高い実質金利は投資機会になるが、インフレ再加速とAI企業の借り入れがリスク
米国債は流動性が高く、会計上「現金に近い資産」とみなされるため、ウォール街の金融機関は資金を米国債で保有しながら利息を得る手段として長く利用してきた。2025年にはFRBなど複数の米金融規制当局が、米国債市場で大手銀行が取引を仲介しやすくするため、規制を緩和した。これは大手銀行が以前から求めていた変更だったとロイターは報じている。
スパットは、満期の長い米国債では、インフレの影響を差し引いた実質金利が3%程度とみられており、歴史的に高いと指摘する。
投資には常にリスクが伴い、混乱が続く変動の激しい時期には、そのリスクが通常より大きくなる可能性がある。米資産運用会社Breckinridge Capital Advisorsの調査共同責任者、ニック・エルフナーは、2026年末までに債券投資家が直面する主なリスクとして、インフレの再加速とAI関連の設備投資を挙げる。
インフレが再加速すれば、利回り上昇で保有債券の価格が下がり得る
債券は、多くの投資家にとって将来の利息収入を見通しやすい資産である。同時に、市場金利が下がれば既存債券の価格が上昇し、値上がり益を狙える資産でもある。中東の混乱で在庫減少と生産設備の損傷が起きており、インフレが再び加速する可能性は高いとされる。エネルギー価格の上昇は、産業や経済へ連鎖的に影響する。
インフレが進むと、固定利払いの実質価値が下がるため、投資家はそれを補う高い利回りを求める。新たな買い手を呼び込むには利回りが上がる必要があり、利回りと価格は逆方向に動くため、既存債券の価格は下がる。投資家は、受け取る利息の実質価値が必要な水準に届かないだけでなく、途中で売却すれば購入価格を下回って損失が出る可能性も負う。債券を売って損失を確定した場合、その実現損を他の所得にかかる税負担の軽減に使える可能性もあるため、金融アドバイザーへの相談が必要になる。
AI関連の社債発行が増え、米国債も投資資金を巡って競争
Investor’s Business Dailyは、国の債務に伴う資金需要とAI分野の急拡大が重なり、金利を押し上げる「歴史的な借り入れブーム」が起きていると報じた。米財務省は、期待が過熱しているAI業界と限られた投資資金を奪い合う状況にある。
エルフナーによると、大企業の社債と同じ程度の残存期間を持つ米国債との利回り差、すなわちクレジットスプレッドは小さい。これは、市場が両者のリスク差も小さいとみていることを意味する。米国債が投資資金を呼び込むには、社債より高い利回りを提供する必要がある。エルフナーは「足元の高い利回りと利息収入の増加は、金利がさらに上昇した場合でも、総合収益を下支えする余地を大きくする」と話す。


