AI向けデータセンター企業アプライド・デジタルの株価は、2026年5月末からの3カ月ほどで44.3%下落した。同じ期間にS&P 500種株価指数は1.4%上昇している。現在の株価は26.50ドル前後で、52週高値のおよそ半分にとどまる。それでも同社株は、株価売上高倍率(PSR)で13.1倍と、S&P 500の3.2倍を大きく上回る水準で取引されている。この2つの事実が同時に成り立つのは、株価が、いま目に見えている事業の実態とほとんど結びついていないからだ。
アプライド・デジタルはなぜ割高に見え続けるのか
まず、実際に稼働しているものから見ていこう。直近12カ月の売上高は6億ドル(約920億円)だった。経営陣によれば、2026会計年度第4四半期のHPC(高性能計算)データセンター事業の業績に反映されているのは、主にPolaris Forge 1(ポラリス・フォージ1。同社のデータセンター拠点の一つで、複数の建物からなる)で最初に稼働した100メガワット分だけで、その後さらに75メガワットが同じ拠点で引き渡されている。同社が各拠点で契約済みのクリティカルITロード(冷却設備などを除き、サーバーなどのIT機器そのものに供給できる電力容量)は、合計で1.41ギガワットに達する。
これと対照的なのが、契約済みの長期リース価値360億ドル(約5兆5500億円)という巨額の受注残だ。1年前の70億ドル(約1兆800億円)から大きく積み上がった。投資家が代金を払っているのは、この受注残に対してである。事業そのものは急速に拡大している。一方で損益計算書のほうは、まだ工事中の現場のようなもので、稼働しているのは入り口のごく一部にすぎない。
アプライド・デジタルは本当にこれをすべて建設できるのか
経営陣は直面する制約として、電力供給の開始時期と自社サプライチェーンの拡大能力という2点を挙げている。後者について同社は、クリティカルITロードで年間およそ700メガワットと見積もっている。これに対し、契約済みの建設規模は1.5ギガワットで、これを2年ほどのうちに完成させなければならない。経営陣自身が認めているとおり、この計画は自社の能力の上限をわずかに超えている。



