世界随一のダイヤモンドジュエラー、グラフの回顧展がこの冬、東京・原宿で開催される。ダイヤモンドに人生を捧げた男の65年に及ぶ歩みは、いつの時代も人々を魅了してやまない神々しい輝き、その魅力をあらためて私たちに知らしめてくれる。
王侯貴族の文化であったファインジュエリーの分野は、老舗ジュエラーが担ってきた長い歴史があり、そこへ新たに参入するのは非常に困難である。そんな至難の技を個人が一代で成し遂げたのがローレンス・グラフだ。とくにダイヤモンドに関しては歴史に残る名品を数多く世に送り、“21世紀のキング オブ ダイヤモンド”と称されるまでになった。いかにしてグラフは、老舗ジュエラーも一目置くダイヤモンド王となったのだろうか。
美を見抜く異能を早くからを発揮
ローレンス・グラフは1938年、英国ロンドンにて誕生した。若干15歳で世界的なダイヤモンド街ロンドン・ハットンガーデンの小さな工房にて、見習いとして働き始める。良質なダイヤモンドを見極める天賦の才に恵まれ、ビジネスのセンスも持ち合わせていた彼は、わずか18歳で独立。オリジナルデザインのジュエリーを、英国各地の宝飾店へ提供するようになる。そして22歳だった1960年にグラフを設立し、1962年には念願であった自身の初店舗をハットンガーデンに出店したのだ。
若い頃からダイヤモンドへの情熱を人一倍抱いてきたグラフ。より大粒で良質なダイヤモンドを世に届けたい、原石から完璧で価値あるダイヤモンドをクリエイトしたいという願いは、やがてダイヤモンドの品質を誰よりも精確に見定める審美眼を培った。その結果、多くの歴史的なダイヤモンドの入手、ジュエリーの制作を行うことができたのである。
歴史を築いたダイヤモンド王の歩み
グラフがこれまで手がけてきた、歴史に名を残すダイヤモンドは、実に多岐にわたる。
世界最大級のホワイトダイヤモンドはもちろん、幾多の王冠を飾ってきた歴史的なブルーダイヤモンドを再度研磨し、より鮮やかなカラーを引き出すことに成功したファンシーディープブルーダイヤモンド「ザ ヴィッテルスバッハーグラフ」(31.06カラット)や、世界最大のスクエアエメラルドカット ファンシーヴィヴィッドイエローダイヤモンド「ザ ドゥレアサンライズ」(118.08カラット)、2001年発表当時、世界最大の、インターナリーフローレス ファンシーライトピンクダイヤモンド「エンプレス ローズ」(70.39カラット)など、数多くのファンシーカラーダイヤモンドも数多く発表している。
なかでもグラフにとって金字塔となったのが、2017年に入手した史上2番目の大きさのダイヤモンド原石「ザ レセディ ラ ロナ」(1109カラット)だ。世界的な宝石の権威である米国宝石学会(GIA)より、大きさだけでなく最高峰の品質と透明度をもつと評価された希少な原石である。グラフはその原石を約18ヶ月もかけて入念に検証。美しさと大きさを最大限に引き出す最適なカットを導き出し、GIAで鑑定されたなかで史上最大にして最高位のカラーとクラリティ(透明度)をも備えたスクエアエメラルドカット ダイヤモンドが誕生したのだ。
こうした数々の実績をジュエリーシーンで築き上げてきたローレンス・グラフは、2013年エリザベス女王より大英帝国勲章を受勲。女王より最高の栄誉を授かることにより、“21世紀のキング オブ ダイヤモンド”の称号を不動のものとしたのである。
今回の回顧展では、近代ダイヤモンドジュエリーの歴史そのものといっても過言ではないグラフの歩みを振り返るとともに、世界最大級のDカラーハートシェイプダイヤモンド「ザ グラフ インフィニティ」(157.80カラット)を戴く「ザ インフィニティ ティアラ」が展示される。このダイヤモンドはかつてザ レセディ ラ ロナとひとつづきの原石から生まれたものだという。その神々しいまでのまばゆい輝きをその目で確かめてほしい。




