起業家

2026.09.15 14:00

顧客の不満は需要ではない、スタートアップ創業者が陥る「顧客志向」の罠

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優先すべき課題を見極める

PULLのように需要を見極めるフレームワークがあると、創業者は何に優先的に取り組むべきかを判断できるようになる。スタートアップには、プロダクトの機能拡張や採用、投資家への進捗報告、顧客対応、業務上のトラブル、社内指標の改善など、緊急性が高そうに見えるタスクが多い。そうしたタスクの優先順位を判断する基準がなければ、「忙しさ」と「前進」を取り違えてしまう。

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「スタートアップでは、何を優先すべきか判断する基準がなければ、すべてに手を付けようとしてしまう」とスナイダーは指摘する。「『小さな火種は放っておけ』という助言は理に適っているが、そのためにはどの火種が会社を危機に陥れるのかを見極めなければならない」

不適切な業績目標の設定は、この問題をさらに悪化させる。「どのような目標であれ、一度設定すれば、それが現場担当者にとって目的になってしまう」とスナイダーは主張する。例えば、ソフトウェアエンジニアをコードの行数で評価すれば、コードの量は増えるかもしれない。しかしその結果、製品は肥大化し、使い勝手が悪くなり、売りにくいものになってしまう。

需要という視点は、どの業務に優先的に取り組むべきかを判断する上で、有効な指針となる。顧客が避けて通れない重要プロジェクトを完遂することにつながる仕事は優先的に取り組むべきだ。一方で、単に仕事を増やすだけの業務や、社内指標を満たすことだけを目的とした施策、企業のビジョンを飾り立てるだけの活動は、その必要性を問い直す必要がある。

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顧客からの引き合いが生まれるのは、顧客が商品に好意的なだけではなく、強く求めているときだ。そうしたとき、顧客は何度も説得されるのを待つのではなく、自ら企業にアプローチしてくる。スナイダーはかつて、製品の機能について質問されるよりも先に、個人の電話番号宛てに、「どうすれば申し込めるのか。どうやって支払えばいいのか」と問い合わせを受けた経験があるという。

こうした出来事は、タイミングや運、あるいは創業者の並外れた勘が生み出した奇跡のように見えるかもしれない。しかしスナイダーは、それらが決して偶然の産物ではないと強調する。顧客が既に何を実現しようとしているのか、なぜ今それを実現しなければならないのか、そして、なぜ既存の選択肢では目的を果たせないのかを把握することで、顧客からの引き合いが生まれる理由を解き明かすことができる。

スタートアップが学ぶべき教訓は、単に顧客の声に耳を傾けることではないということだ。それは何十年も前から言われ続けてきたことだが、真に重要なのは、顧客が実際に動き始めている兆候を聞き取ることなのだ。

顧客は多くの課題を語り、アイデアを褒め、実験に協力してくれる。しかし、ビジネスは、改善案に賛同する人の数で成り立つものではない。現状のままではいられないと決断した人たちを支援することによって築かれるのである。

forbes.com 原文

翻訳=朝香実

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