米連邦準備制度を構成するダラス連銀のデータによると、米国債市場の規模は2026年7月時点で29兆4600億ドル(約4566兆円)に達する。米政府は国債を発行し、政府運営に必要な資金を調達している。米国債は他の債券とは区別され、伝統的に極めて安全性が高い投資先と見なされてきた。世界の金利を考える際の基準にもなっており、金融市場への影響は大きい。
金融機関、債券利回りを基準に決まる調達金利の影響を受ける業界、経済メディア、個人投資家、住宅ローン金利を気にする住宅購入者まで、多くの主体が米国債市場のわずかな動きを追っている。世界各国の政府も、債券価格が下がれば利回りが上がり、価格が上がれば利回りが下がるという逆方向の動きを注視する。2025年9月から2026年9月にかけて利回りが急上昇したことは、米国債が大きく売られ、価格が下落したことを示している。金融市場の予測に確実なものはない。複数の専門家に取材し、2026年末までの米国債市場がどう動く可能性があるかを聞いた。
逆イールドの解消が進む2026年、米国債利回りは上昇傾向
2026年の米国債市場を理解するには、新型コロナウイルスのパンデミック終息後に起きた大きな変化を見る必要がある。短期債の利回りが長期債を上回る「逆イールド」が数年続いた後、長期債ほど利回りが高い通常の形へ戻りつつある。米国債は満期の長さで呼び方が異なり、厳密には短期物を財務省短期証券、中期物を財務省中期証券、長期物を財務省長期証券と呼ぶ。本稿では読みやすさを優先し、いずれも米国債と表記する。
米連邦準備制度理事会(FRB)のデータによると、長期の30年物と10年物は、一時的な変動を挟みながら利回りが上がる傾向を示している。中短期の2年物と1カ月物は、パンデミック後にほぼゼロだった水準から急上昇し、やがて世界金融危機前に近い水準で変動するようになった。2026年初めから9月15日まで、米国債は利回りが上がり、価格が下がる傾向が続いた。住宅ローンや自動車ローンなど中長期の借入金利も上昇する。債券の魅力が増せば株式市場の見通しが弱まり、投資ポートフォリオにも影響する可能性がある。



