スポーツ

2026.09.15 14:15

「開成→東大・運動音痴・初テニス25歳で世界ランク奪取」競争心ゼロの勝機

市川誠一郎氏。39歳でテニス世界ランキングを獲得

「比較」の構造と本当の幸せ

──市川さんは、自分軸で生きられているのが、印象的です。周りの目や評価が気になってしまう人に、どうアドバイスしますか?

advertisement

市川:他人と比べること自体は人間の本能として自然で、消せないと思います。比較のなかに自分の幸せがあるなら、それはそれでいいと思うんです。たとえば「良い車が欲しい」というモチベーションで頑張れるなら、その世界で生きていけばいい。

ただ、「人と比べることを自分の中でどんどん膨らませてしまい、自分を不幸にしてしまうケース」があまりに多い。

僕自身、周囲の綺麗なフォームや恵まれた運動能力に対して強いコンプレックスを抱えてきました。自由に生きているように見える人やトップアスリートだって、何かしらのコンプレックスを持っています。他人を馬鹿にしたりマウントをとるのも、自身の不安をごまかそうとしている裏返しです。だから「自分だけが気にしている」と悩む必要はありません。

advertisement

知っておいてほしいのは、羨ましいと思うポジション(東大、タワマン、世界チャンピオンなど)に立ったとしても、不安や葛藤は消えないということです。外側のステータスを手に入れても、比較の先に本当の幸せはないのではないでしょうか。

幸せの軸を「所有」から「プロセス」へ

──では、どこに自身の幸福軸を置けばよいのでしょうか。

市川:人と比べる気持ちを消そうとするよりも、それを受け入れることで安心できると思います。同様に、欲しい能力がなくても、ないことを受け入れる。

僕の場合、試合の勝利そのものよりも「全力を注いでプレーしている瞬間」や「昨日より今日の自分を高めようとしているプロセスの時間そのもの」に幸せを感じます。

多くの人は結果や「手に入れること」に幸せを求めがちです。しかし、どれだけお金を稼いでも人間関係が冷え切っていれば空虚です。僕にとっては、幸せとは何かを持つことではなく、「自分がやると決めたことに夢中になって生きている時間そのもの」の中にあるのです。

次ページ > 比較のノイズを断ち切る「2つの行動」

文=竹崎孝二

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事