リーダーシップ

2026.09.09 17:26

AIのROIを測る前に決めるべきこと 女性リーダーを飛躍させる「知性への投資収益」とは

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企業におけるAIのROI(投資収益率)をどう測定するかを決める前に、私たちはAIに何を生み出してほしいのかを決めるべきだ。私たちはまだこの領域の初期段階にいる。つまり、リーダーが今下す前提が、今後何年にもわたって企業のAI設計・導入・測定のあり方を形づくることになる。もし古い生産性の定義のままこの新時代に突入すれば、私たちは削減された時間、自動化されたタスク、削減された間接費、そして消滅した仕事を測ることになるだろう。

これらの指標は、AIが何を排除するかを教えてくれるものの、AIが何を可能にするかを教えてくれるわけではない。AIによって、企業がより少ない人数で同じ仕事をこなせるようになるのであれば、それは「効率化」である。一方で、企業が新しい製品を生み出し、新しい市場に参入し、新たな課題を解決し、人材をより価値の高い役割にシフトさせることができるようになるのであれば、それは「変革(トランスフォーメーション)」である。

私はこれを「Return on Intelligence(知性のリターン)」と呼んでいる。人工知能と人間の知性を組み合わせることで企業が生み出す、新たな成長、能力、そして人間の可能性のことだ。

AIが生み出すものを測る

従来のROIは、あるテクノロジーが投資に見合ったかどうかを示す。一方、Return on Intelligenceが問うのは、それによって組織がより有能になり、競争力を高め、価値を増したかどうかである。そこでは、コスト削減以上のものを測る必要がある。リーダーは、新しい製品、サービス、市場を通じてAIが生み出す収益に目を向けるべきだ。AIがイノベーションを加速しているか、顧客との関係を強化しているか、意思決定を改善しているか、知的財産を構築しているか、変化を予測し対応する組織の能力を高めているかを測るべきである。

企業はまた、人間の能力の拡張も測定すべきだ。AIが反復的な作業を取り除いたとき、従業員はそこで生まれた時間を使って何ができるようになるのか。より重要な問題を解決し、アイデアを育て、関係を築き、判断力を発揮し、新たな価値の源泉を生み出しているのか。

10時間を節約しても、その時間が単に報告書から消えるだけなら価値は限られる。真のリターンは、その能力をより高付加価値の仕事へ再投資することから生まれる。

AIのジェンダーギャップはリーダーシップの機会になり得る

企業がAIのリターンをどう定義するかは、人材への向き合い方も左右する。リーダーが成功を主に人員削減で定義するなら、労働力をめぐる議論は、AIがどの仕事をなくせるかに集中する。成功を成長で定義するなら、議論はAIがどのような新事業の構築を支援できるか、そしてその事業にどのような新たな人材が必要かへと変わる。

この違いは、女性にとってとりわけ重要である。リンクトイン(LinkedIn)の新しい調査によると、2025年の米国において、非AI職種での新規採用者に占める女性の割合は約50%だったのに対し、AI関連職種の新規採用者における女性の割合はわずか26%だった。また、世界27カ国のAI企業において、経営幹部のAIリーダーシップ職に就いている女性はわずか13%にとどまる。

同時に、国際労働機関(ILO)の報告によれば、女性が多数を占める職業は男性が多数を占める職業に比べ、生成AIの影響を受ける可能性がほぼ2倍高い。女性は、AIが変える仕事に多く晒される一方で、AIが生み出す仕事では少数派となるリスクがあるのだ。

しかし、AIのジェンダーギャップが女性を取り残す必然性はない。私たちが意図を持って行動すれば、AIは女性を前進へと一気に押し上げ、何世代にもわたってリーダーシップの顔ぶれを変わらないものにしてきた古い序列を解体し得る。

キャリアの梯子のいちばん下の段を自動化しながら、天井をそのままにしておくことはできない

AIは新しい役割、産業、そしてリーダーシップの定義を生み出している。最も重要なAI関連職の多くは、数年前にはほとんど存在していなかった。つまり、そこへ至る道筋はまだ固定されていない。

これは、AIがどのように設計され、適用され、統治され、医療、ケア、資本へのアクセス、経済的安定、昇進、教育、機会における格差を埋めるために使われるかを形づくる設計者として、最初から女性をトップに置く、一世代に一度の機会である。

未来の職場を、過去の権力構造の上に築くことはできない。キャリアのはしごの最下段を自動化しながら、天井をそのままにしておくことはできない。そして、女性を昨日の職場に後付けで組み込んだり、別の時代に作られたはしごを登り続けるよう求めたりすることもできない。

いまこそ、そのはしご全体を設計し直す時である。将来の有力なAIリーダーの中には、現在の肩書に「AI」が含まれていない人もいるかもしれない。マーケティング、財務、オペレーション、医療、カスタマーエクスペリエンス、法務、コミュニケーション、人事の領域で働いている人かもしれない。彼女たちは事業を理解し、顧客を知り、満たされていないニーズを見極め、テクノロジーを人間の問題に結びつけることができる。

企業は、従来型の資格や経歴だけでなく、スキルと可能性を見て採用すべきである。女性にAI研修、挑戦的な任務、変革チームへの参画、予算、スポンサーシップ、意思決定権限へのアクセスを与えるべきだ。AI企業を築く女性に投資し、その事業が規模を拡大するために必要な顧客や調達機会へのアクセスを提供すべきである。

最も重要なのは、すでに設計されたAIシステムの使い方を女性に教えるだけで終わらせてはならないということだ。女性は、自分たちが深く理解している問題を解決するためにAIをどう使うかを設計する側であるべきだ。

私たちが望むリターンを設計する

すべての企業AI施策は、より広い問いから始めるべきである。これはどのような新しい価値を生み出せるのか。どの顧客課題を解決できるのか。どの意思決定を改善できるのか。どの組織能力を構築できるのか。どの人間の能力を拡張できるのか。このテクノロジーが生み出す新たな役割へ、どの従業員が成長していけるのか。

AIで勝つ企業は、最も多くを削減する企業ではない。最も多くの新たな価値を生み出し、人々が達成できることを広げる企業である。

AIのリターンは、あらかじめ決まっているものではない。それは、リーダーが設計し、資金を投じ、測定することを選ぶ成果を反映する。問うべきは、女性がAIでどう追いつけるかではなく、AIがどう女性を飛躍させられるかである。仕事の未来はまさに今、築かれつつある。女性はその中に自分の居場所を見つける必要はない。彼女たち自身が築くべきなのだ。AIのリターンを計算する前に、私たちが望むリターンを設計しよう。

forbes.com 原文

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