アントワーヌ・ラヴォワは、コンコルディア大学で純粋数学と応用数学を学ぶ3年生である。同時に、モントリオールを拠点とするWeb3企業ARKHIVEの創業者兼CEOでもあり、同社は8月26日にSolanaブロックチェーン上でトークンをローンチした。
フルタイムの授業と、機関投資家から資金を調達する会社の経営。この組み合わせは、本連載で取り上げる創業者たちの間では、以前ほど珍しくなくなっている。だが、ラヴォワについて筆者が最も印象を受けたのは、彼の年齢ではなかった。自社プロダクト、資本政策、そして自身のリーダーシップスタイルにおいて、評判を構造へと置き換えようとする、その徹底した姿勢である。
家族のスタジオからブロックチェーンスタートアップへ
ラヴォワはモントリオールで育った。母は受賞歴のある写真家ハイディ・ホリンガーである。17歳のとき、兄でミュージシャン兼プロデューサーのロンド・バンクスとして知られる人物とともに、モントリオール、ハバナ、マイアミのミュージシャンやビジュアルアーティストと協業する制作会社Honeyïceを共同創業した。母が数十年にわたりアート界で築いてきた人脈は、その後の事業にとって、初期の低コストなネットワークとなった。
インディペンデントのアーティストたちが露出と流動性の確保に苦労する姿をクリエイティブ経済の内側で見たことが、ラヴォワをブロックチェーンへと向かわせた。
「クリエイティブ分野は、Web3の中で最も未開拓な領域の1つだと感じている」とラヴォワは語る。
現実資産のトークン化は、すでに資本市場や不動産で定着しつつあった。次はクリエイティブ作品の番であるべきだと、彼は考えた。
ただし、その提案には多少の説明が必要だ。Web3とは、ビットコインの基盤にもなっている分散型台帳技術であるブロックチェーン上に構築された新世代のインターネットアプリケーションを指し、銀行やプラットフォームが仲介しなくても、人々が互いに直接取引できるようにするものだ。
ラヴォワは、業界外の多くの人、とりわけ上の世代は、技術と暗号資産(仮想通貨)そのものを混同していると指摘する。
「暗号資産を単に通貨や金銭的価値を交換する手段としてしか見ていない人がいる。そのせいで、実際のWeb3プラットフォームやブロックチェーン技術を活用したソリューションという概念が見落とされている」と彼は言う。
NFTの評判を再構築する
ARKHIVEは、アーティスト、ミュージシャン、さらには美術館・博物館といったクリエイターが、将来収益や物理的資産に対する請求権を、取引可能なトークンとして販売できるようにする。ミュージシャンはSpotifyのロイヤルティの一部を売却できる。展覧会の資金を調達する画家は、そこから生まれる収益の半分を販売できる。美術館・博物館は所蔵作品をトークン化し、作品そのものを移動させることなく、所有権が移転するたびに取り分を得られる。
基礎となる資産が、必ずしもトークンとともに移動するわけではない。ラヴォワが挙げる例では、絵画は美術館に安全に保管されたまま、その経済的価値の所有権だけがデジタル上で移転し得る。
この区別は重要だ。NFT自体が、必ずしも作品や収益源そのものではないからである。NFTは所有権に対する請求権をデジタルで表したものとして機能し、基礎となる価値はプラットフォームのインフラの中に存在する。
インセンティブを一致させる
ラヴォワはこれを「インセンティブのフライホイール」と呼ぶ。プラットフォームを数カ月かけて構築した後にたどり着いた概念だという。
投資家は発行者の成功に直接的な金銭的利害を持つため、その発行者のプロモーターになり得る、と彼は説明する。友人に作品を共有し、オンラインで投稿し、アーティストがレーベル契約を獲得する手助けをすることさえある。すべては、自分自身のリターンが発行者の成功に左右されるからだ。ARKHIVEのトークン保有者も同様の利害を持つ。同社はすべての取引から手数料を徴収し、その手数料の一部が保有者に分配されるため、プラットフォーム上の各資産が成功することを望む理由が生まれる。彼の見方では、これこそがARKHIVEを従来型のマーケットプレイスと分ける点である。ある資産にエクスポージャーを持つほぼ全員に、その資産のパフォーマンス向上を助ける理由があるのだ。
ARKHIVEが参入しようとしているのは、すでに本格的な資本を引きつけている一方で、まだばらつきも大きい分野である。
パブリックブロックチェーン上のトークン化された現実資産は、2026年半ばまでに7000超の商品全体で約600億ドル(約9兆2600億円)に達している。ただし、その価値の大半は、トークン化された米国債のような少数の機関投資家向け商品に集中しており、より広範な市場の多くでは実際の取引活動は乏しい。
スタンダードチャータードのジェフ・ケンドリックは、トークン化された現実資産の市場が2028年末までに2兆ドル(約309兆円)に達すると予想しており、現在進行中の機関投資家によるシフトの規模を浮き彫りにしている。
規制の枠組みも市場とともに進化している。2026年1月、米証券取引委員会(SEC)のスタッフは、トークン化された証券が引き続き連邦証券法の対象であることを明確にする指針を公表した。一方、カナダの証券規制当局も、カナダの証券法制の下で運営される暗号資産取引プラットフォーム向けの指針を定めている。
ラヴォワは、政府や金融ではなくクリエイティブ分野から始めた理由について率直だ。彼はこの分野を、トークン化のより初期段階のユースケースと見ており、規制環境も、より成熟した金融用途とは異なると考えている。
同時に、自身のプロダクト分野が抱える負のイメージについても率直に語る。2021年のNFTブームは、実質ではなく投機を売ったものだったと彼は主張する。それらの資産の大半には実質的な担保がなく、再販需要が干上がると、買い手の手元に残ったのは基礎的価値をまったく持たないものだったという。
「実際の収益源や物理的な品物の裏付けがなければ、本物の投資家の多くは、プロダクトやプロジェクト、投資に本格的な資金を投じようとはしない」と彼は言う。
ARKHIVEは、収益倍率や割引キャッシュフロー分析を含む確立された評価手法を用いて、収益を生む資産の妥当な価値を算定する。投機的需要に主に依存するのではなく、同社のトークンは明確に定義された収益源と結びつき、基礎となる資産の実績および予測される財務パフォーマンスに基づいて評価される。
保証ではなく検証を重視する同じ姿勢は、ARKHIVEが外部資本を取り込んだ方法にも表れている。
6月、バンクーバーに拠点を置くAnonymous Intelligence Company Inc.(CSE: ANON)は、20万ドル(約3090万円)で普通株10万株を購入し、ARKHIVEの株式10%を取得した。この契約では、ANONに追加で10%を取得するオプションも付与された。8月4日、ANONはそのオプションを行使し、20万ドル(約3090万円)相当と評価されたANON株80万株と引き換えに、ARKHIVE株をさらに10万株購入した。この取引によりANONの出資比率は20%となり、ARKHIVEの評価額はおよそ200万ドル(約3億900万円)であることが示唆された。
この提携により、ARKHIVEはコンプライアンス、法務、財務報告の実務など、上場企業としての経験に触れる機会も得られる。
ラヴォワは、このような機関投資家レベルの環境に触れられることは、資本そのものとほぼ同等の価値があると語る。
若いCEOがレガシー企業のリーダーに教えられること
ラヴォワは、自分よりかなり年上の経験豊富なチームを率いている。資本市場や起業の経験を持つベテランの取締役会に加え、IBMやNDAXで働いた経験を持つメンバーを含むソフトウェア開発チームに支えられている。
彼は、この体制が機能している重要な理由として、取締役会が細かく監督するのではなく、自分に意味のある意思決定の裁量を与えてくれていることを挙げる。彼は同じ哲学をチーム全体にも適用し、開発者に自律性を与え、信頼できる協力者として扱っている。これにより、よりオープンなコミュニケーションが促され、チームメンバーが調査やアイデアをより積極的に持ち寄るようになったという。
彼のアプローチは、若い従業員がより上位の同僚に専門知識や視点を共有する「リバースメンタリング」の原則と重なる。
Human Resource Managementに掲載された2012年の研究は、リバースメンタリングを世代間学習を促進する方法と位置づけ、若いリーダーと経験豊富なプロフェッショナルの双方のスキル開発を支えるものだと説明している。
Harvard Business Reviewも同様に、この実践を、シニアリーダーが新鮮な視点を得て、若い従業員とのつながりを保つための方法として取り上げている。
「チームのすべてのメンバーを敬意を持って、対等な存在として扱うことは不可欠だと本当に信じている」と彼は言う。「それはCEOが担う最も重要な責任の1つだ」
一方でラヴォワは、より伝統的なトップダウン型のマネジメントから学ばなければならなかったことについても、すぐに言及した。取締役会やアドバイザーからの初期のフィードバック、とりわけ文書化、財務報告、より広範な業界標準に関する指摘は、彼の言葉を借りれば「目を覚まさせるもの」であり、現在の会社運営のあり方を形づくる助けになった。
実際のキャッシュフローに基づいてトークンの価格を設定するときも、ARKHIVEの帳簿を上場企業のパートナーに開示するときも、多くの20歳の創業者なら先送りにしそうな社内プロセスを文書化するときも、ラヴォワは同じ答えにたどり着く。ブロックチェーンにおける長期的価値は、熱狂だけに支えられるものではない。
それは、実在する何かによって裏付けられていなければならない。
Stephanie Ricciが本記事に協力した。



