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2026.09.09 15:22

10兆ドル(約1560兆円)を失う「企業文化」問題──ピザパーティーでは解決できない

stock.adobe.com

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この10年、ビジネスリーダーは次々と課題に直面してきた。新型コロナウイルス感染症は、私たちがどこで、どのように働くかを根本から変えた。大退職時代は、一夜にしてチームを崩壊させた。そして今、従業員エンゲージメントはここ数年で最低水準に落ち込んでいる。Gallupの報告によれば、世界の従業員の5人に4人が仕事にエンゲージしておらず、世界経済に推定10兆ドル(約1560兆円)の損失をもたらしている。

従業員行動の変化を受け、多くの雇用主はわかりやすい対策を講じてきた。より高い報酬、より華やかな肩書、無制限の休暇、ピザパーティー、「サマー・フライデー」、オフィス内の娯楽スペースなどである。企業は、従業員に出社してもらい、チームにとどまり、エンゲージし続けてもらうため、考え得るあらゆる特典を投じてきた。しかし多くの場合、こうした取り組みの成果は、せいぜいごく限定的だった。

私はこれまで7つの事業を立ち上げてきたため、「もっと与えればよい」という論理の魅力は理解している。だが人生で学んだことが2つある。愛は買えない。そして忠誠心も買えない。従業員のエンゲージメント低下への処方箋は、より多くの報酬や特典ではない。私が見いだしたのは、チームメンバーに力を与え、そのブランドを育てたいと思わせるブランドを築くことだ。それを実現するには、文化を優先する必要がある。

なぜ文化がブランドなのか

多くの人が考えるのとは異なり、ブランドとはロゴやフォント、色だけではない。むしろ、企業の視点を可視化したものだ。そこにはビジュアルも含まれるが、より重要なのは、企業が自社を取り巻く世界をどう見て、どう関わるかである。この種の視点を、文化ほど明確に示すものはない。文化はブランドである。弱い文化は、弱いブランドを生む。

文化は、計画するかどうかにかかわらず存在する。何もしなければ、文化は偶然に形づくられる。定着率の高い企業は、自社の文化を目的意識を持って、意図的に維持していることが多い。私の経験では、意図的な文化づくりは、構造、空間、体験という3つに集約される。

優れた文化は、自分をパーティーの主賓と捉えるのをやめ、ホスト(主催者)と捉えることから始まる。誰もがパーティーに招待されるのを好むが、そのイベントのトーンを決め、その夜の雰囲気を左右するのはホストである。優れた企業は、社内チーム、顧客、そして出会うすべての人に対してホストの役割を果たす。

1. 構造

キャリアの初期、私は構造こそ創造性の敵だと確信していた。実際には、その逆である。構造があるからこそ自由が可能になる。バスケットボールからアウト・オブ・バウンズのライン、ファウル、スコアボードを取り除けば、もはやゲームは成立しない。文化も同じだ。構造がなければ、文化は実質的に存在しない。

構造の中で、最も重要なことは3つある。

第一に、自社が売るものを買いやすくすることだ。提供内容が不明確だと、購買プロセスに障害が加わる。また、チームに即興対応を強いることにもなる。それこそが、規模が拡大する中で文化が侵食される原因である。明確な商品パッケージと顧客導線を持つことで、仕事は簡素化され、成長しやすくなる。

第二に、中核となる価値観を業務に落とし込むことだ。あまりに多くの企業が、コンサルタントに費用を払い、会社の価値観づくりを手伝ってもらい、それを額に入れて壁に掛けたまま二度と見ない。私の会社では、価値観は採用、フィードバック、顧客とのやり取りのあり方に深く組み込まれている。

最後に、言葉を意図的に使うことだ。言葉は現実をつくる。仕事、自社、顧客、従業員についてどのように語るかは、想像以上に重要である。たとえば、チームを悩ませる顧客がいるとき、私たちは互いにこう思い出させる。「彼らが自分たちでこれをできるなら、私たちを雇っていないはずだ」。ビジネスについてどう語るかは、文化の火を燃やす石炭なのである。

2. 空間

物理的な環境は、目に見える文化である。私のマーケティング会社は以前、ベージュ色のオフィスパークで運営していた。よいオフィスではあったが、刺激を受ける環境とは言い難かった。自分たちのスペースに移転したとき、私たちは一から設計し、何かが変わった。外部に見える姿が、私たちが築いていた内部の文化と一致し、士気が高まった。

仕事の未来は、滑り台や仮眠ポッドを備えた2010年代初頭のシリコンバレー型キャンパスではない。人が大切にされていると感じられる、人間中心の空間である。そして適切な空間は、ブランドの舞台になり得る。パネルディスカッション、ワークショップ、ハッピーアワー、コミュニティナイトを開催することで、人々をその空間に招き入れることができる。

もちろん、専用の空間を持てる人ばかりではない。チームがリモート勤務や分散型であっても、この原則は変わらない。部屋を所有する代わりに借りているだけだ。今日の世界では、多くの人が仕事でも遊びでも、リアルでの(IRL)体験を求めている。

3. 体験

文化は、現実の共有された瞬間の中で築かれる。大規模な顧客向けイベントを成功させることは、チームを疲弊させ、いくつかの議論を巻き起こすかもしれない。しかし、メンバーが同じ価値観と進むべき方向のビジョンを共有していれば、それ以上に彼らを強く結びつけるものはない。

自社の文化のホストとして、チーム、ステークホルダー、顧客に向けた体験づくりを優先すべきだ。カジュアルなハッピーアワー、プライベートコンサート、社外リトリートのような小規模なイベントでもよい。彼らの生活に関心と奥行きを加えるものだ。私たちはハッピーアワーを、コミュニティ全体を引き込むイベントへと育ててきた。地元の店舗との共同ブランド企画や、マイナープロスポーツチームとのテイクオーバーも行った。興味深い仕事は興味深い人を引き寄せる。そして興味深い人こそ、一緒に築いていきたい相手だからである。

強い文化はビジネスを強くする

意図的な企業文化を支えるこの3つの柱は、チームの働き方にかかわらず有効である。リモート、ハイブリッド、完全対面、複数拠点に分散した形態のいずれであっても、同じ柱を適用できる。変わるのは実務上の段取りだけだ。

強い文化は、収益の向上、生産性の向上、定着率の改善につながる。自分の職場に好感を持ち、文化を通じて会社とつながっている人は、はるかに定着しやすい。

最も良い知らせは、文化は自らつくることができるという点だ。そして、小さく始めることもできる。自分のパーティーのゲストでいるのをやめることだ。チームと共有する体験を1つ主催し、そこから始めればよい。

forbes.com 原文

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