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2026.09.09 12:30

マスクのドキュメンタリー映画『Musk』に絶賛の声、「堂々たる誇大妄想狂」の素顔

イーロン・マスク(Andrew Harnik/Getty Images)

イーロン・マスク(Andrew Harnik/Getty Images)

米国時間9月8日、イーロン・マスクが巨大な富を築き上げる過程を描いた4時間のドキュメンタリー映画『Musk』がベネチア国際映画祭でプレミア上映され、批評家たちを驚嘆させた。一部の批評家は同作を「手厳しい告発」「創造的天才のなせる業」と絶賛している。

オスカー受賞監督のアレックス・ギブニーが手がけた本作の上映時間は3時間45分に及ぶ。The Hollywood Reporterのレビューによると、本作はマスクのキャリア初期からトランプ政権での職務期間までを追い、彼を「堂々たる誇大妄想狂」として描き出しているという。

マスク自身は本作の制作に関与していないが、批評家らは彼の元恋人であるアシュリー・セント・クレア(彼との間に子どもをもうけている)のインタビューを最大の見どころとして挙げている。

セント・クレアはギブニー監督とともにベネチアでのプレミア上映に出席した。監督によると、本作のインタビューに応じた人物の多くが制作に協力することに対して「実存的な恐怖」を感じていたという。

セント・クレアによれば、彼女はマスクから提示された4000万ドル(約61億5000万円)の秘密保持契約を拒否した。これに署名していれば本作への出演は実質的に不可能となっていたが、彼女は「真実を語ることよりも、物質的な豊かさを優先したくはなかった」とその理由を語っている。

本作には彼女のほかにも、現在疎遠になっている父親のエロール・マスクや元妻のジャスティン・マスク、かつての同僚らのインタビューが収録されている。

The Hollywood Reporterの批評家デビッド・ルーニーは、本作を「創造的天才のなせる業」と称賛した。本人が出演していないという制約を補うため、過去の実際の発言を用いてマスクのCGアバターを作成し、カメラに向かって語らせたギブニー監督の手法を高く評価した。ルーニーは、本作には「すでにある程度知られているもの以外の新事実」は多く含まれていないとしつつも、「多くの観客を骨の髄まで凍りつかせるような、極めて説得力のある形」で情報を提示していると分析した。

Deadlineの批評家マシュー・ケアリーは、長すぎる上映時間への批判を牽制し、その構成は「冒頭から引き込まれる」ものであり、「マスクが現代社会や政治に与えた絶大な影響と向き合うには必要な長さだ」とした。さらに、本作がマスクを「無節操で権力欲が強く、自己愛に満ちた、よそよそしく気難しい父親の子ども」として描いている点に触れ、「彼の心理的な人物像を浮き彫りにしたという点で大成功を収めている」と評した。また、IndieWireの批評家ライアン・ラッタンツィオも父親へのインタビューを高く評価し、本作はマスクとトランプとの関係性が「彼自身が抱える父親との確執の投影」であることを示唆していると指摘した。

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翻訳=江津拓哉

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