もっとも、これまでの実績は違うことを物語っている。Polaris Forge 1の最初の棟は着工から稼働まで約24カ月を要したが、2棟目は12カ月足らずで済んだ。経営陣によれば、進行中の建設案件はすべて、予定どおりの日程と予算で進んでいる。
次の段階に必要な電力については、もっと先の話になる。同社がBase Electron(ベース・エレクトロン)と結んだ契約には、ノースダコタ・サウスダコタの両州で約1.2ギガワットの天然ガス火力発電が含まれるが、そのうち最初の分が使えるようになるのは2029年と2030年である。
計画が遅れたらどうなるか
計画の遅れが続くかぎり、その穴埋めは利益ではなくバランスシート(手元資金と借り入れ)で行うことになる。営業利益率はマイナス35.1%と大幅な赤字で、S&P 500の18.5%とは対照的だ。つまり同社は全体として、本業でまだ損失を出している。負債は時価総額の71.6%に相当し、市場平均の19.8%を大きく上回る。ただし現金は総資産の16.0%を占め、市場平均の6.6%より厚い。
受注残の下には、価格の問題が潜んでいる。直近の3件のリース(合計810メガワット)については、利回りが同業他社より低いのではないかとアナリストから質問が出た。これに対し経営陣は、自社のリース料率は同種の取引のなかでも上限寄りにあり、その協議以降さらに上がっていると説明している。360億ドルのうち約200億ドル(約3兆1000億円)はこの3件によるもので、いずれも同じ高格付け(投資適格)のハイパースケーラー(巨大クラウド事業者)と結ばれた契約だ。
次に注目すべき材料は、現在交渉中の2件の拡張リース(およそ100メガワットと150メガワット)が、経営陣の見込みどおり、直近3件よりも大幅に高いリース料率でまとまるかどうかだ。
それでは、投資家はアプライド・デジタルのどのような側面に価値を見出しているのだろうか。契約で固まった巨額の収益の流れと、会社が公言した能力をわずかに上回るペースで進む建設計画、そして、どちらが正しいのかをあと1〜2年は決着させてくれない損益計算書である。ただし忘れてはならないのは、この株が過去12カ月で90%近く上昇し、直近3カ月で35%下落していることだ。それだけ値動きの激しい賭けである。


