食&酒

2026.09.09 17:11

超加工食品をめぐる議論が見落としている、米国人の食のリアル

米連邦政府は、米国の栄養政策において最も重大な問いの1つに対する答えに近づきつつある。すなわち、「超加工食品(UPF)とは一体何なのか」という問いだ。

その答えは、単なる用語の定義にとどまらない、はるかに大きな影響を及ぼす可能性がある。「Make America Healthy Again(MAHA:アメリカを再び健康に)」のアジェンダから導き出される定義は、最終的には食事指針やパッケージ前面の栄養表示、公共機関の食品調達、そして消費者が数千もの食品をどう捉えるかにまで影響を与える可能性がある。

だからこそ、正確な記述を行うことが重要となる。しかし、超加工食品を定義することは、課題の半分にすぎない。

政策立案者は、その定義に当てはまる食品を米国人が実際にどのように消費しているか、つまり、どれだけの量を、どのくらいの頻度で食べ、それらの食品が食生活全体の中でどのような役割を果たしているかを理解する必要もある。

さもなければ、分類と公衆衛生上の影響を混同してしまう危険性がある。

筆者が最近Forbesに書いたように、「消費者が口にするのは分類ではない。食生活である」。この違いこそが、UPFをめぐる議論の次の段階を導く指針となるべきだ。

すべての消費が一様ではない

広範なUPFの分類における課題の1つは、そこに含まれうる食品が極めて多様であることだ。

1日に何度も消費され、かなりのカロリー源となっている食品が、たまに少量しか食べられないものと同じカテゴリーに分類されることがある。しかし、それらが肥満や慢性疾患に寄与する度合いは、まったく異なる可能性がある。

筆者がかつてジョージタウン大学で行った研究が、この違いを説明している。国民健康栄養調査(NHANES)のデータを用いたところ、加糖飲料や包装された洋菓子といった製品は米国人の食生活において高い割合のカロリーと糖分を占めていたのに対し、キャンディは総カロリーの1.8%未満、追加された糖分のわずか6.4%にすぎないことがわかった。また、消費者調査では、最も健康的な消費者層が、実際には全人口の平均よりも頻繁にキャンディを購入していることも判明した。言い換えれば、同じ超加工食品に分類される食品であっても、その消費パターンや食生活への影響は大きく異なる可能性があるということだ。

これは、加工というプロセスが無関係であることを意味するわけではない。一般的に超加工食品に分類される食品を多く含む食生活は、肥満や心血管疾患、その他の悪影響を及ぼす健康リスクと関連していることが研究で示されている。しかし、これらの食品がどのように、そしてなぜ健康に影響を与えるのかについては、いまだ重要な疑問が残されている。

したがって、目的が「米国人の健康増進」であるならば、分類は分析の始まりであるべきであり、終わりであってはならない。

UPFの定義を警告ラベルや調達基準、その他の介入措置に反映させる前に、政策立案者はこう問いかけるべきだ。米国人はこれらの食品をどれだけ消費しているのか。どのくらいの頻度で食べているのか。それらはカロリーや懸念される栄養素にどれだけ寄与しているのか。そして、それらの消費を減らすことは、食生活全体を真に改善することにつながるのだろうか、と。

これらの問いは、国民の健康にとって真に重要なターゲットと、UPFに分類されてはいるものの重要性が著しく低い食品とを区別するのに役立つ。

チリからの教訓

チリは、重要な実社会での検証例を提供している。

チリは、2014年の加糖飲料税の改定を皮切りに、2016年には「食品表示・広告法」を施行し、世界で最も包括的な栄養政策パッケージを導入した。カロリー、糖分、ナトリウム、または飽和脂肪が規定値を超える製品には、目立つ黒い「一時停止標識」のような警告マークが表示された。さらに2018年、チリは一歩踏み込み、視聴者層にかかわらず、午前6時から午後10時まで警告マーク付き製品のテレビ広告を禁止した。

これらの政策は、購買行動を変化させた。ノースカロライナ大学チャペルヒル校(UNC-Chapel Hill)の研究によると、対象となる食品や飲料からの購入量において、糖分が20.2%、ナトリウムが13.8%、飽和脂肪が9.6%、カロリーが8.3%の純減となった。

これらは有意義な成果である。しかし、筆者が世界中のパッケージ前面表示制度を調査した2025年のジョージタウン大学の報告書で示したように、購買行動の変化は、食生活の改善や健康状態の向上を意味するわけではない。チリはこの違いを特によく示している。

税金、警告ラベル、広告規制という異例なまでに包括的な組み合わせにもかかわらず、過体重と肥満の割合は上昇し続けている。パンアメリカン保健機関(PAHO)のデータによると、成人の過体重と肥満の割合は、警告ラベルが導入される前年の2015年の72.6%から、2022年には78.8%に増加した。PAHOは、この割合が2030年までに87%に達する可能性があると予測している。

これが、政策に健康上のメリットがなかったことを証明するわけではない。肥満は多くの要因に影響されるため、これらの政策がなければ、肥満率はさらに急速に上昇していた可能性も考えられる。しかし、対象製品の購買減少を、それだけで根本的な公衆衛生上の問題が解決した証拠として扱うことはできない理由を、この事例は示している。

消費者は対象食品の購入を減らす一方で、食生活の他の部分でそれを補う可能性がある。メーカーは、総カロリー摂取量を大幅に変えることなく製品の配合を変更(リフォーミュレーション)することができる。また、パッケージ食品を対象とした政策では、レストランやその他の外食産業での大量の消費を見落とす可能性がある。

したがって、チリの事例を単に警告ラベルが効果的であるか否かの証拠として捉えるべきではない。チリの経験は、栄養政策が、食品の分類方法、消費者の反応、実際の食生活、そして最終的に健康状態が改善するかどうかという一連の流れ全体を追跡しなければならない理由を示している。

途中で立ち止まってしまっては、ストーリーの一部しか見えてこない。

ラベルが食べるのではない。人間が食べるのだ

食品ラベルは有益な情報を提供し、購買決定に影響を与えることができる。しかし研究は、同じラベルがすべての食品や、すべての消費者に同じように影響を与えるわけではないことも示唆している。

チリの警告ラベル制度に関する研究では、ジュースやシリアルなどの一部の食品カテゴリーでは購買行動に大きな変化が見られた一方、チョコレートやキャンディ、クッキーではほとんど、あるいはまったく効果が見られなかった。また、ラベルに見慣れるにつれて、消費者が警告に注意を払わなくなる可能性を示す研究もある。ここからの教訓は、ラベルが機能しないということではない。その影響は、何にラベルが貼られているか、そして誰が選択を行っているかに一部左右されるということだ。

この違いは特に重要である。なぜなら、栄養情報に最も関心を持つ消費者が、必ずしも食生活の改善を最も必要としている消費者だとは限らないからだ。ジョージタウン大学のポーション・バランス・コーリション(Portion Balance Coalition)のためにナチュラル・マーケティング・インスティテュート(Natural Marketing Institute)が行った消費者セグメンテーション調査によると、栄養情報は最も健康的な消費者層の71%の購買に影響を与えたのに対し、最も健康意識の低い層ではわずか23%にとどまった。また、最も健康意識の低い消費者層は、過体重や肥満の割合が大幅に高かった。

このことは、UPF政策に対して重要な示唆を与えている。

同じ警告が適用される2つの食品を考えてみよう。一方は、たまに少量しか消費されないキャンディやクッキーかもしれない。もう一方は、より頻繁に消費され、はるかに多くのカロリーや追加された糖分の原因となっている加糖飲料や包装された洋菓子かもしれない。

警告は同じかもしれない。しかし、消費パターンや公衆衛生に及ぼす潜在的な影響は、まったく異なる可能性がある。

本当に重要なものを測定する

消費の視点を取り入れることは、連邦政府によるUPFの定義を損なうどころか、より有用なものにするだろう。これにより、政策立案者はすべての該当製品を一律に同じ公衆衛生上の懸念として扱うのではなく、米国人の食生活への実際の寄与度に応じて食品の優先順位を決定できるようになる。

このカテゴリーがこれほど広範である場合、この点は特に重要となる。米食品医薬品局(FDA)は、包装された製品の約70%が一般的に超加工食品とみなされており、子供たちはカロリーの60%以上をそうした食品から摂取していると推定している。

定義が食品供給のこれほど多くをカバーしている場合、分類だけでは得られる情報が少なすぎる。政策立案者は、人々がどの食品を最も多く、どれだけの量、どのくらいの頻度で消費しているのか、行動が変化したときに代わりに何を消費しているのか、そして最終的にそれらの変化が健康増進につながっているのかを知る必要がある。

定義は「超加工食品とは何か」を教えてくれる。だが、米国人がそれをどのように消費しているかは「それがどれほど重要か」を教えてくれる。そして最終的に、優れた栄養政策の基準とは、何を分類したかではない。米国人がより健康になったかどうか、なのだ。

forbes.com 原文

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