労働者たちがロボットに仕事を奪われることを恐れてストライキに踏み切るとき、ヒューマノイド(人型ロボット)による自動化の時代は突然、非常に現実味を帯びてくる。
まさにそれが2026年の夏、韓国にある現代自動車(ヒョンデ)の蔚山(ウルサン)工場で起こった。労働者たちは部分ストライキ(一部の労働者が参加するストライキ)を実施し、ある要求を明確に打ち出した。すなわち、ヒューマノイドは自分たちの同意なしに導入されるべきではない、というものだ。
同工場ではまだヒューマノイドは稼働していないが、現代自動車グループは2028年にヒューマノイドの導入を開始し、2030年までに部品組立工程へ配置する計画だ。この動きに対して、労働者たちはすでに反発している。
ヒューマノイドの労働力導入計画が労働争議の引き金の一つになったのは、世界で初めてとみられる。だが、これが最後になる可能性は低い。
ヒューマノイドは、驚異的な生産性の向上をもたらす可能性を秘めている。反復的で身体的に負担が大きく危険な作業をロボットが引き受け、人間はより人間の能力に適したタスクに専念できるようになる可能性がある。
問題は、テクノロジーの進化のスピードに、社会の対応能力が追いついていないということだ。
企業はヒューマノイドが人間と並んで働く未来へと突き進んでいるが、規制、労働協約、労働者保護は追いつくのに苦戦している。だからこそ、現代自動車の労使紛争は単なる地域的な労働問題以上の意味を持つ。今後10年間で最大級となる労働力をめぐる争いの、初期の兆候かもしれない。
未整備のルールブック
騒動を引き起こしているロボットは、Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)が開発した「Atlas」だ。現代自動車は2020年にBoston Dynamicsの買収を発表し、2021年に買収手続きを完了した。『ソウル経済新聞』によると、計画が明らかにされてまもなく、「人間の仕事をロボットに奪われてはならない」と訴える横断幕が蔚山の街中に掲げられたという。
実態として、ロボットはその影響への対処法をまったく持たない産業に足を踏み入れようとしている。工場のフロアで人間と並んで動き回るロボットに関して、ルールや安全策を定めた法律を制定した国はまだない。そして、少なくとも公式には、ロボットが引き受けることになる仕事に従事してきた人々の生活への影響を軽減するための、信頼に足る計画を打ち出した企業もない。
米国の職場安全規制当局である労働安全衛生局(OSHA)は、1960年代から自動車製造に使われてきたロボットアームのように工場の床に固定されるのではなく、自律的にバランスを保つ移動型ロボットを対象とするISO(国際標準化機構)規格の策定を、まだ完了させていない。



