誤解4:生産性を上げる最善の仕組みは万人に当てはまる
ビジネス界では万人に通用するルールが好まれる。
早起きする。午前中には絶対に会議を入れない。90分単位で仕事をする。受信トレイを空にする。受信トレイを空にしない。一番難しいタスクから始める。一番簡単なタスクから始める。
この矛盾は何かを物語っている。
人はそれぞれ違う。
たとえばクロノタイプに関する研究では、人が自然に最も頭が冴えていると感じる時間帯には大きな個人差があることが示されている。午前7時に優れた分析業務をこなせる従業員は、一日の後半に集中力がピークに達する従業員とは全く異なるタイプかもしれない。
仕事もそれぞれ違う。
営業担当者は研究者と全く同じように1日を組み立てることはできない。大きなチームを統括するマネジャーは各従業員よりも必然的に多くの中断に直面する。創造的な仕事に従事する人は長時間の集中を必要とする一方で、業務上の問題に対処する人は常に迅速に対応できる状態を維持しなければならないかもしれない。
生産性の仕組みは仕事と、仕事を行う人のためにあるべきだ。
仕組みそのものが目的となってしまっては手段と結果を混同していることになる。
生産性とは「活動」ではなく「価値」のこと
生産性に関するおそらく最大の俗説は他の全ての俗説の下に隠れている。それは生産性とは「1日のうちに多くの仕事をこなすこと」という考え方だ。
実際には逆のことを意味する場合もある。
3時間かかっていたタスクを10分のプロセスに自動化した従業員は、まさに仕事量を減らしたからこそ生産的になっている。不要な会議をなくしたマネジャーは誰かの労働量を増やすことなく生産性を向上させている。2時間の静かな時間を費やして6カ月分の無駄な労力を防ぐ決断を下した経営幹部は、1週間ずっと忙しく動き回っていたときよりも大きな価値を生み出した可能性がある。
人工知能(AI)の登場により、この区別はさらに重要になる。
機械がメールやレポート、プレゼンテーション、分析、コードをほぼ瞬時に作成できるようになるにつれ、組織は膨大な量の成果を生み出せるようになる。
だからといって、組織が驚くほど生産的になるとは限らない。単に、誰も必要としていなかったものを大量に作るだけかもしれない。
従って、リーダーが問うべきなのは「どうすればもっと多くの仕事をこなせるか」ではない。
問うべきは「やるに値する、十分な価値を生み出す仕事はどれか」だ。
これはダッシュボードに載せるには難しい問いだ。
同時に生産性に関する問いで唯一、本当に重要なものかもしれない。


