この価格には、既存製品との食い合いを抑える効果もある。Duoが18 Pro MaxやiPad miniの需要を奪う可能性はあるが、約36万円ならば移行した顧客一人当たりの売上はむしろ膨らむ。2TBモデルは税込57万4800円に達し、スマートフォンというより高性能PCに近い価格だ。アップルは折りたたみを普及モデルとして安く投入せず、最上位カテゴリーとしてスタートした。供給量が限られやすい初代機では、需要を絞りながら採算と希少性を保つ合理性もある。
大画面を活かすソフトウェアが試金石
Duoの市場性を決めるのは折り曲がるハードウェアより、開いた後に何ができるかだ。iOS 27では2つのアプリを並べるSplit View、同じアプリの2つ目のウインドウによる表示や、アプリの組み合わせによるウインドウを保存して繰り返し呼び出せる機能がある。Apple Pencil(USB-C)も年内のiOS 27のアップデートにより利用できる見込みだ。
ただし、現時点のマルチタスキングは3つ以上のアプリを同時に扱いながらウインドウの分割比率を変えられるGalaxy Z Fold8や、自由なウインドウ配置を備えるiPadOSほど柔軟ではない。DuoはiPhoneとiPad miniを1台にしたように見えるが、ソフトウェアはあくまでiOSである。Netflix、Zoom、Slackは対応を表明したものの、利用価値を広げるには情報系やクリエイティブ系を含む多くの開発者が、Duoの専用レイアウトを用意しなければならない。Duoの成功指標は出荷台数だけでなく、半年後、一年後に最適化アプリがどれだけ増えたかにも置くべきだ。
ここには典型的な鶏と卵の問題がある。端末が売れなければ開発者は改修費を投じにくく、対応アプリが少なければ端末を買う理由も弱い。アップルにはApp Storeを通じて開発者を動かしてきた実績があり、同じ画面比率や開発APIの整備は参入コストを下げる。ただしDuo専用の体験が単なる画面拡大に終われば、アプリ経済圏は立ち上がらない。法人向けの業務アプリまで広がれば、iPhone Duoを活用する企業のエグゼクティブ層にとっても、見かけ倒しに終わらない「仕事の生産性を高めてくれる折りたたみiPhone」になる。
iPhone 18 Proは今日の収益を担う
iPhone Duoがアップルにとって将来への投資ならば、同時発表のiPhone 18 Proシリーズは足元の収益を支える主力モデルだ。
国内価格はiPhone 18 Proが税込21万9800円から、iPhone 18 Pro Maxが税込23万9800円から。標準のiPhone 18やiPhone Airの後継機を同じ舞台に出さず、秋の新製品をProとDuoに絞った構成からは、台数の拡大より高価格帯への誘導を優先する姿勢が見え隠れする。


