する初代機の顧客
今回の発表は製品以上に、アップルの経営の節目を反映していた。基調講演の冒頭に立った新CEOのジョン・ターナス氏は、壇上で入社から25年を振り返り、アップルは「本当に意味のある製品」をつくる場所だと語った。さらに細部への執着、デザインの簡潔さ、強力でありながら自然で直感的な使い心地を重視するとも強調した。長くハードウェア開発を率いてきた同氏にとって、iPhone Duoは新体制の名刺代わりになるプロダクトだ。
ターナス氏はMacやiPadを含む製品開発の中枢を歩み、近年はハードウェアエンジニアリング全体を統括してきた。落ち着いた語り口から、その人柄は派手な経営ビジョンよりも、製品を通じて戦略を語るタイプではないかと感じる。最初の発表会のステージでiPhone Duoを託されたことは、取締役会が同氏に期待する役割も象徴する。成熟したiPhone事業の利益率を守りながら、次のフォームファクターを事業に育てるという2つの課題だ。
iPhone Duoは閉じるとパスポートに近いサイズになり、開けば7.6インチの画面が現れる。外側と内側の画面比率をそろえ、閉じた状態で見ていたコンテンツが開いた瞬間に自然に広がる。この連続性は、発表会場で実機に触れた際にも完成度の高さを感じた部分だ。アップルは既存の折りたたみ端末を、2つのスマートフォンをつないだような“妥協の産物”と暗に批判し、iPadのように自然な大画面を目標に掲げた。
ただ一方で、254グラムの本体は手にすると明らかに重い。Galaxy Z Fold8の201グラムより53グラム重く、閉じた厚さもDuoは11.3ミリ、Fold8は9.7ミリだ。画面やヒンジの耐久性は長期使用で見極める必要があり、初代機を買う心理的なハードルは価格以外にも残る。AppleCare+は年額2万9800円で、安心を含めた保有コストはさらに上がる。ただ、万一内側のディスプレイが破損しても、米国では99ドル(約1万5000円)の費用で修理を受けるという。本機のオーナーは加入する必要がありそうだ。
Duoの狙いは、発売初年から最大の販売台数を取ることではないだろう。日本でも月額1万133円からの36回払いの購入プランを用意したのは、36万円という絶対額を月次支出に置き換えるためだ。最初に動くのは、未知の使い方に対価を払うコアなアップルユーザーや、スマートフォンと小型タブレットを一台にまとめたい層になりそうだ。販売が限定的でも高価格帯の上限を押し上げられれば、平均販売価格とブランド価値の両面で意味を持つ。



