LinkedInのソーシャルインパクト担当バイスプレジデントのアビゲイル・カールトンと、Year Up UnitedのCEOスーザン・マレーが、若者たちがこれからの働き方を形成する上でいかに独自の適性を持っているかを探る。そして、彼らがリーダーシップを発揮できるよう準備を整えるには、エントリーレベル(新卒・未経験者向け)の就業機会やキャリア形成、そして最も重要となるヒューマンスキル(人間ならではのスキル)のあり方をなぜ見直す必要があるのかを解説する。
エントリーレベルの採用は減少傾向にあるかもしれない。しかし、AIが仕事を大きく変えるなか、キャリアの初期段階にある若手人材への投資は、かつてないほど重要になっている。
成功する組織とは、採用時に求めるスキルだけでなく、人材をいかに育成し、配置するかを再考する組織だ。LinkedInのデータによると、急速なAIの普及に主導され、現在仕事で求められているスキルの70%が2030年までに変化する見通しであるという。
それにもかかわらず、多くの若者はここ数年で最も厳しい雇用市場に足を踏み入れている。2026年第1四半期において、ソフトウェアエンジニアやデータアナリストといった「AIによって強化された(AI-augmented)」職種のエントリーレベル採用は、前年同期比で8.9%減少した。これに対し、すべてのキャリアステージを対象としたAI強化職種の採用の減少率は1.9%にとどまっている。
こうした傾向は、AIが労働市場に参入する若者の機会を狭めかねないという懸念を生んでいる。しかし、歴史を振り返れば、より希望に満ち、実践的な結論が見えてくる。技術革命が優秀な人材の機会を奪うことはめったにない。むしろ、重要となるスキルを塗り替え、適応する準備ができている人々に新たな道を切り拓くものだ。今後数年間で成長を遂げる組織は、若い人材への投資を縮小するのではなく、彼らを育成し、その可能性を引き出し、彼らから学ぶための新たな方法を見出すだろう。
若き才能はこの時代のためにある
これからの働き方をめぐる議論では、テクノロジーの進歩によって若者が何を失う可能性があるかに焦点を当てがちだ。しかし、本当に問いかけるべきなのは、「彼らがこの時代に、どのような独自の価値をもたらすことができるか」という点である。
現在の若手社会人は、急速な技術変化に対応しながら育ってきたため、新しいテクノロジーへ適応することに抵抗がない。彼らは、これまでの古い働き方と新しいテクノロジーとの間の「翻訳者」としての役割を果たすのに適した立場にある。彼らは、新鮮な視点、高いデジタルリテラシー、そして変化への柔軟性を持ち合わせている。これらは、人間の強みを代替するのではなく、「5つのヒューマンスキル」(探究心、勇気、創造性、思いやり、コミュニケーション)を増幅させることで、AIのポテンシャルを有意義なビジネス成果へとつなげる一助となる。
ここにあるチャンスは、単に若者をこれからの働き方に適応させることではない。彼らにそれを形作る上での重要な役割を与えることなのだ。
エントリーレベルの就業体験を再定義する
エントリーレベルの職務は、決してアウトプット(成果物)だけを求めるものではなかった。そこは、特定の業界について学び、自信を培い、AI主導の経済においてさらにその価値を高める「持続的なヒューマンスキル」を養う場なのである。
日常的な定型業務の自動化が進むにつれ、若手人材は基本的な作業の習得や下書きの作成に費やす時間を減らし、アイデアをブラッシュアップしたり、判断を下したり、問題を解決したりする時間により多くを充てられるようになる。雇用主は、こうした変化を「AIを活用した見習い制度(アプレンティスシップ)」として制度化することも考えられる。そこでは、若手人材がAIシステムと協働することを学びつつ、人間関係の構築や、成功に必要な持続的ヒューマンスキルの強化を優先して取り組めるようになる。
AIは人間のスキルの価値を低下させるのではなく、その価値をより高めるものなのだ。
変化する労働環境に対応するキャリア支援の見直し
仕事のあり方が変われば、キャリアへの準備のあり方も変わらなければならない。AI経済において若者に力強いスタートを切らせるためには、より強固に連携した人材育成エコシステムと、キャリア形成・キャリア開発に対するより包括的なアプローチが必要となる。求められる取り組みは以下の通りだ。
- 実際の職場の課題を反映した、応用学習や体験型学習を優先すること
- テクニカルスキルと持続的なヒューマンスキルを組み合わせ、雇用主からのリアルタイムのフィードバックに沿ったカリキュラムを編成すること
- 若者が新しいスキルを応用し、自信を培い、帰属意識を育めるよう、コーチングやメンターシップ、実務体験の機会を拡大すること
- 採用において人間関係や実証されたスキルがこれまで以上に重視されるなか、LinkedInのようなプロフェッショナルネットワークへのアクセスを増やすこと
- 変化する労働市場を乗りこなし適応できるよう、キャリアのスタートラインに立つ人々にデータに基づいたキャリアガイダンスを提供すること
Year Up Unitedは、これが実践において何を意味するかを示している。この団体は25年以上にわたり、コラボレーション、適応力、問題解決といった持続的なヒューマンスキルのトレーニングを、雇用主のニーズを反映したテクニカルスキルや実務経験と組み合わせて提供してきた。また、このプログラムはソーシャルキャピタル(社会関係資本)も重視しており、受講生をメンターやコーチ、その他のプロフェッショナル、そしてピア(仲間)の強力なコミュニティへとつないでいる。この包括的なアプローチにより、若者は入社初日から価値を発揮できるようになるだけでなく、継続的に学び、時間の経過とともに発展していくキャリアを築けるようになる。
採用競争が激化するなか、人脈や信頼できるネットワークは、求職者が注目を集め、自身の能力を証明するのに役立つ。まだプロフェッショナルな人脈が築けていない若者にとって、ネットワークへのアクセスは、スキルが機会へと結びつくか否かを左右する決定打となり得る。LinkedInのようなプラットフォームは、若者が人脈を築き、自らの能力をアピールし、就業への道筋を見つける手助けをすることで、重要な役割を果たすことができる。
LinkedInは、労働市場の移行期において、キャリア初期段階の人々を支援する組織への投資も拡大している。Future of Work Fundを通じて、同社は特に就業への障壁に直面している若者に向けて、AIを活用してキャリア機会を拡大する世界的な非営利イノベーターをサポートしている。こうした投資が重要なのは、明確な意図を持って取り組まなければ、AIが意図せずして、優秀な人材を締め出すシステム上の障壁を増幅させてしまうリスクがあるからだ。
これからの働き方も「人間」が中心である
現在直面しているのは、人々が次の時代に進むための準備をいかに整えるかという局面である。
この時代は、次世代が学び、貢献し、成功するための有意義な機会を創出できるか否かによって方向づけられる。AI時代に勝利する組織は、若い人材に早い段階から投資するだろう。そうした組織は、人々にAIを恐れるのではなくAIと協働する方法を教え、人間の可能性こそが最大の競争優位性であり続けることを認識するのだ。
若者たちは、単にこれからの働き方に適応しているだけではない。彼らはそれを構築する担い手なのである。



