欧州

2026.09.09 09:00

ロシア依存からの脱却を図る欧州、エネルギー供給元を多角化するには

天然ガスパイプライン「アドリア横断パイプライン(TAP)」の支線「ギリシャ・ブルガリア相互接続パイプライン(IGB)」。2022年7月30日撮影(Nicolas Economou/NurPhoto via Getty Images)

天然ガスパイプライン「アドリア横断パイプライン(TAP)」の支線「ギリシャ・ブルガリア相互接続パイプライン(IGB)」。2022年7月30日撮影(Nicolas Economou/NurPhoto via Getty Images)

ロシアによるウクライナ侵攻が欧州全土でエネルギー危機を引き起こして以降、欧州連合(EU)はロシア産天然ガスへの依存を大幅に低減させてきた。その中で、米国の液化天然ガス(LNG)がロシア産パイプラインガスの穴を埋めてきたが、これにより欧州では戦略上の新たな弱みが生じることとなった。欧州諸国が独立した外交政策を追求するのであれば、真の意味でエネルギー供給元を多角化する必要がある。増大するエネルギー需要の埋め合わせを単一の国に依存するようになれば、欧州の行動の余地は限られることになるだろう。

代替となるエネルギー供給元の確保に向けた欧州の取り組みは、中途半端な状態にとどまっている。EUは、あたかもエネルギー転換が何もしなくても自動的に実現するかのように、目標を繰り返し発表する一方で、達成に必要な投資を行っていない。

だが、現実はそう甘くはない。欧州は、ロシアに対するエネルギー依存の低減、安価な中国の環境技術の輸入制限、原子力の放棄(EUの執行機関である欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長は、これが戦略的誤りだったと示唆しているが)を同時に進めつつ、深刻な経済的打撃を招くことなく、再生可能エネルギーが直ちにこれらの穴を埋めることを期待するなど、到底できない。皮肉なことに、天然ガス輸入に関しては、欧州には比較的実行しやすい選択肢が複数ある。問題は、これらを実行に移す意志があるかどうかだ。

ロシアはもはや選択肢ではない

2022年のウクライナ侵攻開始以降、欧州の天然ガス輸入は劇的な変貌を遂げた。侵攻以前、ロシアはEUの天然ガス輸入量の約45%を占めていたが、現在では約12%にまで低下している。これは、EUがロシア産パイプラインガスとLNGの供給契約を段階的に停止することを法的に義務付けたためであり、最後の長期契約も2027年秋までに期限が切れる予定だ。他方で、ハンガリーとスロバキアはウクライナ侵攻前の契約に基づき、黒海を通る天然ガスパイプライン「トルコストリーム」経由でロシア産天然ガスの受け入れを続けている。こうした状況は、EUの戦略的方針と個々の加盟国の行動との間に隔たりがあることを示している。

長年にわたりロシア政府と密接な関係を築いてきた欧州のエネルギー企業は、積極的な姿勢を崩していない。これらの企業は、ロシアとの関係が正常化した場合、同国からの供給が再開される可能性について議論を続けている。仏エネルギー大手エンジーやトタルエナジーズの幹部は、そのような状況になれば、ロシアからの天然ガス供給量が年間600億~700億立方メートルに達する可能性があると述べた。

しかし、ウクライナを巡る政治情勢が変化したとしても、欧州がかつてのようなロシアへの依存体制を再構築する可能性は低い。実際、欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、たとえロシアがウクライナに関するEUの要求を全面的に受け入れたとしても、そのような選択肢はあり得ないと断言している。2022年の経験は、単一の供給国が欧州のエネルギーシステムに対して構造的な影響力を行使できる状況を許容することの危険性を浮き彫りにした。したがって、欧州はかつての関係を修復できるかどうかを議論するより、ロシア産天然ガスの代替手段をいかに確保するかに注力すべきだ。

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翻訳・編集=安藤清香

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