2026.09.09 08:31

地中海で自分だけの「オデュッセイア」をたどる、必訪の6スポット

Adobe Stock

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批評面でも興行面でも成功を収めた『オデュッセイア』により、クリストファー・ノーラン監督が近年屈指の美しい映像を撮影した場所に大きな関心が集まっている。

観光局や旅行会社はすでに、この壮大な作品がロケ撮影された場所(6カ国にまたがる)を巡る旅程を次々と打ち出している。

しかし、ここで少し視点を変えてみよう。ホメロスによる架空の物語の舞台が実在したとすれば、その場所だったかもしれない地を巡る、地中海の島めぐりのオデュッセイアに出てみるのはどうだろうか。

イタキ島とトロイ、そしておそらくメッシーナ海峡を除けば、ほかの場所が実在した証拠はない。だが、それこそが楽しみの半分である。物語に登場する場所を訪ね、そこで起きたかもしれない並外れた出来事に思いをはせるのだ。

イタキ島(ギリシャ)

これはわかりやすい。ギリシャ西部のイオニア諸島に実在する島である。

この島がオデュッセウス(または妻ペネロペ)という人物に支配されていたことを示す考古学的証拠はない。イタキ島では彼の肖像を刻んだ古代の硬貨が見つかっているが、これらはホメロスが叙事詩を書いてから数百年後に鋳造されたもので、実在の人物ではなく物語をもとにした可能性が高い。

とはいえ、島には「オデュッセウスの宮殿」と呼ばれる遺跡がある。海を望む丘の上の複合遺構で、紀元前13世紀ごろのものとされている。つまり、物語の舞台となった後期青銅器時代にも、その数世紀後のホメロスの時代にも存在していたことになる。

現在のイタキ島は、むしろ素晴らしいビーチ、ターコイズブルーの入り江、オリーブ畑を抜けるハイキングコース、フリケスやヴァティといった絵のような村々で広く知られている。

トロイ(トルコ)

1870年代にアマチュア考古学者のハインリヒ・シュリーマンとフランク・カルヴァートによって発見され、埋もれていた多くの財宝が遺跡から発掘(あるいは略奪)されたトロイは、間違いなく実在の場所である。

この地で戦闘が行われた証拠はあるものの、トロイア戦争や伝説の木馬を決定的に証明するものは、まだ発見されていない。

現在の考古遺跡公園には約5000年前にさかのぼる遺構が残り、なかでも青銅器時代の城壁とローマ時代の建造物は保存状態が良い。

2018年に開館した新しい博物館には、トロイと近隣の古代遺跡から出土した遺物が収蔵されている。また、実物大のトロイの木馬のレプリカの中に入ることもできる。

ジェルバ島(チュニジア)

オデュッセウスは、北アフリカの海岸だったと考えられる場所に何度か波乱に満ちた上陸をしており、そのひとつがロートパゴイ(「蓮食い人」)との束の間の出会いだった。

部下たちは豊富に実る蓮の果実に酔いしれ、麻薬のような恍惚に浸って、オデュッセウスに無理やり連れ戻されるまで船に戻ることを拒んだ。

現在のジェルバ島がもたらすのは、また別の種類の至福だ。地中海のビーチホリデーならではの太陽、砂浜、海である。海岸沿いには、大規模な5つ星のオールインクルーシブ型ビーチリゾートや、アラビア宮殿風のスパホテルが並ぶ。

ジェルバ島では多彩なウォータースポーツのほか、近くのチュニジア本土の砂漠へ四輪駆動車で出かけるツアーも楽しめる。ただし、蓮の果実はもうない。

サルデーニャ島(イタリア)

ギリシャ神話のセイレーンは、人魚として、また鳥のような体を持つ女性として描かれ、船乗りたちを岩礁へと誘い込み、死に至らせた。

オデュッセウスは、魅惑的な歌を避けるため部下たちに耳へ蜜蝋を詰めさせ、自分は反応できないよう船のマストに縛りつけさせた。こうして岩だらけの海岸を通過しながら、その歌に耳を傾けたのである。それがどこで起きたのかについて、一部の歴史家はサルデーニャ島を候補地として挙げている。

島内の2カ所がこの伝説を継承している。

北東海岸の風光明媚な湾、ゴルフォ・アランチには、ピエトロ・ロングによるブロンズ像イル・カント・デッラ・シレーナがある。岸辺のスピーカーから魅惑的な音楽が流れるなか、機械仕掛けで海中から姿を現す像だ。

南西海岸では、シレーナ・サルデーニャ・ダイビングスクールが、サリドゥの海底岩峰や、海中洞窟の入口にあるイルカを抱く人魚の浅浮き彫りへ案内するガイド付きダイビングを提供している。

メッシーナ海峡(イタリア)

オデュッセウスと乗組員が直面した最も危険な試練のうち2つは、シチリア島とイタリア本土を隔てる水路、メッシーナ海峡で起きた。

まず彼らは、船を水中に引きずり込もうとする巨大な渦潮、カリュブディスを避けて進まなければならなかった。次に、本土側の崖の間に棲む、肉食で6つの頭を持つ雌の怪物スキュラを避ける必要があった。

どちらも現代なら素晴らしい観光名所になっただろうが、いずれもギリシャ神話とホメロスの想像力の産物である。

現代のメッシーナが誇るのは、古い教会、華麗な噴水、見事なシーフードレストランが、聖母マリアの金色の像に守られた活気ある小さな港を囲む、手つかずのシチリアらしい雰囲気だ。

メッシーナ郊外の山頂に立つディンナマーレ聖域からは、海峡全体を一望できる。

ゴゾ島(マルタ)

一部の学者は、ゴゾ島をオギュギア島の候補地としている。オギュギアは、オデュッセウスが(ゼウスに船を破壊された後)難破し、魅惑的な海のニンフ、カリュプソに7年間心を奪われた島である。

ゴゾ島は、ホメロスが叙事詩を書いたころには、すでにギリシャ世界でよく知られていた。そしてカリュプソが存在したとしても、そこに住んでいた唯一の人物ではなかったはずだ。だが、それは本筋ではない。

現代のゴゾ島は、地中海全体でも屈指の魅惑的な島である。バロック様式の教会や城塞、そびえ立つ海食崖と岩場の天然プール、海岸沿いのハイキングコース、そして赤い砂浜を持つラムラ湾が織りなすモザイクのような場所だ。

「本土」のマルタからフェリーで25分のゴゾ島では、水揚げされたばかりの魚介(魚のスープアルヨッタを試したい)を味わえる。宿泊施設も、高級ビーチリゾートやモダンなブティックホテルから、港沿いの趣ある古いホテルまで幅広い。

forbes.com 原文

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