ビットコインはこの1カ月で急騰した。トレーダーらが米国の大規模な資金供給の復活を歓迎したためだ。
ビットコイン価格は数カ月にわたり6万ドル付近で推移した後、8月に1ビットコインあたり8万ドル台に回復した。しかし、他の一部暗号資産の見せた驚異的な高騰に比べれば、この上昇ですら控えめに見えてしまうほどだ。
いま、ドナルド・トランプ米大統領が米連邦準備制度理事会(FRB)に不意打ちの攻勢を仕掛けた直後、スコット・ベッセント財務長官はトレーダーに対し、自身が「非対称的な」情報を持っていると警告した。市場は同省が、先月ビットコイン価格を大幅に押し上げる要因となった拡大版国債買い戻しプログラムの規模を発表するのを控えて身構えている。
「人々が『財務長官はリスクを取っている』などと言うとき、まあ、それは私の夢だ。私には非対称的な情報がある」とベッセントはイベントで述べた。ブルームバーグが報じたこの発言で、同氏は最近の円安を阻止する取り組みに言及し、インサイド情報をもとに市場判断をしていることを示唆した。
「今や市場の手札を握っているのは私だ。だから日本円への介入に際しても、私は日本側が何をするのか、日本銀行が何をするのか、日本の政策当局者が何をするのかについて、かなり良い見通しを持っている」とベッセントは述べた。「望むなら私に賭けて逆を張ればいい」
ベッセントの市場介入は一部から批判を浴びており、億万長者投資家のスタンレー・ドラッケンミラーもその一人だ。ドラッケンミラーはウォール・ストリート・ジャーナル紙に痛烈な論説を寄稿し、かつての愛弟子が長期国債利回りを操作して引き下げようとしていることを非難した。
ドラッケンミラーは、著名投資家ジョージ・ソロスとともに、1992年にイングランド銀行の通貨ペッグに対する空売りで10億ドル(約1530億円)を稼いだとされる。当時ベッセントはそのファンドで若手トレーダーだった。
一方、ベッセントと財務省は、先月発表された拡大買い戻しプログラムを通じて、米国債利回りを抑え込むためにどこまで踏み込む用意があるのかを明らかにする見通しだ。同プログラムの発表は、ビットコイン価格の20%急騰に火を付けた。
トレーダーのメル・マティソンはXに、「ベッセントが明日午前11時の初回買い戻し発表で市場に『ショック』を与えても驚くべきではない。従来の2倍、いやそれ以上の倍増規模で、80億ドル(約1兆2300億円)近くに達する可能性がある」と投稿し、ビットコイン価格、金、米国債が上昇すると予想した。
ライトソンICAPのシニアエコノミスト、ルー・クランドールは、ブルームバーグが確認した顧客向けノートで、「少なくとも」40億ドル(約6130億円)の買い戻しを上回る増額は、「財務省が8月19日の性急な発表をそもそも十分に検討していなかったことを認めるものになる」と記した。同氏は、買い戻し規模が50億〜60億ドル(約7670億〜9200億円)の範囲になる可能性があると予想している。
今月初め、1980年代に「債券自警団(ボンド・ビジランテ)」という言葉を生み出したヤルデニ・リサーチのエド・ヤルデニ社長は、債券利回りが上昇を続ければ、ベッセントは「売りパニックを回避するために必要なら、債券を買い戻す目的で短期国債をさらに発行する」と予想した。



